個人再生(民事再生)
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民事再生手続きとは?流れや費用についてわかりやすく解説!

会社の経営状態が悪化したとき、倒産と再建のどちらを選ぶのか、選択するときがやってくるかもしれません。
そのとき、再建を検討している会社にとって最善の方法となるのが、民事再生です。
単に、再生手続きと呼ばれることもあります。
しかし、この民事再生がどのようなものか、実はよく知らない経営者も多いのです。

実は、再建を望んでいる経営者の中にも、民事再生と破産手続きを混同している人は少なくありません。
そのせいで、周囲から民事再生を勧められても拒否してしまうのです。
正しい知識を持っていないせいで、最善の方法を選ぶことができず、あえなく倒産してしまうこともあるのです。
そうならないように、民事再生とはどのような手続なのかを知っておきましょう。
ただし、手続には要件がいくつもあるので、実際に行う際は自分で手続きをするのではなく、まず専門家に相談してみることをおすすめします。
この記事では、民事再生について詳しく解説していきます。

民事再生とは

まずは、基本的なこととして民事再生とは何か、破産とはどう違うのか、という点について、解説していきます。

民事再生とは何か

民事再生というのは、倒産手続の一種となる再建型といわれるものです。
債務者の経済的再建を目標として、収益や財産については維持、あるいは向上させながら、負債を圧縮していくという方法であり、その中でも民事再生法に基づいて行われるものが、民事再生手続といわれるのです。
この手続きを行うには、債権者からの同意を多数得たうえで、裁判所によって再生計画に認可を受ける必要があります。
それによって、債務者の事業や生活の再生を目指すのです。

民事再生と破産の違い

破産との違いについては、以下の表のような違いがあります。

 民事再生破産
財産の扱い事業継続や経済的再生に必要な財産は維持できるすべての財産は換価処分される
事業の継続裁判所、および監督委員の監督のもとで事業が継続できる事業は停止し、会社や法人は消滅する
手続を遂行する人監督委員の指導を受けながら、再生債務者が行う裁判所が選任した、破産管財人や特別清算人が行う
債権者の同意必要不要

民事再生をおこなうメリット・デメリット

民事再生を行うメリットには、以下のような点があります。

・会社の債務を減らしながら、事業をそのまま継続することができる
・経営権は、現在の経営者の元に残る
・債権者が反対した場合でも、手続ができる可能性がある

それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。

・会社の債務を減らしながら、事業をそのまま継続することができる
民事再生は、会社を存続させるために行う手続きです。ただし、それ以外にも私的整理という、関係者が集まって話し合い、債務を減らすという手続きもあります。それと比較して、民事再生は裁判所から許可を得た上で、法律に決められた通りに債務を減らす手続なので、より多くの割合で債務を減らすことができるのです。さらに、支払いについても猶予を得ることができ、最長で120カ月まで延長が認められます。

・経営権は、現在の経営者の元に残る
再建型の手続には会社更生というものもあるのですが、その場合は現在の経営者が経営に携わることはできず、管財人に移行してしまいます。しかし、民事再生の場合は現在の経営者に経営権がそのまま残るので、経営権が移るのを望まない場合は民事再生を選択するべきでしょう。ただし、多くの場合は裁判所から監督委員が選任され、重要な事項についての決定には監督委員の同意が必要になります。

・債権者が反対した場合でも、手続ができる可能性がある
再建型の倒産手続きでも、私的整理の場合は手続きを進めるのに関係者全員の同意が必要です。しかし、民事再生なら債権者集会で採決し、債権者の過半数で債権総額の2分の1以上の賛成を得られれば、残りの債権者が反対していても手続を進めることができます。

このようなメリットがありますが、デメリットもあります。それは、主に以下のような点です。

・抵当権などの担保権がある場合、それが実行されてしまう恐れがある
・社会的な信用の低下は避けられない
・経営陣を維持することに反発されて、手続きができないこともある
・民事再生には資金が必要

