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個人再生(民事再生)
2021.01.19

個人再生の手続き方法とは?必要書類と費用を解説

債務整理の手続きのひとつに、個人再生というものがあります。借金を減額してもらえればどのように返済できるようになるのかという計画を立てて、了承を得ることで借金を原則5分の1まで減額できる制度です。
この手続きは、残った借金を確実に返済できる人でなければ利用できません。そのため、しっかりとした収入があって、借金の大幅な減額を望んでいる人などに向いています。
自己破産とは違って、自宅を残すことができるなどのメリットがあります。車も、ローンの支払いが終わっていれば残すことができます。他の財産も、必ず処分しなくてはいけないということはありません。こうした観点から、残しておきたい財産のある人は、個人再生を選ぶことが多いでしょう。また、自己破産とは違って仕事に制限を受けることもありません。
継続した収入があり、債権額が5,000万円以下の人なら個人再生手続きは可能です。ただし、債権者から異議が出されると手続きができないこともあります。
この記事では、個人再生の手続き方法や必要な書類、費用などについて詳しく解説していきます。

個人再生手続は2種類ある

個人再生には、小規模個人再生と、給与所得者等再生という2種類の手続きがあります。
それぞれの特徴について、解説します。

小規模個人再生手続

個人再生の基本的な手続きは、小規模個人再生です。
もう一方の手続きとの大きな違いとしては、債権者の人数と債権額のそれぞれで、過半数の同意が必要という点です。債権者から異議が出されてしまうと手続きができなくなる可能性があるので、その点に注意が必要です。
弁済金額は、負債総額から定められている最低弁済額か、保有している財産等の価値のいずれか高い方です。また、今後の弁済のための収入状況に関しても、もう一方の手続きよりは基準が緩いというのも特徴です。

給与所得者等再生手続

個人再生を希望する人のうち、給与所得者のように収入がかなり安定している人しか選択できない手続きです。収入が安定しているかどうかは、厳しくチェックされます。
こちらの手続きは、債権者の消極的同意を確認せずに行えるため、こちらの方がいいように感じるかもしれません。しかし、その分小規模個人再生と比較して、条件は厳しくなるのです。
特に、弁済が必要な金額に違いがあります。小規模個人再生の基準に加えて、収入のうち可処分所得に当たる金額の2年分というのも基準に加わります。これは、簡単に言うと2年間で支払うことのできる限度の金額ということです。
原則として、小規模個人再生よりも弁済額が高額になってしまうため、なるべくなら小規模個人再生を選んだ方がいいのです。

個人再生と自己破産の違い

個人再生と自己破産の違いとして、借金の返済義務や保有している財産の扱い、資格制限の有無、期間などがあります。
自己破産の場合、借金は全額免除されます。それに対して、個人再生の場合は5分の1程度まで圧縮はされるのですが、その分は返済しなくてはいけません。
また、保有している財産の扱いは、自己破産であれば住宅は処分しなくてはならず、車もローンが残っていれば手放すこととなり、ローンがなくても20万円以上の価値があれば処分対象となります。個人再生の場合は、住宅ローン特例を利用できれば住宅を手放さないこともできますが、車はローンが残っている場合のみ、手放すことになるでしょう。
個人再生には資格や仕事の制限は特にないのですが、自己破産の場合は手続き中に限り、一部の資格や仕事に関して制限を受けることになります。
手続きにかかる期間は、自己破産の場合は3か月から6か月と幅があるのですが、個人再生の場合はおおよそ6か月とそれほど大きな幅がないという点にも違いがあります。

個人再生と任意整理の違い

個人再生と任意整理の違いは、借金の減額割合と対象業者の2点です。その2点について、比較してみましょう。
借金の減額割合を比較すると、個人再生の場合は金額によって異なります。原則としては5分の1まで圧縮されるのですが、負債総額が少なければそれより減額される割合は小さくなり、総額が多ければ減額割合は最大で10分の1になります。それに対して、任意整理の場合は引き直し計算を行い、それに基づいて減額されます。それぞれの利用状況によって異なるため、割合は一定とはなりません。
個人再生は、住宅ローンのような例外を除いて、債権者となっているすべての業者を対象にしなければいけません。任意整理の場合は、複数の債権者がいたとしてもその中の一部の業者だけを対象にすることができます。

