個人再生(民事再生)
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民事再生手続(再生手続)とは?流れや条件を徹底解説

会社の経営状態が悪化して多額の負債を抱え、返済が不可能となった時には、民事再生手続きという手段があります。民事再生は、会社そのものを残しながら負債を整理することができる方法です。しかし、信用の低下を避けることはできません。また、債権の中で担保権が設定されているものがあれば、その担保権を行使されてしまうため、自社ビルや工場など経営に直結するものが担保になっている場合は、注意が必要です。
会社の資金繰りが悪化してくると、倒産か民事再生を検討し始めるでしょう。民事再生は、スポンサーの選定などをしながら進めていく手続です。その際は、専門家に書類作成の代行をしてもらうか、弁護士に代理人となってもらい手続きを進めます。成功すれば、会社はそのまま残すことができ、経営陣の交代も不要です。最近では、2017年にエアバッグ製造のタカタが申請しました。
実際に民事再生を行う場合には、経営者としてそれぞれどのような手続きをするのか、その概要を理解したうえで最適な選択をする必要があります。ここでは、民事再生の手続きの流れや条件について、詳しく解説していきます。

民事再生手続(再生手続)とは?

民事再生手続というのは、どのようなものなのでしょうか?会社が倒産する際の手続は清算型と再建型に分けられるのですが、この再建型の方法の1つで、民事再生法に基づいて行われるのが民事再生手続です。民事再生法の中では、再生手続とされています。この手続も、具体的な方法はいくつかに分けられます。

自力で再建

最も望ましいのは、自力で再建することです。事業で収益を得て、それによって債権を返済していくことですが、現実的にはかなり難しいでしょう。民事再生をしたことで、信用もかなり失われます。融資を受けることもできないので、事業を大きくすることもできないのです。そのため、よほどのブランド力がある会社でなければできない手段でしょう。

スポンサーを得て再建

主流といえるのが、スポンサーに資金援助をしてもらい、その助力によって会社を再建するという方法です。スポンサーを見つけることができれば、再建もスムーズに進むでしょう。

清算による再建

スポンサーから資金援助を得るのではなく、事業を譲渡してしまう清算型という再建方法もあります。事業は、スポンサーの元で存続されます。そして、スポンサーに譲渡した際の売買代金で債権者に弁済するのです。

民事再生手続における手法

民事再生手続は、どのように行われるのでしょうか?手続の方法の中でも、特に早期再建のための手法として知られるプレパッケージ型の再建手法というのがあります。それを例にして、内容を解説します。

まず必要なのが、スポンサー企業を見つけることです。民事再生手続の申立をすると、銀行からの融資が受けられなくなります。そのため、手続きの間の運転資金を肩代わりしてくれるスポンサー企業がいなければ、手続きを進めるのが難しいのです。
プレパッケージ型の場合は、民事再生法を申請する前にまずはスポンサーを決めて、申請するのと同時にスポンサーも公表するという手法がとられます。通常、民事再生法の申請をすると倒産のイメージがついてしまいます。そうなると、会社に対する信用力や資産価値などが徐々に失われてしまうのです。しかし、あらかじめスポンサーを見つけておくことで、失われる信用を補うことができます。民事再生に対するマイナスのイメージとその影響も、最小限にできるのです。従業員も、会社の倒産におびえることがなくなります。取引先も、不渡りが起こるのではないかと取引を控えなくてもいいので、通常通りに業務を進めることができます。
一例としては、まず民事再生手続を行う会社が、スポンサー企業へと営業譲渡をします。その代わりに譲渡代金を受け取って、その譲渡代金で債権者に債務を一括弁済するのです。債権者としては、再建の弁済を短期間で受けることができるというメリットがあります。

他の倒産手続との違い

会社の倒産手続は、民事再生手続以外にもいくつかの方法があります。それぞれの方法との違いについて、解説します。

破産手続など清算型手続との違い

破産手続は、破産法に基づいた手続です。会社の業務を停止して、保有している資産は裁判所が選任した破産管財人によって処分され、それを債権者へと弁済するものです。なお、抵当権などを持つ債権者がいる場合は優先的に弁済を受けられるため、まずはそちらに分配してから残った債権者へと平等に分配されます。手続を開始した時点で、会社としては解散することとなるのですが、その法人格はまだ消滅しません。手続が完了すると、その会社の法人格は消滅します。
清算型手続には、破産手続以外に特別清算手続というものがあります。こちらは破産法ではなく、会社法に基づいた手続です。この手続では、裁判所によって特別清算人が選任されます。行うことは破産手続の破産管財人と同様で、会社の保有する財産を処分して債権者へと弁済します。このとき、特別清算人に選任されるのは会社と無関係の人物とは限らず、どちらかと言えば当事者と言える清算会社の取締役等の代表者が選任されるのが一般的です。この手続を利用できるのは、一般的に株式会社だけとされています。手続きが終了すると、やはり法人格は消滅して会社そのものがなくなります。
民事再生手続との違いとしては、民事再生手続では会社が存続するのに対して、清算型手続では会社が消滅するという点が大きいでしょう。経営陣が替わるのではなく、会社そのものがなくなるのです。

