個人再生(民事再生)
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個人再生後はクレジットカードは使える?発行手続きはいつから?

債務整理の方法のひとつに、個人再生というものがあります。これは、借金の元金を減らすことができる手続きですが、注意したいのがすべての借金を債務として、減額するという点です。つまり、クレジットカードで作った借金も債務に含まれてしまいます。クレジットカードの場合、減額される場合は「100万円」か「5分の1」のうちどちらか大きいほうの金額まで減額されることになるでしょう。
クレジットカードの利用分も、債務整理することは可能です。しかし、債務整理をしてしまうとそれ以降はしばらくクレジットカードが使えなくなってしまうことが多いでしょう。使えなくなってから困らないようにするには、あらかじめ正しい知識を持っておいて対応する必要があります。この記事では、個人再生とクレジットカードについて詳しく解説します。いざというときに、困らないように覚えておきましょう。

個人再生とクレジットカードの関係

個人再生が認められると、債務を大幅に減額することができます。おおよそ5分の1にまで圧縮されるので、返済の苦労も大きく減じることができるでしょう。しかし、現在契約しているクレジットカードは利用できなくなってしまいます。クレジットカードには買い物のときに使われるショッピング枠と、お金を借りるためのキャッシング枠がありますが、そのどちらも使うことができません。また、直接債務整理をしていない、普段使っていないカードでもやはり利用できなくなってしまうのです。

クレジットカードによる借金も債務に含まれる

個人再生は、裁判所を通じて行う手続きです。そのため、一部の例外を除いては全ての借金が対象になります。もちろん、クレジットカードで借入をしていれば、その分も含めて整理されることになります。また、買い物をした時にクレジットカードで代金を支払うことがありますが、その場合のショッピング利用分も、借金に含まれるのです。
個人再生には、債権者平等の原則というものがあります。これは、全ての債務に対して厳格に適用され、平等に対処するというものなので、クレジットカードだけは例外ということができないのです。

個人再生をすると全てのクレジットカードが使えなくなるの?

個人再生をすると、司法書士などの専門家から債権者に対して受任通知が送付されます。
その時点で、債権者に含まれているクレジットカードは、強制解約になるのでそれ以降はショッピングやキャッシングに利用できなくなります。
また、普段は使っていないクレジットカードならその対象には含まれませんが、信用情報機関のブラックリストに入ってしまううえ、官報にも氏名や住所が記載されるため、使っていないものもすぐに使用できなくなってしまうのです。

個人再生をするとクレジットカードを新規作成することはできないの?

クレジットカードを新規に申し込むと、審査のために信用情報をチェックされます。個人再生をすると、5年~7年ほどはそのことが信用情報に事故情報として記録され、ブラックリストに入ってしまいます。その状態では、新規作成を断られてしまうでしょう。

債務整理後にクレジットカードはどうなる?いつ作れる・利用できるか解説

個人再生の手続き開始後にクレジットカードを作るのが難しい理由

個人再生の手続きを開始すると、クレジットカードを新規に作成するのは難しくなります。その理由について、詳しく解説していきます。

個人信用情報機関に事故登録されるため

クレジットカードや消費者金融、銀行のローン等に申し込んだ場合、審査が行われます。それは、返済能力などを確認するほかに、信用情報というものも確認されます。信用情報は、クレジットカード会社や消費者金融、銀行などがそれぞれ同じ業種の会社と共に作っている、利用者のデータベースを管理するための組織です。3種類あり、信用情報機関と呼ばれています。
銀行は、主に全銀協という信用情報機関で信用情報を確認しています。クレジットカード会社と消費者金融は、JICCかCICのどちらかを主に利用しています。信用情報を確認する時はもちろんそこに問い合わせるのですが、もし自分の会社の利用者が滞納や債務整理などをした場合は、そこに登録されるのです。そうして、各社でその情報を共有します。
個人再生を行った場合は、官報に氏名や住所と共に掲載されます。そして、信用情報機関ではそのことを事故情報として記録します。そうなると、いわゆるブラックリストに入ることとなり、どこのクレジットカードを申し込んでも作成することが難しくなるのです。
ブラックリストに入る期間は、信用情報機関によって違いがあります。カウントを開始するタイミングにも違いがあるので、あくまでも目安ですが、それぞれの期間を表にまとめました。