それぞれの点について、詳しく解説していきます。

・抵当権などの担保権がある場合、それが実行されてしまう恐れがある
経営が苦しい時に、融資を受けたければ通常よりも厳しい条件になってしまいます。銀行も、貸し倒れの可能性が高い所には貸したくないからです。そのため、確実に回収できるように抵当権など、担保権が設定される可能性が高いのです。
実は、担保権を設定した場合、たとえ民事再生の手続をした場合でも債権者が担保権を持っていれば、個人再生手続とは別に担保権を実行できます。そうして、抵当権を設定した物件等を換価して、債権を回収する可能性があるのです。
これが、会社の経営にあまり関係のない物件などであれば、それほど大きな問題はありません。しかし、自社ビルなどを担保としてしまった場合は、担保権が実行されたときに会社の経営に大きな影響が出る可能性があります。その場合は、民事再生だと自社ビルを所有し続けることができなくなるでしょう。対応策としては、私的整理に切り替えてその担保権を持つ債権者には債務カットを要請しない、あるいは会社更生を利用して、担保権者も手続きに参加させるなどの方法があります。

・社会的な信用の低下は避けられない
民事再生の手続をしたことは、官報に公告されてしまいます。また、帝国データバンクには倒産情報があるのですが、そこにも記録されてしまいます。大きな企業であれば、ニュースでも報道されてしまうでしょう。様々な所から情報が広まるので、社会的な信用が低下してしまうのは避けられないでしょう。

・経営陣を維持することに反発されて、手続きができないこともある
民事再生のメリットに、経営権が経営陣に残されるという点がありましたが、もし今の経営陣の放蕩経営などが会社を経営難にした原因だとしたら、再建をする上でかえって邪魔になるとして、債権者から経営陣の交代を求められてしまうでしょう。
債権者の一部が反対しても、手続できるのが民事再生の特徴なのですが、このような場合は債務を圧縮するだけでは納得できないという理由から、債権者が納得できない可能性が高くなります。そうなると、必要な割合の賛成を得ることが難しくなり、手続が始められないかもしれません。

・民事再生には資金が必要
民事再生は、決められた資金がなければできません。それは、負債の総額によって裁判所に決められた予納金を納めなくてはいけないからです。それ以外にも、郵券や収入印紙も納めなければいけないのですが、郵券は3,880円、収入印紙は10,000円です。それに対して、予納金は以下の表のとおりに必要です。

負債総額必要な予納金
~5,000万円200万円
5,000万円~1億円300万円
1億円~5億円400万円
5億円~10億円500万円
10億円~50億円600万円
50億円~100億円700万円
100億円~250億円900万円
250億円~500億円1,000万円
500億円~1,000億円1,200万円
1,000億円以上1,300万円

完全に資金がショートしている状況では、この予納金を捻出するのも難しいかもしれません。その場合は、手続を行うのも難しいでしょう。

借金を放置するとどうなるの?

何もせずに借金を放置していると、どのようなことが起こるのでしょうか?放置した際に、起こりうることについて解説します。

差し押さえ

銀行から融資を受ける際などに、会社が所有している物件などに担保権を設定していると、借金が予定通りに返済されず督促にも応じなかったときに、差し押さえされてしまう可能性があります。これは、債権者が裁判所を通じて行うものなので、反対することは基本的にできません。その物件等が、処分されて債権に充当されることになるでしょう。
差し押さえを受けるのは、不動産ばかりではありません。会社が持つ、売掛金が差し押さえられてしまうこともあります。売掛金が差し押さえられるということは、予定していた収入が得られなくなるということです。そうなると、こちらが支払うはずの代金も支払えなくなるので、不渡りを出す可能性も高くなるということです。
不渡りは、1回でも業界内に悪いうわさが流れてしまいます。それが2度続くと、銀行取引の停止処分が下されてしまいます。そうなった時点で、会社の信用力はかなり低下してしまうのです。倒産するとは限らないのですが、売り掛けで取引してくれる企業はかなり減ってしまうので、経営が厳しくなることは間違いないでしょう。

債権者から借金の全額を一括請求される

分割払いをする契約でお金を借りていて、返済が滞ってしまうと分割払いではなく、残っている借金を全額一括請求されることがあります。これは、期限の利益の喪失によって、分割払いの権利が失われたときに行われます。
もちろん、一括で返済できれば問題はありませんが、それができる可能性はかなり低いでしょう。それに応じられなければ、倒産につながる可能性が高くなってしまいます。
たとえ一括でどうにか返済したとしても、それ以降は銀行から融資を受けられる可能性がかなり低くなってしまいます。それによって、今後の経営計画には大きな影響が生じることとなるでしょう。

