官報とは?掲載内容やデメリットについて解説
いろいろな事情があって、自己破産という方法を選ぶこともあります。でも、できればあまり多くの人には知らせたくないですよね。
でも、自己破産する場合、「官報」という公的な書類にその事実が記録されることをご存知ですか?
「官公庁の書類に自分の名前が載る」というと、一般の方であれば不安に感じるのがふつうです。自分だけなら良いけれど、たとえば、ご近所さんやあまり親しくない親類が自分の名前を見つけたら、妻子に迷惑がかかるのでは・・・?
官報に名前が載る事の具体的なデメリットは何か、その対策などについてお伝えします。
官報とは何か
官報とは、簡単に言えば国の広報誌です。官報は、法律・政令・条約などを公布する媒体として、重要な役割をもっています。
官報には紙媒体とインターネット検索があり、紙媒体は購読料がかかりますが、インターネットでの閲覧は無料です。インターネットでの閲覧の場合、内容は紙媒体と同じですが、掲載期間は掲載日から30日間。30日を過ぎれば無料会員からは見る事が出来ませんが、有料会員になると、過去記事も検索する事ができてしまいます。
官報に掲載される公告にはいろいろありますが、破産や会社更生関係なども含まれ、多くの自己破産者の名前が一律で掲載されるものとなっています。
官報の役割について
官報は、普段の生活の中で目にする機会は多くありませんが、休日以外は毎日発行されています。各都道府県の県庁所在地にある官報販売所で売られていて、インターネット上でも過去30日分を無料で見ることができます。その役割とは、何でしょうか?
官報は、日本国が発行している機関紙です。国に関係する様々な情報を、広報するのがその役割です。例えば、法令が決まったときは官報によって公布されます。国から民間に報告する事項やそのための資料の公開、閣議決定について、国会や皇室に関して、また公務員の異動についても一部が掲載されます。国に関係する、多くのことが掲載されているのです。
民間にはそれほど関係ないかも、と思うかもしれませんが、関係のあることも掲載されています。高速道路の工事について、工事の開始や完了も掲載されています。また、建設業の許可について、取り消し処分などがあったときはそれも掲載されます。会社の構成、決算公告、合併なども掲載されるので、民間でも関係がある人は多いでしょう。さらに、身元不明の遺体に関する情報や、無縁墳墓の情報なども掲載されます。こういったものと同様に、個人再生や自己破産をした時も、掲載されることになるのです
なぜ官報に名前が記載されるのか
自己破産は裁判所の手続きを経て行われるので、公開を差し止めることはできません。自己破産なんて、もっとも他人に知られたくないような個人情報がなぜ公開されるんだ、と憤りを感じる方もいるかもしれません。ただ、こうした自己破産の情報は、金融機関やクレジットカード会社などにとっては、最重要情報です。なぜなら、一度自己破産すると、その後7年間は新たなローンを組んだり、再び自己破産することができません。そのため、国の公的な書類として記録し、公開する必要があるのです。
官報の見本
では、官報にはどのような形で、どういった情報が記載されるのでしょうか。
自己破産手続きを行う個人は、財産がほとんどない状態が多いので、「約90%」が「同時廃止」という手続きをとるといわれています。以下は同時廃止の場合の見本です。
<破産手続き開始決定が出たあと>
事件番号
平成○年(フ)第○○号
住所
自己破産される方のご住所
債務者 □□□□
自己破産される方のお名前
1 決定年月日
平成○年○月○日午後○時
2 主文
債務者について破産手続を開始する。
本件破産手続きを廃止する。
3 理由の要旨
破産財団をもって破産手続きの費用を支弁するのに不足する。
4 免責意見申述期間
平成○年○月○日まで
裁判所名
自己破産を申し立てた裁判所名
<免責決定が下されたあと>
事件番号
平成○年(フ)第○○号
住所
自己破産される方のご住所
債務者 □□□□
自己破産される方のお名前
1 決定年月日
平成○年○月○日
2 主文
破産者について免責を許可する
裁判所名
自己破産を申し立てた裁判所名
なお、住民票や戸籍に自己破産した事実が記載されるのでは、と心配される方もいますが、これらの記録に自己破産の事実が記載されることはありません。ただ、本籍地の自治体で保管される「破産者名簿」には記録されます。
官報にはいつ名前が載る?
