【司法書士監修】奨学金の返済ができず自己破産するとどうなる?連帯保証人への影響は?
本来学問というのは、生まれにかかわらず、人々が平等に学ぶ機会を与えられるべきものです。しかし、子ども一人を大学まで卒業させるためにかかる費用が数千万円ともいわれるいま、家庭の経済事情によって、子どもの就学機会に差が出ているのが現状です。
そうした中で、学ぶ機会を得るために、大きな助けとなるのが奨学金制度です。
しかし、日本では現状、返済義務のない給付型の奨学金というのはごくまれで、ほとんどが奨学金という名の学資ローンになっています。
奨学金の現状
もっとも一般的な日本学生支援機構の奨学金の場合、利子がかからない第一種奨学金と、利息が付く第二種奨学金があります。例えば、大学院までの借入金額が780万円の場合、0.5%の金利では総返済金額はおよそ822万円。卒業後に20年かけて月3万4200円の返済を続けていくことになります。上限となる年利3%の場合には、総返済額は1000万円を超え、月返済額4万3000円が20年続きます。
奨学金を借りるということは、社会に出た時点で、数百万円の借金を背負っているのと同じことなのです。
奨学金の免責について
日本学生支援機構の奨学金は、一般の金融機関からの借り入れと比較して低金利ですが、卒業後に返済を延滞した場合は、年率10%のペナルティが課されます。さらに長期間延滞した場合、法的な処置が取られ、給与の差し押さえなどが発生することもあります。奨学金も借金ですので、こうして返済が滞ると、いわゆる「ブラックリスト」に載ることになります。
ただし、自己破産した場合、他の借金と同じように免責の許可がおりれば、奨学金返済の義務はなくなります。
奨学金を滞納すると
奨学金の返済を滞納してしまった場合には延滞金が課されることになりますが、その利率は奨学金の貸与が終了した時期や奨学金の種類によって異なります。
無利息の第一種奨学金で、平成17年4月以降採用された分に関しては、延滞している割賦金の額と延滞日数に応じて、令和2年3月28日以降は年3%の割合で延滞金が賦課されます。利息付きの第二種奨学金であっても、それは同様です。
また、本人と連帯保証人、保証人に対して、文書と電話の両方で督促が行われます。延滞が続くと、一括請求や強制執行などの措置が取られるケースもあります。
自己破産した場合は免責される
自己破産をした場合は、債務に対して免責を受けられるのですが、奨学金もその対象となります。債務を負っている場合は、返済の義務があります。自己破産の免責というのは、その返済義務という責任を免除されるということです。裁判所に申立をして、返済できる状況ではないと認められた場合に免責を認めてもらえます。そうなれば、それ以降は現在返済を延滞している分も含め、奨学金を返済する必要が無くなります。
自己破産とは?メリットは?
自己破産は、裁判所に申立をして行う、個人の破産制度です。借金の返済が不可能な、支払い不能状態であるということを裁判所に認めてもらうことで免責許可を受け、以降の借金返済の義務を免除してもらうことができます。
自己破産の最大のメリットは、非免責債権を除いた債務の支払いが、免除されるという点です。非免責債権は滞納している税金などが該当し、それらは自己破産をしても支払う義務があります。しかし、それ以外の借金はすべて免責となり、返済する必要がなくなるのです。
また、自己破産をするとすべての財産を失うと誤解している人もいるのですが、生活に必要と認められた一定の財産や基準以下の価値の財産は残されます。
自己破産の条件
自己破産はどのような場合でもできるというわけではなく、できる条件がきちんと定められています。
その条件というのは、
・借金が払えない状態である
・借金した理由が免責不許可事由にあてはまらない
・非免責債権ではない借金であること
にあてはまることです。それぞれの条件について詳しく解説します。
「支払不能」の状態が認められている
借金が支払えない状態を支払不能といいます。
これは、基準として具体的な金額が決まっているわけではなく、その人の収入や保有している財産の状況などから客観的に判断して、返済が困難な状況と認められたとき、条件を満たすことになります。
具体的には、毎月の収入と支出、必要な返済額を計算して、返済を続けられるかどうかを判断します。
従って、財産を処分すれば返済できるような場合には返済不能とはならないでしょう。