全銀協約10年くらい
JICC約5年くらい
CIC約5年くらい

また、個人再生では減額された借金を返済しなくてはいけないのですが、その返済が滞った場合は事故情報の掲載期間が延長される原因になるので、注意しましょう。

クレジットカード会社の審査の基準

クレジットカード会社では、どのような基準でカードの発行を認めているのでしょうか?その審査基準について、解説します。
まずチェックされるのが、自社内にあるデータベースです。そこには、信用情報機関に等く記載されているような情報が記載されているのですが、信用情報機関よりも長く情報が残されます。また、独自の基準でデータを管理しているので、例えば信用情報機関では事故情報とされないようなことも、事故情報扱いで記録されていることがあります。
職業や年収、勤続年数なども審査の基準になっています。安定した職業で、十分な年収があり、勤続年数が長いという人ほど、信用度は高くなります。
住んでいる所も、重要な審査のポイントです。持ち家なら有利になりますが、賃貸物件にお住まいの場合は不利になるでしょう。これは、もしも滞納した場合には、強制執行ができるからです。

個人再生後のクレジットカード発行する際の注意点

個人再生後のクレジットカード発行する際の注意点
個人再生の手続きをした後で、クレジットカードを新規に発行したい時は、いくつかの点に気を付けなければいけません。その注意点について、解説します。

本当にブラックリストから外れているか確認する

まずは、信用情報機関のブラックリストから確実に外れているかどうかを確認しましょう。信用情報機関に問い合わせることで、自分の信用情報に関しては開示することができます。これを、本人開示といいます。そこに、事故情報が記載されていなければ、ブラックリストから外れていることが確実になるのです。
それぞれの信用情報機関に、本人開示を請求する方法は、以下の通りです。

①全銀協
インターネットで登録情報開示申込書をダウンロードして、それを印刷します。必要事項を記入したら、ゆうちょ銀行で手数料1,000円分の定額小為替証書を発行し、運転免許証やパスポート、健康保険証などの本人確認書類のうち2種類のコピーを用意しましょう。これをすべて封筒に入れ、全国銀行個人信用情報センターに郵送します。郵送以外では、受け付けていません。センターに到着後、1週間以内に返送されます。また、開示報告書の送付先は、本人の現住所に限定されています。

②JICC
スマートフォン、もしくは郵送で請求することができます。通常は窓口でも請求できますが、現在はコロナウイルスの影響によって休止しています。
スマートフォンか郵送で手続きをして、開示申込書と本人確認書類を提出してください。本人確認が取れた後で、信用情報が開示され、開示書が郵送されます。開示には、1,000円の手数料がかかります。スマートフォンの場合は、コンビニから支払ってください。郵送の場合は、ゆうちょ銀行の定額小為替証書を用意して信用情報開示申込書に同封してください。

③CIC
パソコンかスマートフォンでインターネット開示が可能なのですが、その際の手数料の支払いはクレジットカードがなければできないので、郵送か窓口で申し込むことになるでしょう。
郵送の場合は、開示申込書と本人確認書類2点、手数料としてゆうちょ銀行の定額小為替証書1,000円分を同封し、CICに送付してください。申し込みから10日ほどで、開示報告書が手元に届きます。
窓口での手続きは、全国7か所にあるCIC開示窓口に行ってタッチパネル端末から手続きを行います。手数料は500円で、現金で支払います。開示報告書は、その場で受け取ることができます。

個人再生後の対象になったカード会社はやめておく

個人再生をした時、対象になっていたところには申し込まないようにしましょう。その会社の社内情報として、自社内の永久ブラックリストに登録されている可能性が高いのです。そうなると、絶対に発行できないものと判断されてしまいます。また、その情報は系列会社にも共有されているので、同系列の会社も避けたほうがいいでしょう。

個人信用情報内に信頼される実績を作る

信用情報が回復すると、事故情報などが消えて真っ白な状態になります。しかし、同時にそれまでの取引記録も消えてしまうので、信用情報をチェックした時に自己破産や個人再生をしたのではないか、と疑われることがあるのです。
疑われないために、個人信用情報内に信頼される実績を作りましょう。おすすめは、スマートフォンの機種変更に伴う、本体代金の分割払いです。形式上はローン契約となるので、信用情報にも記録されるのです。ただし、滞納はしないように十分気を付けましょう。

個人再生後のクレジットカード作成に必要なことと手順

個人再生後にクレジットカードを作成したい場合は、クレジットカードの審査に通るようにしなくてはいけません。そのために必要なことを、手順ごとに開設していきます。

その1.審査に通るクレジットカードをピックアップする
まずは、審査に通る可能性が高いクレジットカードがどれか、ピックアップしていきます。信用情報機関に本人開示請求をして、事故情報が消えているかどうかを確認しましょう。このとき、1か所の信用情報機関で確認するだけではなく、必ず3か所とも確認するようにしましょう。
事故情報を確認したら、それぞれのクレジットカード会社がどこの信用情報機関に登録しているのかを確認していきましょう。もし、まだ事故情報が残っている信用情報機関があった場合は、そこに登録しているクレジットカード会社には申請しないようにしてください。
主なクレジットカード会社と、登録している信用情報機関は以下の表の通りです。