債権回収代行業者に債権が移る

銀行などから借りた借金の返済が滞ると、その債権の権利が債権回収代行業者に移ってしまうことがあります。そうなると、今後はその業者から督促の連絡が届くようになるでしょう。
債権者が変わっただけ、と思うかもしれませんが、そうではありません。相手は、債権回収のプロなので、採集通告から差し押さえになるまでの手続が、非常にスムーズに進められてしまいます。
そうならないようにするには、きちんと返済の予定を話し合う必要があります。それが上手くいかない時は、速やかに民事再生の手続をしていきましょう。

民事再生を行う方法

民事再生にも、いくつかの方法があります。会社の経営を続けながら、一定の額は返済をしていかないといけないので。それぞれの方法で返済が可能かどうか、ということが重要になるのです。どのような方法があるのか、解説していきます。

自力型再建型

最も基本的な方法は、会社を経営していく上で利益を得て、それによって再生していくという方法です。ただし、民事再生をしていることは広く知られているので、これまでは取引があった業者の中にも今後の取引を望まないところが増えてしまうでしょう。そうなると、今後きちんと利益を得て返済していくのが難しくなるでしょう。

スポンサー型

自力で返済していくのが難しい、という企業も少なくありません。その場合は、スポンサー型を利用することになるでしょう。資金を援助してくれるスポンサーを得て、借金の返済をしていくという、主流ともいえる方法です。
また、この方法にはスポンサーの持つ経営資源や販路を利用できることや、信用を補ってもらえるといった利点もあります。債権者も、回収できる金額が増える可能性があるので、反対はしにくいでしょう。
ただし、スポンサーを見つけること自体がかなり困難です。こちらの会社に何らかの魅力や旨みがなければ、どの企業もスポンサーになってくれることはないでしょう。資金援助をしてもいい、と思える魅力をアピールする必要があるでしょう。

清算型

スポンサー型の一種で、事業そのものをスポンサーに譲渡してしまうことで事業は存続させ、その売買代金を債権者に支払って再生法人については生産してしまうという方法です。この場合は、事業を譲渡したことによる売買代金を返済に充てて、事業そのものはスポンサー企業に吸収されてしまいます。経営権が残るというメリットは消えますが、それ以降は返済する必要がなくなるのです。

民事再生手続きの流れ

民事再生がどのような流れで進んでいくのか、解説します。
基本的な流れは、以下の通りです。
STEP1 専門家への法律相談
STEP2 民事再生手続きの依頼
STEP3 裁判所に再生手続及び、保全処分の申立
STEP4 保全処分決定、および監督委員の選任
STEP5 債権者集会の開催
STEP6 裁判所による民事再生手続の開始決定
STEP7 業務状況の報告、及び財産の評定と報告
STEP8 債権認否書を裁判所に提出
STEP9 再生計画案を作成
STEP10 再生計画案の決議、および認可、遂行

それぞれの、詳しい内容を解説していきます。

STEP1 専門家への法律相談
手続を始める前に、まず専門家へと相談しましょう。
その際は、民事再生や倒産手続の実績が豊富な専門家を選びましょう。

相談のときは、会社の財務書類を見せます。
それを見ながら、経営状況や借入の状況をヒアリングし、民事再生が可能かどうかを判断するのです。
難しいと判断された場合は、それ以外の破産手続きなどを提案されることもあるでしょう。

民事再生手続を行うには、様々な要件を満たさなければいけません。
その準備を全て自分で行うのは困難となるでしょう。
そのため、早めに専門家へと相談することが大切です。

STEP2 民事再生手続きの依頼
民事再生手続きが可能と判断された場合は、今後の具体的な流れやどのようなサポートをしていくか、費用や時間がどのくらいかかるのかを具体的に説明されます。
問題がなければ、そのまま民事再生手続を進めるために委任契約を交わすことになるでしょう。
契約が成立したら、委任状を渡しましょう。
専門家が委任状を受け取ることで、会社の代理人として債権者への対応を行います。
さらに、裁判所への申立、若しくは、申立のサポートも行います。
それ以降、裁判所や債権者とのやり取りは基本的に任せることになります。
債権者にどう説明したらいいのか悩んでいる人も、この時点で直接顔を合わせる必要がなくなります。