例えば、月収25万円の人が住宅ローンと車のローンで毎月10万円を支払っていて、それとは別に500万円の借金があって月10万円ずつ返済している場合を想定してみましょう。この場合、まずは家と車を処分すれば毎月の支払いは10万円になり、生活費として15万円は残るので、支払不能とは認められない可能性が高いです。
家や車を手放したくないとしても、自己破産をしたらいずれにしても手放さなくてはいけなくなるため、同じことになるのです。
借金した理由が免責不許可事由にあてはまらない
自己破産には、免責不許可事由というものがあります。
これにあてはまると、自己破産を申し立てても免責許可が出されなくなってしまいます。
それは、以下のようなケースです。
・財産を隠す、もしくは財産の価値を減らす行いをして債権者に損をさせようとした
・クレジットカード決済で換金目的の商品を購入し、換金した
・債権者のうち一部だけが有利になるよう返済した
・浪費やギャンブルのために借金をした
・支払不能状態であることを隠した状態で、騙して分割払いで商品を購入してから1年以内に破産申立をした
・裁判所に提出した債権者名簿に虚偽があった
・裁判所によって調査が行われる際に、説明に虚偽があるか説明自体を拒否した
・自己破産の免責を過去7年以内に受けている
たとえ免責不許可事由に該当しても、裁判所では裁量免責をすることがあります。
それは、事情を考慮して免責を許可するということです。
例えば、借金の原因がギャンブルだった場合でも、反省していると認められる態度であれば許可されることがあるのです。
非免責債権はではない借金であること
債権の中でも、税金や社会保険料などは非免責債権といって、免責にはなりません。
離婚時の養育費や重過失の損害賠償金、罰金、従業員の給料なども同様です。
こうした債権は、自己破産が認められても支払わなくてはいけないので、注意しましょう。
自己破産で没収されるもの
自己破産をすると、保有する財産は没収されるのですが、一部は残されます。
基本的に没収されるものは、以下のようなものです。
・所有している住宅
・土地その他の不動産
・自動車
・預貯金
・99万円を超える分の現金
・保険の解約返戻金
・退職金
・宝石・貴金属
・美術品
・その他20万円以上の価値がある財産
自動車などは、20万円を超える価値がある場合のみ没収されます。また、ローンが残っている場合は没収ではなく、ローン会社に引き取られることになります。
没収されない主なものは、以下のものです。
・家具・家電
・衣類
・職務上必要な器具
・仏壇・位牌・神棚
・トロフィー等
・パソコン(1台のみ)
・20万円以下の財産
・99万円以下の現金
現金を除くと、20万円を超える財産は基本的に没収され、20万円以下の物は残されることになります。家具なども基本的には没収されませんが、アンティークの家具などで20万円を超える場合は美術品の扱いになり、没収されることになるでしょう。また、パソコンに関しては20万円を超える評価額であっても1台は残されますが、2台目以降は20万円を超えていれば没収されることになります。
自己破産におけるリスク
連帯保証人、保証人に債務が移る
債務における連帯保証人、保証人は、本人がその債務を返済できなくなった時、本人に代わって返済することを約束するものです。
自己破産の場合も、本人が返済できなくなったものとみなされるため、返済義務は連帯保証人、もしくは保証人へと移行するのです。
また、通常は奨学金の返還は分割となっているのですが、債務が移行した場合は残債を一括で請求されてしまいます。
そのため、連帯保証人あるいは保証人に十分な経済的余裕がなければ、自己破産する事態となるかもしれません。
自己破産をすれば、借金がなくなるわけではありません。借金の返済が免責となるだけであって、借金そのものは残ったままなので、返済能力のある連帯保証人、保証人へと請求されてしまいます。
クレジットカードなどの利用が一定不可能に
クレジットカードを所有している場合は、自己破産に伴って強制解約されます。
現在利用している分は支払う必要がなくなるのですが、今後利用することもできなくなるのです。
そして、自己破産をしたという情報は信用情報機関に登録され、一定期間はブラックリストに入った状態となるのです。
新規でクレジットカードを契約しようとすると、信用情報機関に問い合わせをされます。
その際に、ブラックリストに入っていると契約を断られてしまうので、その情報がリセットされるまでは使用できなくなります。
自己破産をしたという記録は、信用情報機関におおよそ5年から10年ほど記録が残ります。その期間が過ぎるまでは、新しくクレジットカードを作成することができないのです。