個人再生手続きの流れ

個人再生手続のスケジュールは、以下のように進みます。

(1)専門家の事務所に相談して、相談事務員がヒアリングする
(2)その内容を基にして司法書士等と面談し、契約するかどうかを決定する
(3)委任契約を締結して、着手金を支払う
(4)弁護士から、債権者に受任通知を送付(取立、督促が止まる)
(5)必要な書類を案内される
(6)債権の確認と取引履歴の開示請求をして、過払い金がないか引き直し計算をする
(7)収入や財産、家計の調査として、源泉徴収票や課税証明書、確定申告書、給与明細などの収入を証明する書類や家計簿、通帳、保険証券、車検証、財産査定書、不動産登記簿謄本などを提出する
(8)個人再生手続きには2種類あるので、どちらを選択するのかを検討し、決定する
(9)申立書を作成して、必要な書類とともに裁判所に提出する。その際は、官報公告費をあらかじめ納めることになる
(10)選任された個人再生委員と、1週間以内に面接をして申立書の内容について不備がないか確認する。面接の場所は、委員の事務所や弁護士会館などその状況に応じて決定される
(11)再生委員の意見を聞き、裁判所が手続き開始について決定する。正式な裁判手続きは、ここから開始される。それと共に、積立トレーニングも始めることになる。東京裁判所では、再生委員費用(報酬)を分納しながら履行テストを行う。
(12)債権額を調査して、その金額で間違いがないか確定する。届け出によって変更があった場合、それを認めるかどうかを話し合い、認められた場合は再度確認を行う
(13)申立から約10週間で、債権の届け出の提出期限となる
(14)確定した債権をもとに、再生計画案を作成する
(15)再生計画案をまとめて裁判所に提出する。それと並行して、財産状況や積立トレーニングの現在の状況についても報告を行う
(16)提出された再生計画案を基に、債権者に書面決議、あるいは意見聴取をして、それを認めるかを確認する。小規模個人再生手続なら書面決議、給与所得者等再生手続なら意見聴取となる
(17)再生計画案が実現可能かどうかや、債権者からの意見などから、その認可・不認可の決定を裁判所が出す。認可された場合、約1ヵ月後に正式な認可決定が確定する。この時点で、専門家との契約は完了する
(18)認可決定確定の翌月から、弁済を開始する。その後は、専門家も個人再生委員も何かをすることがないので、自分で弁済を行っていくこととなる

個人再生手続は、以上のような流れで進められていきます。特に特徴的なのが、個人再生委員の選任と積立トレーニングです。それぞれの内容について、詳しく解説します。

個人再生手続の申し立てを行うと、裁判所では同時に個人再生委員を選任します。これは、債務事件の専門家である弁護士などが主に選ばれます。
その役割は、申立人にどのくらいの収入があり、どのくらいの支出があって返済できるのはどのくらいか、という収支状況の調査や、現在所有している財産はどのくらいあるのか、という財産の現状調査を行います。それに加えて、債務者とそれぞれの債務額を合わせた負債状況についての調査や、今後返済をしていくための再生計画案の作成をしていき、必要に応じて適宜修正していくように指導します。また、積立トレーニングを実施するうえで、その管理なども行います。本来は、この業務は裁判所が行うものです。しかし、裁判所も1つずつ管理していくというのは手が足りないので、代わりに個人再生委員が選任されています。個人再生手続を適切、かつ迅速に進められるように、裁判所が最終確認だけで済むように補助する役割を個人再生委員が担っているのです。ただし、個人再生委員は必ず選任されるとは限りません。必要がないと判断された場合は、選任されないこともあります

個人再生手続では、裁判が終わってから原則としては3年間かけて残った債務を返済していきます。その間、支払を滞納することは許されません。その返済期間中は、誰かが管理するわけではありません。裁判所も、個人再生委員も、弁護士なども何かをすることはないのです。本人が、直接業者に返済を続けなければならないのです。
しかし、計画に無理があれば返済が滞る可能性も高くなるでしょう。そうならないよう、実際に返済を開始する前に、その計画に無理がないかを見極めることを目的として積立トレーニングを行うのです。履行テストともいいます。
やり方としては、まず裁判手続きを進める中で、個人再生委員が開設した銀行口座に毎月支払う予定の金額を入金していきます。東京地方裁判所では原則として6か月行うのですが、それ以外の裁判所では期間が異なることもあります。6か月の間、無理なく入金を続けることができれば問題ありません。しかし、その間滞ることがあれば、この計画には無理があるものと判断されてしまいます。本来なら3年続けなければいけないのに、わずか6か月でさえもそれを守れないのですから当然です。基本的には、何らかの事情があったとしても、それを加味されることはありません。そうなると、再生手続は裁判所で廃止または不認可となる可能性が極めて高いです。