全銀協KSCJICCCIC
JCB×
クレディセゾン×
アメリカンエキスプレス
ダイナース××
セブンカード×
三菱UFJ銀行
三菱UFJニコス×
三井住友信託銀行××
三井住友カード×
TSBキャピタル
労金カード

また、このピックアップをする際に、個人再生の対象に含まれていた会社とその系列会社は、候補から外すようにしましょう。社内ブラックリストに登録されている可能性が高いので、申請しても断られてしまいます。

その2.信用情報期間での実績を作る
信用情報機関に登録されていた情報は、信用情報の回復と共にリセットされてしまいます。そうなると、金融機関との取引履歴も全て消えている状態です。これまでローンはもちろん、クレジットカードすら利用したことがない状態になってしまうのです。
そのような状態だと、事故情報が登録されていて消えたばかりなのではないかと疑われてしまいます。それでは、事故情報がせっかく消えたのに意味がありません。そうならないようにするには、きちんと期日を守って返済をしてきたという実績を作っておくべきです。
しかし、今からクレジットカードを発行しようとしているので、クレジットカードの利用実績を作ることはできません。おすすめなのは、携帯電話やスマートフォンの機種変更による、本体代金を分割で支払うというローン契約です。この契約なら、審査に落ちることはまずありません。その上で、取引の実績も作ることができるのです。

その3.クレジットカード会社ごとの審査基準について確認する
クレジットカード会社によって、審査基準は異なる点があります。ピックアップした中から、自分の状況に適したところを選ぶために、その審査基準を確認してみましょう。審査基準となるのは主に、職業や勤務年数、年収などです。このような情報は、各社のホームページなどには掲載されていないことが多いので、実際に申し込んだ人の体験談などをネット上で探してみるといいでしょう。

その4.なるべく審査基準が緩いところから優先的に申し込む
自分の状況と審査基準を比較して、審査に通りやすいと思えるところを優先して申し込みましょう。本当は作成したいところがあったとしても、そこは後回しにしましょう。なぜかというと、これも実績作りの一環だからです。審査の緩いところでも、審査に通って発行できたということは、立派な実績になります。ブランド力が高いクレジットカードは、過去のカードの利用履歴を重視する傾向があるので、焦りは禁物なのです。
また、もし審査が厳しいところに申し込んで落とされた場合は、マイナスのイメージがついてしまいます。クレジットカードの申し込み履歴は、およそ半年ほど信用情報として登録されてしまうからです。そのため、むやみに申し込んで断られるようなことは避けましょう。
また、申請する際の書類は、なるべく丁寧に書きましょう。審査の際に、担当者の印象が若干ですが良くなるかもしれません。特に自信がないという人は、ネットから申し込むことも検討してみてください。

クレジットカードが使用できない間の過ごし方

個人再生を行ってから信用情報が回復するまで、最低でも5年間はクレジットカードが使えません。しかし、それでは不便で困る、という人もいるでしょう。その場合は、どういう方法があるでしょうか?

デビットカードの代用

クレジットカードに近い物として、デビットカードというものがあります。これは、利用した分が登録した銀行口座からすぐに支払われるというものです。このカードは、その口座に入金されている金額が利用限度額です。そのため、事故情報があったとしても問題なく発行できます。口座のお金が足りなくなれば、利用できないというだけなのです。また、深夜や土日は口座から引き落としができないので、カードそのものが利用できません。

前払式のETCカードの利用

ETCカードも、利用できなくなると不便でしょう。デビットカードと同じく、前払い式のETCカードであれば、クレジットカードが利用できない時も使うことができます。こちらも、利用した分は即座に銀行口座から引き落とされるので、信用情報に関係なく利用できるのです。
クレジットカードが再び発行できるようになるまでは、こういったカードを利用しましょう。

まとめ

・個人再生をすると、利用中のクレジットカード会社もその対象になる
・クレジットカードは、すぐに強制解約されてしまう
・利用していないクレジットカードも、同様に解約になってしまう
・個人再生をすると、新規のクレジットカード発行が数年間できなくなる
・新規で発行するには、信用情報の回復を待たなくてはいけない
・十分な時間が経過していたら、信用情報機関に信用情報を問い合わせる
・申し込むクレジットカード会社は、条件ごとにピックアップして選ぶ
・個人再生の対象になった会社とその系列会社は避けて申し込む
・各社で審査基準も異なるので、なるべく審査に通りやすいところから申し込む
・クレジットカードが発行できない間は、デビットカードの利用も検討しよう




監修者情報
代表 鈴木 法克
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