財産を手放す必要が出てくる
自己破産をすると返済の義務が免責となりますが、その代わりに所有している不動産や一定以上の価値がある財産などがある場合は、没収されて弁済に充てられます。
対象となるのは、住宅や土地などの不動産、20万円以上の価値がある財産です。
また、現金は99万円を超えた分が対象となります。
ただし、生活において必要とみなされる家電や家具などの財産や、仕事上必要になる道具などは、たとえ価値があっても処分の対象外となります。
また、パソコンなども1台は必ず保有しておくことができます。ゲーム機など娯楽のためのものでも、20万円以上の価値がない限りは手放す必要はありません。
就職において制限がかかる
自己破産の手続き中に限りますが、一部の職業や資格には制限が課されます。
その間は、該当する職業につくことができません。
また、該当する資格は取得することができず、すでに取得している場合でもその効力が停止します。
そのため、その資格が必要な仕事に従事することはできません。
制限される職業は、弁護士や司法書士、税理士などの士業や金融関連業、一部の団体企業の役員、警備員などです。
自己破産の手続きが完了すれば復権となり、制限はなくなります。
それ以外では、金融機関に就職を希望した際に信用情報を紹介されて影響が出ることがあります。また、公務員採用においても調査されることがあります。
奨学金の返済が難しい場合に検討したい制度
自己破産をすると、上記のようなリスクがあります。
特に、奨学金はほとんどの場合連帯保証人などがいるので、そちらに返還義務が移行してしまうケースが多いのです。
そのため、自己破産をせずに返還できないか、まずは検討してみましょう。
日本学生機構では、奨学金の返還が難しい人へのセーフティネットとして、下記の制度を用意しています。
・「返還期限猶予制度」一定期間返還を猶予する制度
・「減額返還制度」毎月の支払額を減額する制度
まずは、このどちらかの制度を利用して返済できないか、考えてみましょう。
一時的に減収となり、返還が厳しくなった場合は「返還期限猶予制度」、月々の支払いが多すぎて返還が難しくなった場合は「減額返還制度」がおすすめです。
また、時には本人が死亡、もしくは重度の障害を負って、これ以上返還できない状態となることもあるでしょう。
その場合、連帯保証人となっているのであれば、返還を求められないように以下の制度を利用しましょう
・「返還免除」死亡時、もしくは身体・精神の重度障害によって返還を免除する制度
この制度を利用すれば、返還そのものが免除されるので連帯保証人が返済する必要もなくなります。
自己破産の前に、これらの制度を検討しましょう。
返還免除制度の対象
返還免除制度は、返還未済額の一部、もしくは全額の返還が免除される制度です。つまり、認められればそれ以降は返還する必要がなくなります。
これが認められるには条件があり、奨学生本人が死亡、あるいは精神や身体に障害を負ったことで返還ができなくなったというケースです。
ただし、障害を負ったからといってすぐに認められるわけではありません。審査を受けて、確実に変換ができない状態であると認めてもらわなくてはならないのです。また、その審査結果によって免除されるのが一部なのか、全額なのか、一部であればどの範囲で免除されるのかが決まります。ただし、この結果によって連帯保証人、保証人へと請求されることはありません。
減額返還還制度の対象
減額返還制度は、経済的な理由や災害、傷病などの理由によって奨学金を返還するのが困難という人に認められる制度で、返還可能な額まで減額して返還するというものです。減額された場合はその分、返還期間が延長されることになります。例えば、月々の返還額を2分の1にした場合は、6ヶ月分を12ヶ月で返還するということになります。月々の返還額は減額されますが、返還する総額が減額されるわけではないので注意してください。
対象となるのは、主に年収が325万円以下の場合です。また、返還を延滞している場合は認められません。1回の申請で最大12ヶ月適用され、最長で15年、返還回数は180回まで延長が認められます。
返還期限猶予制度の対象
返還猶予制度は、災害や経済困難、傷病、失業などによって、奨学金の返還が困難な事情を持つ人が対象となります。事情に応じて返還を一時的に待ってもらう制度であり、最長で10年、120回の返還まで猶予してもらうことができます。延滞金が既に発生している場合でも、返還が困難という事情を認めてもらうことができれば、返済期限猶予を認めてもらうことができます。また、期限を猶予してもらっている間、利息や補償料、延滞金などが加算されることはないので、返済総額が増えることもありません。