個人再生手続きの費用と必要書類

個人再生手続きをする際は、どのような費用がかかるのでしょうか?
また、必要な書類や、手続きの流れに関しても解説します。

個人再生手続きの費用

個人再生手続きは、司法書士に依頼した場合と弁護士に依頼した場合では、費用が大幅に異なります。
費用の相場は、以下の表のようになっています。

 司法書士弁護士
住宅ローンあり300,000円~500,000円400,000円~600,000円
住宅ローンなし200,000円~400,000円300,000円~500,000円

両者を比較すると、弁護士の方が代理としてできる範囲が広く業務が多い分、料金も高くなってしまうのです。
なるべく多くのことを任せてしまいたいなら弁護士に、サポート・アドバイスを受けながら、できるだけ自分で手続きすることで依頼料を安く済ませたいなら司法書士に依頼しましょう。

このほかに、裁判所へと納める費用があります。
裁判所に納めることになる費用は、以下の通りです。

申立手数料10,000円
官報公告費用12,000円
連絡用の切手代4,000円~8,000円
個人再生委員への報酬150,000円~250,000円

もし、専門家に依頼せずに自分だけで手続きをしようと思っても、この裁判所に納める費用だけはかかります。ただし、手続は非常に複雑で、用意する資料もそろえるのが大変でしょう。料金はかかりますが、専門家に依頼したほうがスムーズに手続きできます。その際に、少しでもその料金を節約したいのであれば、司法書士に依頼したほうがいいでしょう。
個人再生委員は選任されないこともあるので、その場合は報酬も必要ありません。

個人再生手続きの必要書類

個人再生手続きを申請する際は、裁判所に申立書を提出します。
その際は、以下の書類を添付する必要があります。

・給与明細や課税証明書、源泉徴収票など収入額がわかるもの
・住民票の写し
・債権者一覧表
・保有する財産の目録

個人事業者や自営業者の場合は、常勤加えて貸借対照表や損益計算書、過去1年間と今後半年間の資金繰りの様子がわかる書類などが必要となります。

個人再生が申請できる条件

個人再生には、再生手続開始要件という手続きを申請するための要件が決められています。個人再生が申請できるのは、この条件を満たしている人だけです。
その条件について、解説します。

将来的に継続又は反復した収入があり、再生計画に則った弁済が出来ること

個人再生手続には、安定した収入を得られる見込みが必要です。サラリーマンのように給料をもらって働いている場合は、認められる可能性が高いでしょう。それ以外の人は、いくつか認可されるための条件があります。

自営業であれば、月ごとの収入のばらつきを考慮して、3カ月程度を目安に必要な弁済ができる程度の収入があると認められれば、要件を満たしているとみなされます。アルバイトの収入しかない場合、ある程度の期間継続して働いているという実績があれば、安定した収入として認められます。しかし、短期間や期間限定のアルバイトをしている場合などは、安定しているとは言い難いので不認可となる可能性もあります。
年金受給者の場合は、安定した収入があるといえます。ただし、障害年金については障害の内容やその程度に関して、個別に判断されます。

債務(借金)総額が5000万円以下(利息制限法の引き直し計算後)であること

個人再生は、負債総額が5000万円以下でなければ、手続きができません。それを超えている場合、法人であれば民事再生手続をする必要があります。ちなみに、この負債総額は利息制限法の引き直し計算、つまり過払い金の計算をしてその分を除いた金額です。
また、住宅ローン特例の手続きをする場合は、その住宅ローンの残債は負債総額に含めません。利用しない場合は、その残債も含めて計算することになります。

債権者から1/2以上の不同意(反対)がないこと(小規模個人再生手続のみ)

小規模個人再生の手続きであれば、債権者から過半数の消極的同意を得る必要があります。これは、異議を出さなければ同意したとみなされるのですが、頭数か債権額のいずれかが過半数となる債権者が反対した場合、手続きは即時廃止されてしまうのです。