STEP3 裁判所に再生手続及び、保全処分の申立
裁判所に提出する書類として、民事再生の申立書や添付書類などを用意します。
それを提出した上で、負債総額に応じた予納金を納める必要があります。
書類は専門家が用意、若しくは、書類作成のサポートをしますが、一部は依頼人が用意する必要があります。
その際も、作成方法などを教えてもらうことができるので、その通りに作成しましょう。
あまり経験がない専門家に依頼すると、この書類のほとんどを自分で用意することになってしまうケースがありますので、経験豊富な専門家に依頼することが重要です。

STEP4 保全処分決定、および監督委員の選任
裁判所に申立てて保全処分が決定すると、その効果として、今後会社は借入金及び仕入れ債務など、これまでに負っている借金の支払いは禁止されます。
その時点で、現時点での債務に対する支払いはストップすることとなるのです。
その間、会社は資金繰りが破たんして、倒産することを免れることができるのです。
保全処分が決定されると、裁判所は会社の民事再生手続を監督する役目を持つ、監督委員を選任します。
これは弁護士が選ばれるのですが、当然依頼した弁護士とは別の人が選ばれます。
返済に困っていたり、仕入れのための資金繰りに困っていたりしている状態では、借入金の返済をしなくてもよくなるというのは、非常に大きなメリットとなるでしょう。
ただし、債務そのものがなくなっているわけではないので、これから再生計画を作成して、減額された債務の残額を支払わなくてはいけません。
ただ、一時的とはいえ返済がストップすることで、精神的にはかなり楽になるでしょう。

STEP5 債権者集会の開催
民事再生手続きを開始する前に、一度債務者に集まってもらう必要があります。
その集会で、なぜ民事再生をすることになったのか、現在の財産と債務はどうなっているのか、今後どのようにして手続を進めていくのかを説明し、今後の再建への協力と取引の継続についてのお願いをすることになります。
これは、申立から1週間以内に行うのが一般的です。
その際は、会社の代表者と共に依頼した弁護士も出席し、説明について必要な部分はアシストしてくれます。
この集会で、債権者の協力をしっかりと取り付けなければ、民事再生の手続は困難になります。
手続を成功させるためにも、債権者には誠意をもってきちんと説明し、誠心誠意お詫びをしましょう。
その上で、協力してくれるようにお願いすることとなります。
成功率を高くするには、事前の打ち合わせが重要です。
どんな挨拶をして、資料はどのようなものを用意するか、説明はどうするかなど、細かく打合せしておくことで、債権者にも前向きに受け取ってもらえるようにするのです。
それには、専門家のアドバイスが重要となるでしょう。

STEP6 裁判所による民事再生手続の開始決定
申立から1~2週間ほどで、裁判所から民事再生手続の開始決定がされます。それに伴って、債権者には再生手続きを開始するという通知書と、債権届出用紙が送付されます。
債権者は、その届出用紙に記入して、債権を申告します。

STEP7 業務状況の報告、及び財産の評定と報告
会社がなぜ民事再生をすることになったのか、その事情や業務・財産状況を記載して、報告書を作成します。
また、会社として保有する財産について、その目録や価値の評価、貸借対照表なども作成します。作成した書類は、裁判所に提出します。
書類の作成は、依頼した司法書士などが代理で作成、あるいは作成をサポートします。
面倒な書類も、スムーズに作成することができるでしょう。

STEP8 債権認否書を裁判所に提出
債権者が届け出た債権に関しては、その債権が確かにあるものか、金額に間違いはないかといったことを調査して、その結果を認否書としてまとめて裁判所に提出します。
届出があった債権は、一つずつ丁寧に確認して認否を間違いなく行わなくてはいけません。認否書への記載は、慣れていないと難しい部分もあるので、専門家が代わりに作成してくれます。

STEP9 再生計画案を作成
全体的な債務を把握したら、それを基にして再生計画案を作成します。
これは、債権者に借入金や買掛金などの債務をどれくらい免除してもらえば返済できるのか、どの程度の期間で残った債務を返済するためにどう返済していくのかを書面にしたものです。
その内容が、現実離れした者であれば債権者も納得せず、裁判所でも認めてもらえません。きちんと、見た人が納得できるような内容で作成しなければいけません。
そのためのサポートも、してもらえます。
これは、決して債務を免除してもらえるように、債権者へとお願いするものではありません。
なぜこのような内容になっているのか、きちんと説明できなくてはいけないのです。
債権者には丁寧に説明して、きちんと理解してもらいましょう。
そのためにも、作成は経験豊富な専門家にサポートしてもらいましょう。