会社更生手続との違い

会社更生手続は、民事再生手続と似ているように見えるのですが、いくつかの違いがあります。まず、民事再生手続の場合は、法人だけではなく個人でも利用できます。しかし、会社更生法は法人、それも株式会社しか利用できないのです。
また、民事再生は法人が行っても経営陣を交代しなければいけないという決まりはなく、そのまま継続できます。その代わりに、裁判所が管理委員を選任してその会社の監督をします。その上で、経営が正しくないと認められた場合は、経営権を管財人に移管するよう裁判所が命令できるのです。
会社更生法の場合は、まず経営陣の交代が原則として必要です。そして、経営権は裁判所が選任する更生管財人が掌握します。ただし、主に取引している金融機関が反対せず、経営で何の不正も行っていない場合は、旧経営陣が更生管財人として選任されて経営を継続することもあります。
会社更生法の特徴は、減資が必ず行われるという点です。通常は100%減資されるので、その会社の株の価値がゼロになります。ちなみに、会社更生手続では債務超過に陥っている場合、株主には議決権がありません。しかし、その状態でない場合は株主に議決権があり、更生手続に参加することができます。
また、担保権の扱いも異なります。民事再生では、再生計画の債務免除や債務減額の影響は担保権に及びません。そのため、担保権を持つ債権者はそれを行使して財産の競売を申し立てることで、債権を回収することができます。
しかし、会社更生法は担保権にも適用されます。つまり、再生計画の中にその評価が組み込まれ、担保権は行使できなくなるのです。

私的整理手続との違い

民事再生手続をはじめ、会社更生や破産、特別清算などの裁判所に申立をして行う手続は、まとめて法的整理といわれます。それに対して、裁判所を介さず自主的に行うのが私的整理手続です。
私的整理手続では、債務者と債権者が直接協議して、倒産の処理をします。裁判所を介さずに直接話し合うので、柔軟に対応できるのがメリットです。また、私的整理では取引先などは対象に含めず、金融機関とだけ協議します。それにより、経営破綻に陥っていることなどが全面的に知れ渡ることなく手続できるのです。金融機関からの融資は受けられなくなりますが、取引先が不渡りを恐れて取引を停止したり、支払いの期間を短縮したりすることはなくなります。また、従業員を不安にして退職者が増えることや、顧客との契約を打ち切られることなどもないので、事業活動を続けることができます。会社の信用と言う面でも、大々的に報道されにくいため信用を損なわずに済みます。
ただし、私的整理の場合は債権者が再建計画に反対した場合、それを法律で従わせることができません。さらに、裁判所を通じた手続の場合は債務弁済禁止などの保全処分の制度があるのですが、それもありません。

民事再生のメリット・デメリット

では、民事再生のメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

民事再生のメリット

民事再生のメリットは、これまで通り事業を継続することができて、債務を減額できるという点があります。さらに、返済の期間も最大120カ月と長期にできます。なにより、会社を存続できるというのが大きいでしょう。
経営陣も、基本的に交代を求められることはありません。裁判所が監督委員を選任して、重要な事項の決定にはその同意が必要となるのですが、それ以外では経営陣が経営権を持っているのです。
また、民事再生の手続では債権者の同意が必要となりますが、その際は債権額の過半数、かつ頭数で2分の1以上の同意があればいいのです。それだけの同意があれば、反対意見があっても手続は進められます。

民事再生のデメリット

民事再生には、いくつかのデメリットもあります。まず、担保権の行使には制限がないという点です。銀行からの融資を受けている場合は、担保権を設定していることが多いのですが、その状態で民事再生手続きをすると、先に担保権を行使されてしまいます。その担保が自社ビルなどの場合は、その後の経営に支障をきたすかもしれません。
また、債権者が経営陣の退陣を求めることもあります。経営陣が原因で経営が破綻した場合に多いのですが、これを無視すると債権者の賛成を得るのが難しくなり、手続きを進められなくなることがあります。
最後に、どうしても企業としての信用が低下してしまうことは避けられません。民事再生は官報に公告され、大きな企業はニュースでも報道されるので、隠し通すことは不可能でしょう。