過去7年以内に、個人再生手続のハードシップ免責許可決定、給与所得者再生の再生計画認可決定、破産手続免責決定を受けていないこと(給与所得者再生手続のみ)

給与所得者再生の手続きに限り、過去7年以内に債務整理をしていた場合、以下のような内容の許可決定を得ていれば個人再生手続きができません。
・給与所得者再生の再生計画認可決定
・個人再生手続きのハードシップ免責許可決定
・自己破産の破産手続免責決定

ハードシップ免責というのは、個人再生の再生計画に基づいて返済をしている途中で返済ができなくなり、一定の条件を満たした上で残りの弁済を免除してもらえる、というものです。全額返済が完了している場合は、問題ありません。

個人再生のメリットとデメリット

個人再生を申し立てる前に、そのメリットやデメリットは把握しておいた方がいいでしょう。それぞれ、解説していきます。

個人再生のメリット

個人再生における最大のメリットは、返済する額を大幅に減らせるということです。小規模個人再生であれば、保有している財産の価値の総額か、あるいは負債額のうち一定の割合のどちらかのうち、高い方で返済額を減額できます。負債額が100万円未満なら全額返済する必要があるのですが、それ以上なら500万円未満までは100万円、1,500万円未満までは負債額の5分の1、3,000万円未満までは300万円、それ以上は10分の1として計算します。
安定した給与がある場合は給与所得者再生等再生も選択できます。その場合は上記に加えて、収入から必要な生活費等を差し引いた金額の2年分の金額とも比較して、最も高いものとなります。この場合、原則として小規模個人再生よりも最低弁済額は高くなります。
また、住宅ローンを支払っている途中でも、住宅ローン特例によって自宅を残すことができるのもメリットです。住宅ローンはそのまま支払いを続けることになりますが、自宅を手放したくないという希望を叶えることができるのです。自動車は、ローンの支払いが終わっていれば処分しないで残すことができます。
自己破産とは違って、資格や職種によって制限を受けるということもないので、どのような仕事をしている人でも、安心して手続きができます。

個人再生のデメリット

まず、個人再生は安定した収入がないと、利用できません。どうやって残りを返済していくのか、その根拠を示す必要があります。それを明確にしたものが再生計画案ですが、内容に無理がある場合は不認可となることもあります。
また、個人再生を利用すると信用情報にそのことが記載されるので、ブラックリストに入ってしまいます。そのため、5年から10年の間は、新たに借り入れたりクレジットカードを作成したりすることはできなくなります。
さらに、現在保有しているクレジットカードも、利用できなくなります。ただし、これは任意整理や自己破産の場合でも同様です。とはいえ、信用情報は永久に残るのではなく、5年から10年ほどで回復するのでそれほど気にすることもないでしょう。

個人再生を利用したことは、官報にも記載されます。官報を見ている人はあまりいませんが、もしかしたら第三者に知られてしまう可能性があるので、注意しましょう。特に、勤務先が官報をチェックしているような業務の場合は、知られることを覚悟しておいた方がいいでしょう。それ以外なら、知られる可能性はかなり低いといえます。

個人再生における最低返済額

個人再生における最低弁済額は、どのくらいになるのでしょうか?まずは、2つの手続きに共通している最低弁済額について解説します。
最低弁済額は、負債総額によって異なります。詳しくは、以下の表の通りです。

負債総額最低弁済基準
100万円未満減額されない
100万円~500万円未満100万円
500万円~1,500万円未満負債額の5分の1
1,500万円~3,000万円未満300万円
3,000万円~5,000万円未満負債額の10分の1

金額によって、割合として減額される場合と、固定の金額になる場合があります。
原則としては5分の1程度となるのですが、負債総額が大きくなれば最大で10分の1まで減額されます。

小規模個人再生

小規模個人再生の場合、上記に加えて保有している財産の価値という基準も加わります。
これを、清算価値と言います。
例えば、負債総額が2,500万円なら最低弁済額は300万円ですが、保有している財産の清算価値が600万円なら、最低返済額は600万円になるのです。もし、清算価値が300万円以下なら、最低弁済額のほうが高くなるので返済額は300万円になります。
清算価値は、自己破産をした場合に債権者へと返済される金額なので、それよりも損をしないように定められているのです。