STEP10 再生計画案の決議、および認可、遂行
再生計画案を作成したら、それを債権者集会で認可してもらう必要があります。
その際は、多数決で決議されるのですが、人数で過半数、債権額で2分の1以上の債権者の賛成が必要です。
無事に可決されて、裁判所でも認可されると、依頼者はその計画に従って今後は返済していきます。
ここで、専門家のサポートは終了になります。
再生計画が認可されてから、約3年間は裁判所の監督下に置かれます。
また、その間は再生計画通りに返済しているということを、裁判所に報告しなくてはいけません。
3年が経過したら、裁判所の監督も終了します。
しかし、それ以降も会社は再生計画に基づいて、弁済し続けることになります。

上記のような流れで、手続は勧められていきます。
こうして、会社を再建するための準備が整うので、その後は減額された債権をしっかり返済し、新たなスタートを切りましょう。
それは、債権者が再生計画に応じてくれたおかげでもあるので、きちんと感謝した上で事業再建をしましょう。

民事再生手続きにかかる期間

民事再生手続きによる弁済期間は最大で10年ですが、認可を受けるまでにはそれほど時間はかかりません。手続等の様々な部分で前後しますが、東京地方裁判所が示している標準的なスケジュール通りに進んだ場合、申立から計画案を提出するまでに3ヶ月、再生計画の認可を受けるまでの期間は最短で5カ月となっています。会社更生等の手続が1年から数年かかることを考えると、かなり短い期間で手続きを終えることができるのです。
しかし、そのように手続きをスムーズに進めるためには、書類の作成などを間違いなく進める必要があります。書類には複雑なものも多く、また数そのものも多いので、何度もやり直しになることは珍しくありません。しかし、それをやり直しせずにできた場合は、標準的な期間で進められるのです。そのためには、あまり自分だけでやろうとするのではなく、司法書士などに依頼して、なるべく多くの部分を任せてしまいましょう。その方が、安心して手続を進められます。

民事再生を成功させるには

民事再生を成功させるには、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか?成功させるためのポイントについて、解説します。

民事再生を成功させる条件

民事再生が成功するかどうかを分ける最大のポイントとなるのは、キャッシュフローがプラスになっているかどうか、という点です。これがプラスなら、民事再生では少しずつであっても改善していくことができるでしょう。これまでに大きな不正をしていたり、債務者からの反対があったりしないのであれば、まず目指すべきなのは自力再生です。時間はかかっても、自力での民事再生も可能になります。自社だけではなく、取引先やお客様にとっても大きなメリットのある選択肢といえます。さらに、経営者に求められるのが向上心と、他者からの助言を素直に受け入れる姿勢です。
自力再生が難しそうなときは、スポンサー型の民事再生を目指すという選択肢もあります。自分の経営権は失われる可能性も高いのですが、社員の生活は守られ取引先にも最小限の迷惑で済むでしょう。
会社を残すことも大切ですが、それよりも従業員のことを考える方が重要でしょう。後になって後悔する選択をしないように、よく考えて行いましょう。

民事再生に要する費用とは

民事再生をするためには、まず司法書士などの専門家に依頼して依頼金を支払うことになります。また、負債総額に応じた予納金も、裁判所に支払う必要があります。郵券や収入印紙代も支払いますが、郵券は3,880円、収入印紙代は10,000円と決まっています。
裁判所にあらかじめ納めておく金額は、以下の通りです。

負債総額必要な予納金
~5,000万円200万円
5,000万円~1億円300万円
1億円~5億円400万円
5億円~10億円500万円
10億円~50億円600万円
50億円~100億円700万円
100億円~250億円900万円
250億円~500億円1,000万円
500億円~1,000億円1,200万円
1,000億円以上1,300万円

予納金は、手続き開始決定までに全額納めることが原則となっています。しかし、東京地方裁判所では申立時に6割納付すれば、残りは2分割で納めても良いとされています。裁判所によっては、このような文能が認められている所もあるので、一度に支払いが難しい時は相談してみましょう。

司法書士などに支払う着手金と報酬金は、事務所によって異なります。また、顧問契約をするかどうかでも、違いが生じるため、一概には言えません。これも負債総額によって異なるのが一般的ですが、合計で予納金の2倍から10倍の間で設定されています。業務量に応じて算出するところもあるので、あらかじめ確認してから依頼することをお勧めします。