危機的状況にある会社を放置は危険

会社が危機的状況になった時、手をこまねいて放置しておくとリスクが生じます。そのリスクは、代表者が保証人になっているかどうかで異なります。それぞれのケースで、リスクの内容を解説します。

代表者が保証人になっている場合

保証人は、債務者が支払いできない状態、債務履行不能状態になった際にその債務の返済を請求されます。会社の代表者が会社の債務の保証人であれば、代表者に請求されてしますのです。そうなると、代表者は取り立てにあい、場合によっては裁判になることもあります。そうなると、代表者が個人で保有している財産も差し押さえられてしまうリスクが生じるのです。

保証人になっていない場合

では、保証人になっていなければ安心かというと、そうではありません。個人としての法的な責任は問われることがありません。しかし、会社の代表者としては責任を問われます。保証人になっていなかったとしても、取り立てにあってしまうのです。
もし引っ越しをしたとしても、住民票を移動した場合は金融機関に知られてしまうので転居先はすぐに知られてしまいます。だからといって、住民票を移さずに引っ越すと行政サービスの利用ができなくなるため、暮らし向きも不便になってしまうでしょう。

民事再生法施行後の申立件数、再生計画認可件数

民事再生法は、1999年12月に施行された倒産法の1つです。それが施行された翌年の2000年4月から2001年3月までの民事再生の申立は、合計804件でした。その内、2001年2月までに認可決定を受けていたのが150件です。ただし、当時は手続きを開始してから認可されるまでに平均270日かかっていました。最終的には、全体の76.3%が認可を受けています。
2002年度からは、民事再生法の手続きをする会社の数は減少傾向にありました。しかし、リーマンショックが起こった2008年度は、手続社数が5年ぶりに700件に達しています。その後は、2009年12月に中小企業金融円滑化法が施行されたこともあってか、大幅に減少しています。2012年には200社を切り、2015年には約100社となっています。
認可率は、高い時には85%を超えています。民事再生法は難しい手続のように思われますが、実際には成功する割合がかなり高いのです。会社の経営が危なくなった時、民事再生手続は無理だから破産を選ぼうと諦めるのではなく、一度専門家に相談してみましょう。

民事再生手続を申し立てるための条件

民事再生手続には、申立ができる条件が定められています。その条件に付いて、詳しく解説します。

民事再生手続の申立原因があること

民事再生手続ができる申立原因は、民事再生法で定められています。それは、以下の2つです
・今後、債務超過や支払い不能の状態に陥る可能性がある時
・債務の弁済をすることで、事業の存続ができなくなる可能性がある時

それぞれについて、詳しく解説します。

・今後、債務超過や支払不能の状態に陥る可能性がある時
既に、債務超過や支払不能な状態になっている場合も、民事再生手続はできます。しかし、その前の段階である、債務超過や支払不能な状態になると思われる場合も、民事再生手続を開始できるのです。
破産手続の開始要件では、すでに債務超過などに陥っている場合となっています。しかし、民事再生の場合は、その状態になる可能性が出た時点で、手続を開始できるのです。

・債務の弁済をすることで、事業の存続ができなくなる可能性がある時
もう一つが、債務を全額返済すると、事業が存続できなくなる可能性がある時です。簡単に言うと、債権額が会社の財産の全額を上回ると予測されるときです。実際に上回った場合は、債務超過の状態になるのですが、その可能性がある時点で民事再生手続を開始できるのです。この場合も、破産手続は実際に債務超過の状態となった場合に手続ができます。

上記のうち、どちらか1つに当てはまるようなら、民事再生手続は開始できます。

債権者に賛成してもらえる再生計画案を作成できること

民事再生手続は、債権者集会で債権者の同意を得なくては手続ができません。債権者の同意は、債権額の2分の1以上か債権者数の過半数の同意があればいいので、必ずしも全会一致する必要はありません。
その際の判断材料となるのが、再生計画です。これには、債務をどのくらい免除して欲しいのか、残債の弁済にはどのくらいの期間が必要なのか、また、その間1回につきどのくらい支払っていくのかといったことを示します。それを基に、同意するかどうかを債権者に決めてもらうのです。
内容は、実現可能なものでなくてはいけません。債権者の同意を得やすい様に好条件を書いても、現実が見えていないと判断されてむしろ賛成を得にくくなってしまいます。また、前提としては事業が早い段階で黒字になるように事業改善計画を立てる必要があります。黒字になって、初めて債務を返済していくことができるので、早期に達成しなくてはいけないのです。
そのためには、今までの事業モデルは大胆に変革していく事となるでしょう。そういったアイデアがなく今まで通りの事業を行っていこうと考えていると、民事再生手続は困難となるでしょう。