経済困難として認められる目安は、年収300万円以下の場合です。それ以外は、申請した際に審査され、その結果によって認められるかどうかが決まります。
分割返済に応じてもらえる場合も
どうしても奨学金を返還できない状況が続き、支払うよう督促が届くようになっていたとしても、そこから交渉して分割払いに応じてもらえる可能性があります。認めてもらえるケースは、保証制度が人的保証か、機関保証かで異なります。
人的保証による保証制度を利用している場合は、延滞の状態が長く続くと裁判所へと日本学生支援機構から支払い督促を申し立てられてしまい、それに応じなければ最終的に強制執行手続きが取られてしまいます。その上で支払いができなければ、差し押さえを受けてしまいます。しかし、支払い督促が裁判所から届いて、それから2週間以内に裁判所へと「督促異議申立書」を提出することで、裁判になります。そこで交渉することで、分割払いの和解を提案して受け入れてもらえる可能性があるのです。この場合、分割払いにしなくてはならない理由が納得のいくもので、その方法であれば支払えるという十分な根拠があれば、裁判官も和解を勧める方法で動くため、可能性としては低いものではありません。
機関保証による保証制度を利用している場合は、延滞が長く続くと奨学生本人に代わって、日本国際教育支援協会が日本学生支援機構へと返還する奨学金と利息、延滞金をすべて支払ってくれます。ただし、これは本人に支払い義務がなくなったというわけではなく、その後奨学生は日本国際教育支援協会から奨学金相当の額を一括返済するよう求められることになる、ということです。ただし、一括で払うのは難しいので、分割払いにしてほしいと言えば柔軟に対応してもらえるかもしれません。この場合、延滞している状態なのに一括払いというのは現実的ではないので、よほど1回に支払える額が少額でなければ分割払いにも応じてもらえる可能性は高いのです。
破産時に奨学金の免責を行う時の注意
奨学金の場合やっかいなのは、多くの場合、家族や親せきなどが連帯保証人になっていることです。
債務者(奨学金を受けた人)が自己破産して支払い義務がなくなったとしても、連帯保証人や保証人に支払いの義務は残るので、そちらに残額の請求がいきます。その際は、分割ではなく一括で請求されてしまうため、残額が大きければ返済はかなり難しいでしょう。ただし、請求された際は交渉すれば分割での支払いが認められることもあるため、まずは交渉してみましょう。連帯保証人や保証人が支払えない場合は、債務者と一緒に自己破産手続きをすることになります。保証人がいる方は、自己破産前に保証人に相談しなくてはいけません。
なお、日本学生支援機構の奨学金の場合、万が一債務者が死亡して奨学金の支払いが滞った場合も、通常の遅延と同様の延滞金がついて、保証人に返済の督促がきます。こうして、子どもが先立った場合、年老いた両親が思わぬ多額の借金を背負うことになります。
また、保証人が死亡して返済が滞った場合も同様で、機構からの裁判で、債務者側が敗訴した事例があります。
経済情勢が不安定な中、奨学金の申し込み数は増加しています。しかし、奨学金を受けて大学を卒業しても、安定的な職を得ることが難しい情勢でもあります。将来にわたって大きなリスクを背負うことを頭に入れて、奨学金は借りるべきでしょう。
なお、病気や経済的事情など正当な理由がある場合は、一定期間返済が猶予されますので、必ず手続きをするようにしましょう。
自己破産後の奨学金取得について
両親が自己破産していた場合も、基本的に子どもは奨学金を借りることができます。なぜなら、奨学金の借主は学生となる子ども本人だからです。ただし、自己破産者は一定期間金融機関のブラックリストに登録されます。そのあいだは、奨学金を借りられたとしても、親が連帯保証人になるのは難しいかもしれません。そうした場合は、別の親族などが保証人となるか、保証機関を利用することになります。
また、日本学生支援機構には、「緊急採用(第一種)」「応急採用(第二種)」という奨学金もあります。これは、「失職、破産、事故、病気、死亡等若しくは火災、風水害等の災害等又は学校の廃止によりやむを得ず他の学校に入学することで修学に要する費用が増加したことにより家計が急変し、緊急に奨学金の必要が生じた場合」の奨学金です。どうしても必要になった場合はこうしたものを利用することも検討しましょう。
自己破産以外での債務整理方法は?