このように、破産手続きの開始決定が出たあとと、免責決定が出たあとの計2回、官報に掲載されることになり、一般的には、決定が出てから2カ月後の官報に掲載されるといわれています。なお、官報は政府が発行している新聞のようなものですから、行政機関の休日を除いて毎日発行されています。
また、「官報に掲載されると一生消えないのか?」という疑問があるかと思いますが、実のところ、官報に一度記載されるとその事実を上書きしたり、削除したりすることができません。
官報に載る回数
官報に掲載されることになるのは、自己破産の場合2回あります。
それは、破産手続開始決定のタイミングと免責許可決定のタイミングです。
自己破産が同時廃止と管財事件のどちらになるかによって、掲載される内容は異なりますが、タイミングとしては変わりません。
つまり、破産手続開始決定をして、免責許可決定が下りずに自己破産できなかったとしても、最低でも1回は掲載されるのです。
官報に名前が載る具体的なデメリット
官報に記載される一番のデメリットは、「自己破産した事実が公開される」ということですが、インターネットで無料検索もできるとはいえ、個人で頻繁に官報をチェックしているという人はあまりいません。一般の人であれば、官報に自己破産者の名簿が載ることも知らないことが多いのではないでしょうか。ご近所さんや奥さんのママ友さんがいちいち官報をチェックして、あなたの自己破産を知る確率は低いでしょう。
ただ、闇金業者などはこの名簿をチェックしています。ここに記載された住所や氏名などの情報をもとに、融資に関するダイレクトメールなどを送り付けてくるのです。悪徳業者も多いので、情報をうのみにすることのないよう、その点は注意しましょう。
一定の職業の人がチェックしている可能性も
官報を常にチェックしている人は少ないのですが、一定の職業の人は毎日ではなくても、比較的頻繁にチェックしていることがあります。
それは、信用情報機関や不動産業者、闇金業者などです。
信用情報機関は、個人の借金に関する情報や、クレジットカードの利用状況などの情報を登録している機関です。
そこには、債務整理などの情報も含まれています。
金融会社などからも情報を集めているのですが、情報漏れがないようにするため、官報などもチェックしているのです。
見つけた情報は、信用情報機関に登録されるので、自己破産をした場合はすべての信用情報機関に登録されると思っていいでしょう。
不動産会社の場合は、破産手続きで処分される不動産をいち早くチェックして、それを買い取ろうとします。
情報があれば、管財人に連絡して買い取るための営業をするようです。
闇金業者には、気を付けましょう。
自己破産して、お金を借りられなくなった人に連絡して、違法な金利でお金を貸し付けようと誘いをかけてきます。
官報についての不安を強く感じないために
官報をチェックする一般人は少ないとはいえ、どこでどのような形で自己破産の情報が漏れるかはわかりません。そのため、自己破産した場合は、その事実を無理に隠し通すのではなく、最低でも妻子や近しい親族には知らせておきましょう。そのほうが、あとあと大きな問題にならずに済むことが多いようです。また、先に述べたように、官報情報をもとにダイレクトメールを送り付けてくる悪徳金融業者の「良いカモ」にならないよう、なにかあれば自己破産の時に担当した司法書士などに相談する方が、気持ちが楽になる事も多いと思われます。
-
債務整理の関連コラム
-
任意整理の関連コラム
-
個人再生(民事再生)の関連コラム
まだデータがありません。
クレジットでの買い物や、軽い気持ちでキャッシングを重ねるうちに借金が知らない間に増えることは、だれにでもあることです。
支払いが無理かなと感じたら、身近な法律家である司法書士にまずは、ご相談ください。
あなたの早めの相談が問題解決へのきっかけになります。
一人で思い悩まずに、司法書士といっしょに問題解決に向けてスタートしましょう。
また、司法書士は、不動産登記や商業登記、簡易裁判所で扱う事件についての代理等をしていますので、借金問題以外の法律相談もしています。
弁護士では、敷居が高いと感じている方も、気軽にご相談ください。