当面の運転資金や手続にかかる費用が調達できること

申立を行った時点で、金融機関から新規に融資を受けることは通常できなくなります。そのため、手続が終わるまでの運転資金は自力で調達しなくてはいけません。
また、手続の際は代理人弁護士への依頼や、専門家に手続の補助をしてもらうことになりますが、その費用もかなりのものとなります。さらに、裁判所に予納金も納付しなくてはいけません。その金額は負債総額によって異なりますが、例えば負債総額が1億2千万円なら、弁護士に支払う費用の目安は着手金300万円、報酬金600万円となります。さらに、裁判所には400万円を納めなくてはいけません。合計で、1300万円必要となるのです。
このように、資金面のハードルはかなり高いので、手続きをするなら資金に余裕のあるうちに行うことをおすすめします。

税金等の滞納が少ないこと

民事再生手続をする事で、ほとんどの債務は減額されます。しかし、中には減額できない債権もあります。それは、法人税などの税金や社会保険料などの滞納分です。それが多いと、減額された残債と併せて返済していくことになります。そうなると支払額を少なくすることができないので、返済は難しくなるでしょう。

繰越欠損金が十分にあり、債務免除額を相殺できること

これは税務上の問題ですが、民事再生手続をして債務が免除されると、それは債務免除益として計上しなくてはいけません。そうなると、免除額に対して課税されてしまいます。しかし、実は債務免除益は、繰越欠損金や評価損がある場合は、それと相殺できるのです。もし、そのようなものがない場合、もしくは債務免除額が繰越欠損金より多い場合は、その差額に対して課税されてしまいます。その税金が多額になる場合は、民事再生手続をするのが困難でしょう。

民事再生手続の流れ

民事再生手続をする場合は、どのような流れで進んで行くことになるのでしょうか?一般的な手続の流れについて、解説します。
手続の流れは、以下のようなステップで進んで行きます。

(1)専門家への相談
まずは、専門家に相談することからスタートします。民事再生など会社の再生や破産に詳しい専門家に相談して、現在の状況を確認します。事業の状況やどのくらいの債務があるのか、毎月の返済はどのくらいなのかなどを確認し、民事再生ができるかどうかなども判断します。もし難しい場合は、別の方法を提案されるでしょう。

(2)手続の依頼
民事再生が可能と判断されたら、そのためにかかる費用や具体的な手続の内容、必要な期間などを説明されます。その内容に問題がなければ、手続きを依頼して契約書を交わします。弁護士の場合は、委任契約となるので委任状を渡すことになります。

(3)再生手続の申立、および保全処分の申立
依頼を受けたら、まずは民事再生と保全処分についての申立を行います。添付する書類などを用意したうえで、裁判所に申立を行います。その際は、負債の額に応じた予納金を納める必要があります。
専門家に依頼した場合は、必要な書類などはすべて代行して作成してもらうことができます。

(4)保全処分についての決定と裁判所による監督委員の選任
申立を行って、裁判所から保全処分についての決定が出されれば、それ以降は借入金などの債務の支払いは禁止されます。その時点で、当面の資金繰りの破綻は免れることができるでしょう。また、それと同時に裁判所では、手続きについての監督をする監督委員を選任します。これには、弁護士が選任されます。

(5)債権者に対する説明会
債権者に連絡して集まってもらい、民事再生を申し立てたことや現在の財務状況、今後どのように手続きを進めていくかを説明して、協力してもらえるよう要請します。これは、通常申立から1週間以内に行われます。
その際は、債権者に対して返済ができないことをお詫びして、今後協力してもらえるよう誠心誠意お願いする必要があるでしょう。

(6)再生手続の開始決定
申立から1~2週間ほどで、裁判所から再生手続の開始決定が出されます。その際は、債権者に対して再生手続の開始通知書とともに、債権届出用紙が送付されます。

(7)財産や業務についての報告
現在の会社の財産について、その価値を評定して、その目録を作成します。併せて、貸借対照表や民事再生を行う理由や会社の業務などについての報告書も作成し、裁判所へと提出します。