給与所得者等再生

給与所得者等再生の場合は、小規模個人再生の基準に加えて可処分所得も基準として加えられます。可処分所得というのは、1年間の収入を合計した金額から、所得税をはじめとした各種税金、社会保険料、および本人とその家族が生活するために必要な最低限の生活費を除いた金額です。この2年分を基準として、最も高い金額が最低返済額になるのです。
原則として、小規模個人再生よりも最低返済額は高くなるので、注意しましょう。

個人再生における注意点

個人再生手続を行う上で、注意したい点がいくつかあります。その注意点について、解説します。
まず、任意整理とは違って債権者は全員平等に扱われます。これは、金融機関や貸金業者からの借金だけではなく、個人間での借金も含まれます。家族や友人、勤務先などから借金をしている場合でも、例外にはできないのです。個人間の借金であっても、専門家に依頼した場合は受任通知が送付されます。それ以降、勝手に返済することは禁止されてしまい、他の借金と同様に減額された後で、その分を支払うことになります。
もし、債務整理に巻き込みたくない場合は、別居している両親などの第三者から援助を受けて完済してしまう、という方法もあります。ただし、その場合は第三者から援助を受けたことが分かる証拠をしっかりと残しておきましょう。正しく対処するためには、専門知識がなければ厳しいでしょう。勝手な判断で行うと、個人再生手続きができなくなることもあるので、必ず司法書士等の専門家に相談してから行ってください。
また、自己破産とは違って借金は減額されたとはいえ残ります。その分は返済しなくてはいけないので、個人再生が認められても油断しないように気を付けましょう。
滞納している税金や社会保険料などは、減額されないという点にも注意が必要です。これらは、支払が厳しい場合、個別にそれぞれの窓口で相談しましょう。場合によっては、分割払いなどで対応できることもあります。
個人再生を申し立てても、必ずできるとは限りません。利用するための条件を満たしていなければ、裁判所で却下されてしまいます。あらかじめ、条件を満たしているかを確認しておきましょう。
また、個人再生は住宅ローンだけ除外することができる特例があるのですが、住宅に住宅ローン以外の抵当権が設定されている場合は、住宅ローンを除外しても住宅を残すことができないことがあります。その債権を優先することは、法律で認められていないからです。また、住宅ローンの中に自動車の購入資金なども含まれていて、特例が適用できないケースもあるので注意しましょう。
なお、個人再生には清算価値よりも高額の返済をしなくてはいけない、という決まりがあります。そのせいでと言ってはなんですが、場合によっては返済額が高くなることがあります。例えば、負債総額が2000万円なら最低弁済額は300万円ですが、住宅ローンの残債が1200万円で評価額が2000万円の場合は、その差額の800万円を支払わなくてはいけません。また、それに加えて200万円分の株を保有している場合は、その分も加算されます。そうなると、1000万円を返済しなくてはいけません。さらに、裁判所で個人再生の手続き開始決定が出されるまでは遅延損害金が加算されていくので、書類の準備などに時間がかかっているとその分も借金総額に加算されてしまうことにも注意しましょう。

個人再生手続きの成功率

個人再生手続きの成功率は、88%を超えています。これは、小規模個人再生と給与所得者等再生では若干の違いがあり、全体の8割近くが選択している小規模個人再生の場合は、89%以上が成功しています。
それに対して、給与所得者等再生の手続きでは若干成功率が下がりますが、それでも83%以上が成功しているのです。
給与所得者等再生の条件が厳しく、小規模個人再生ができなかった人も含まれていると考えると、83%というのもかなり高い成功率といえるでしょう。
また、認可されなかった原因として、記入漏れが原因となった人も少なくありません。その点に気を付ければ、さらに成功率は高くなるでしょう。

個人再生後の債務の減額率

個人再生をすることによって、債務がどのくらい減額されるのかは借金の総額によって異なります。その額に応じて、最低弁済額が決まっているからです。
例えば、借金が200万円の場合、最低弁済額は100万円なので減額率は50%です。しかし、600万円なら最低弁済額は5分の1と定められているので120万円となり、減額率は80%です。借金総額が300万円以上なら、最低弁済額は総額の10分の1であり、減額率は90%になるのです。
ただし、個人再生にはこの最低弁済額以外に清算価値や可処分所得の2年分といった基準もあります。そちらの方が最低弁済額より高かった場合はそちらが適用されるので、減額率はさらに低くなる可能性があります。