債務整理には、自己破産以外にも任意整理や個人再生などの方法があります。
自己破産だと不都合があるという人は、他の方法を検討しましょう。
任意整理は、債権者と交渉して借金を減額することを了承してもらうという方法です。
この際、減額の方法としては原則利息カットと遅延損害金のカットが主で、元金は減額せずに原則3年、最長で5年の分割払いにしてもらいます。
消費者金融などは原則利息が最大で年率20%なので、支払総額はかなり減額できます。
個人再生は、借金の元金そのものを減額できる手続きです。
借金の総額によって減額できる割合は異なりますが、原則5分の1になるのです。
例えば、総額500万円の借金がある場合は100万円まで減額できます。
その際、1つが400万円、もう一つが100万円の借金だった場合は、それぞれ80万円、20万円に減額されます。
また、100万円以下に減額することはできないので、借金総額が500万円までなら100万円になり、総額が100万円未満の場合は減額できません。
個人再生の場合は、住宅ローンを支払っている途中の自宅がある場合は、特約によってそれを除外して手続きができます。
住宅ローンを今まで通り支払う代わりに、自宅を手放さなくてもよくなるのです。
住宅ローンを整理対象に含めた場合は、担保権を行使されて自宅を差し押さえられ、競売にかけられてしまいます。
任意整理が奨学金の債務整理に適さない理由
奨学金の返済に困った場合の債務整理の方法として、任意整理はあまりお勧めできません。なぜなら、効果が非常に低いからです。
先ほども言いましたが、任意整理は原則利息カットをすることで、返済総額を減額する手続きです。
そのため、金利が高ければ高いほど効果的です。
しかし、奨学金の金利は消費者金融などと比較して、かなり低いのです。
15年前は1%前後で、そこから年々下がりつつあります。
現在では0.1%前後になっているため、原則利息カットをしてもほとんど減額されません。
しかし、こんなケースの場合は…?
しかし、任意整理で奨学金の返還ができるケースもあります。
それは、他の借金があって、その返済によって奨学金の返還が難しいというケースです。
任意整理の場合は、複数の借金がある場合は整理する対象を選ぶことができるので、一部の借金だけを任意整理することもできるのです。
例えば、奨学金の他に消費者金融と銀行のカードローンでの借金があり、奨学金の返還額が毎月8万円、消費者金融が毎月3万円、カードローンが毎月2万円の返済だったとします。総額は13万円ですが、毎月返済できるのはどう頑張っても10万円という場合、まずは最も額が大きい奨学金をどうにかしたい、と思ってしまうでしょう。
しかし、消費者金融とカードローンそれぞれの債務整理を行い、毎月の支払額をそれぞれ1万円ずつにすることができれば、毎月の返済額の合計は10万円で済むのです。
それでも厳しい場合は、奨学金の「減額返還制度」を利用して奨学金の返済額も減額するといいでしょう。
このように、任意整理によって奨学金の返済も楽になるケースがあるのです。
上記のケースは一例で、それぞれの借金の総額や返済状況、収支によって最も効果的な方法、適した方法は異なります。
返済に困ったときは、まず司法書士に相談してみてください。
クレジットでの買い物や、軽い気持ちでキャッシングを重ねるうちに借金が知らない間に増えることは、だれにでもあることです。
支払いが無理かなと感じたら、身近な法律家である司法書士にまずは、ご相談ください。
あなたの早めの相談が問題解決へのきっかけになります。
一人で思い悩まずに、司法書士といっしょに問題解決に向けてスタートしましょう。
また、司法書士は、不動産登記や商業登記、簡易裁判所で扱う事件についての代理等をしていますので、借金問題以外の法律相談もしています。
弁護士では、敷居が高いと感じている方も、気軽にご相談ください。