(8)債権認否書の調査結果の提出
債権者から提出された債権について、間違いがないかを調査して確認し、その結果を裁判所に提出します。

(9)再生計画立案
債権が明らかになったら、それをもとに債権をどのくらい免除してもらえれば返済できるのか、それにはどのくらい音期間がかかるのかなどを判断します。その内容を、再生計画として作成します。内容は、現実離れしていると認可されません。必ず、実現可能な条件で作成しましょう。作成した書類は、裁判所へと提出します。

(10)計画の決議と認可
計画の内容は、債権者集会で決議されます。一定以上の賛成を得られれば、裁判所で認可するかどうかを決定します。裁判所からにも認可されれば、無事に民事再生が認められたことになります。あとは、計画の通りに返済していきましょう。

民事再生を成功させるには

民事再生は、残念ながら100%成功するわけではありません。しかし、成功する可能性を高くするポイントはあります。成功させるには、どういった点に気を付ければいいのでしょうか?

営業利益が出せること

民事再生手続に成功すると、債務は大きく減額できます。しかし、ゼロになるわけではありません。一部の債務は残るので、それを確実に返済していかなくてはいけないのです。
返済するには、事業で確実に営業利益を出せるようにしなくてはいけません。利益がないのに返済をするとなると、会社の資産を少しずつ削っていくか、どこかから無理に資金を調達しているかのどちらかでしょう。それでは長続きしないので、営業利益がなければいけないのです。
そのためには、事業内容を見直す必要があるでしょう。不採算部門を切り離したり、事業で無駄が多いところを変更したりしなくてはいけません。もちろん、純粋に営業利益を増やすことができるなら、それでもかまいません。利益を出して返済することができなければ破産手続きに移行することになるかもしれないので、注意しましょう。

確実な再生計画・経営戦略の立案をすること

民事再生は、債権者の同意や裁判所の認可を得られなければ、実行できません。それを得るには、民事再生手続によって蚊帳を確実に立て直せる、という根拠が必要です。その根拠となるのが、再生計画です。
再生計画の立案では、確実に実現できる内容で立案しましょう。また、今まで営業利益が少なかった、あるいは赤字だった事業を立て直すために、経営戦略も立案しなくてはいけません。
その内容が実現可能で、十分に返済できるという説得力があれば、債権者が同意する可能性は高くなります。また、その同意を得たうえで裁判所の認可も得る必要があるので、慎重に作成しましょう。

企業の活用事例

実際に、企業が民事再生手続を活用して、成功したケースを紹介します。
その企業は、官民各種建設工事の下請けをしていた建設会社でした。子会社に対して多額の支援をしていたのですが、その子会社が事業に失敗してしまいました。また、建設不況の状況下で予算を適切に管理しなかったため、前年度営業損失を計上しました。そうして、民事再生の申立を行って、手続開始決定を受けたのです。
その直後には、契約していたゼネコンの一部からは契約を解除されてしまいました。また、他のゼネコンでは現在取り掛かっている工事についてはその継続を認めましたが、新規の発注については再生計画の可決・認可を得ることが条件として挙げられました。
ただし、この建設会社では従来の工法より工期が短縮できて、費用も安上がりになる建設基礎工事の工法の特許を保有しています。それ以降はその工法を前面に押し出し、その発注に全力を注ぎました。そうして、再生手続が開始してから1か月後に新規発注ができるようになると、徐々に受注件数が増えていきました。それを受けて、債権者集会では95%以上の賛成を受け、再生計画が認可されたのです。その後、半年が経過しても売り上げは再生計画通りであり、前回の轍を踏まないように徹底した予算管理をしています。

まとめ

・民事再生は、会社の倒産手続の一種
・会社を存続させ、再生するための手続
・自力で再生するのは難しいので、スポンサーを見つけて再生の援助をしてもらうのが一般的
・プレパッケージ型といわれる債券手法では、スポンサーに事業を譲渡してその代金で債務を弁済する
・民事再生では、経営陣などをそのまま残すことができる
・清算型手続との大きな違いは、会社を残すことができるかどうかという点
・会社更生手続きとの大きな違いは、経営陣を交代する必要があるかどうかという点
・私的整理との大きな違いは、裁判所を介した手続かどうかという点
・再生計画は、まず債権者の一定以上の同意が必要
・債権者が同意したうえで、裁判所の認可も必要になる
・成功させるには、営業利益を確実に得られる計画が大切




監修者情報
代表 鈴木 法克
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