個人再生を専門家に依頼するべき理由

個人再生手続きは、司法書士等の専門家に依頼するのが一般的です。しかし、そのための料金が高いと感じる人も少なくありません。その中には、自分で手続きをしたいという人もいるでしょう。しかし、個人再生の手続は専門家に依頼したほうがいいのです。それは、様々な点でメリットがあるからです。
例えば、専門家に依頼すると受任通知が債権者に送付されて、取り立ては止まります。また、書類作成を代行してもらって確実に作成できるため、何度もやり直すストレスがありません。何より、手続きを確実に指定された期間内に終わらせることができるので、期限切れで不認可になる心配もないのです。
料金以外のところも考慮したうえで、依頼するかどうかを判断しましょう。

個人再生の相談実績

では、実際に個人再生手続をした人の相談実績について、いくつか紹介します。
どのくらい借金を減らすことができたのか、確認してみましょう。

ケース① Aさん
・40代男性
・職業 会社員
・借金総額 700万円

趣味にお金を費やすことが多かったAさんは、昔から生活費に困ることも多く、その度に借金をしていました。さらに、最近ではインターネットの有料サービスを利用する機会も増えたことで、さらに浪費が大きくなりました。時には、給与とほぼ同額を支払わなくてはいけなくなるほどです。10年以上借金を重ねた結果、総額で700万円にも及ぶほどに膨れ上がってしまいました。多少返済しても減らない借金に困ったAさんは、当事務所に相談に訪れました。
最初は自己破産も検討したのですが、Aさんの職業は自己破産手続き中に制限を受けるものでした。手続き中に仕事ができなくなってしまっては失職する可能性がありますので、それを避けるために、個人再生を選択しました。
安定した収入もあり、無事に再生計画が認可されました。積立トレーニングも問題なく終わり、約140万円に減額された借金を月4万円ずつ、3年かけて返済していく事になったのです。

ケース② Bさん
・50代女性
・職業 会社員
・借金総額 4,200万円(住宅ローン含む)

Bさんは20代で結婚してから、40代まで会社で働きましたが病気を機に退職しました。しかし、これまで共働きだったころと比べて収入がかなり減ることを気にして、投資を始めました。ところが、先物取引やFXなどに投資した結果、かなり貯金を減らしてしまい、それを取り戻そうと借金を重ねて投資をしてしまいました。それでも損失が続き、やがて借金は1,700万円にまで膨れてしまったのです。さらに、10年前に新築した自宅のローンもまだ2,300万円ほど残っています。今は夫の給与から支払っていますが、夫婦の共同名義になっていて半分ずつ支払うことになっているので無関係ではないのです。
当事務所に相談に訪れたとき、自宅は残したいということだったので個人再生手続きを勧めることにしました。住宅ローンだけはそのまま夫が支払うこととして、それ以外の借金1,700万円は最低弁済額の300万円に減額され、毎月約8万円ずつ返済していく事になったのです。返済のため、Bさんは今後投資を止めてパートとして働くことにしたそうです。

まとめ

・個人再生手続きは、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類がある
・小規模個人再生は、債権者の過半数の同意が必要
・給与所得者等再生は債権者の同意を必要としないが、返済額は高くなる
・自己破産とは違い、減額されるものの返済は必要だが、自宅を残すことができる
・任意再生とは違って減額される割合は大きいが、整理する債権を選ぶことができない
・安定した収入がなければ、申請できない
・収入や支出を証明する書類が必要
・借金の額は、おおよそ5分の1に減額される
・信用情報機関のブラックリストに掲載されるが、5年から10年ほどで抹消される
・借金の総額によって、最低返済額が決まっている
・個人再生を申請した人のうち、およそ88%が認められている




監修者情報
代表 認定司法書士 幡野 博文
代表 認定司法書士 幡野 博文
認定番号 第401159号 / 東京司法書士会所属 / 登録番号 東京 第1545号
40年の実績と信頼。北海道江別市出身。
昭和56年に司法書士資格を取得し、司法書士事務所を開設。以後、登記業務を主として各方面で活躍し、その傍ら身近な法律家として庶民の相談者として、様々な問題を解決。平成15年の簡裁訴訟代理関係業務の認定制度の発足に伴い、認定司法書士の資格を取得。親切・丁寧をモットーに依頼者と共に問題を解決すべく司法書士活動を展開中。
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