民事再生についてよくある不安や質問

民事再生において、よくある質問とその回答について、紹介します。

Q.民事再生を申し立てた場合、再生手続は必ず開始決定されるのか?
A.申立て棄却事由というものがあるので、それに該当しないと裁判所が判断すれば開始決定されます。棄却事由としては、
・再生手続に伴う費用の予納がされない
・破産手続等が先んじて進行していて、そちらの方が債権者にとって有利と判断された
・再生計画案が認められる見込みがないとはっきりしている
・再生手続の申立が、不当な目的によるものと判断された

Q.再生計画案が可決しなかった場合は、どうなる?
A.債権者集会で再生計画案が可決されなかった場合は、再度債権者集会を行うことにしてそれまでの間に債権者と個別に交渉し、認めてもらえるよう働きかけることができます。集会が開催されない場合や、再生計画案が何度も可決されなかった場合、秘訣が確定するために民事再生はできなくなるため、必要に応じて破産手続きに移行することとなります。

Q.民事再生によって、会社は再建できるのか
A.こればかりは、会社の状況によるとしか言えません。財産状況や債権者の数、負債人数、経営陣の意思などを含めて、再建できるかどうかの判断をされます。債権を目指すのなら、法律上の問題や債権者への対応など、様々な事を考えなくてはいけません。自分でどうにかしようとするのではなく、司法書士などに相談してみましょう。

Q.従業員への説明はどうしたらいい?
A.事業の再建を目指すなら、従業員との協力は必要不可欠です。申立直後に、きちんと従業員位には説明して、信頼関係を築きましょう。
ただし、説明の仕方には気を付けましょう。現時点で決定していないことを約束すると、そこから不信感が広がることもあります。また、不用意に情報が流出しないように、注意しておく必要もあるでしょう。

民事再生の相談実績

民事再生についての相談実績を、いくつか紹介します。

①小売業
債権者数:4件
借金総額:10億円
売上は十分にあったものの、コストがかさんだことで負債の返済が難しくなってしまったため、民事再生を選択しました。他社に事業を譲渡する清算型民事再生を選択したことで、譲渡代金の2億円を債権の弁済に充てることとなりました。経営権は譲渡したものの、事業そのものは継続でき、従業員の雇用先も守れました。

②菓子製造販売業
債権者数:6件
借金総額:18億円
自社工場と直営店を保有しており、売上高は年間25億円の企業です。民事再生によって、借金のおよそ9割をカットすることができ、残った分についても10年に分割して弁済していくことで認可を得ました。経営陣も変わらず、営業も続けていますが、工場は抵当に入れることとなりました。

③外食産業
債権者数:2件
借金総額:30億円
外食チェーン店を展開する企業で、多額の負債を抱えたことで民事再生を選択。売上高などから、借金のうち8割以上をカットすることができたので、残った分は10年かけて弁済していくことに決定されました。不採算店舗も閉店して、より利益を得られるように業務改革をしているため、業績も改善傾向になっています。

④医薬品販売業
債権者数:6件
借金総額:40億円
医薬品販売の大手企業で、直営店も全国40カ所に展開していたものの、多額の負債を抱えてしまい民事再生を選択。同業他社に事業を譲渡する清算型民事再生を選択して、譲渡代金の10億円で債権を弁済することになったため、事業は継続して従業員の仕事も確保できました。

⑤旅館業
債権者数:3件
借金総額:5億円
老舗旅館として営業してきたものの、老朽化によって修繕代金がかさみ、借金を抱えることとなり民事再生を選択しました。再生計画を提出して、借金総額は3,000万円まで圧縮することができたので、5年かけて弁済することとなりました。今後は、旅館の修繕代金を積み立てながら返済していくこととなるでしょう。

任意整理を専門家に相談するメリット

任意整理は、司法書士などに依頼するのが一般的ですが、そのための料金が高いと感じた人の中には、自分で手続きをしたいという人もいるでしょう。その場合と、依頼した場合のメリット・デメリットについてまとめたので、参考にしてください。

負債総額司法書士弁護士自分で行う
時間×
費用
140万円を超える借金には対応できない
×
金額の制限なくできる

特にないが、金額が増えると手間も増える
対応金額の制限
取り立て・督促
依頼を受けた時点で受任通知を送付し、取り立てや督促が止まる

依頼を受けた時点で受任通知を送付し、取り立てや督促が止まる
×
交渉が終わるまでは止まらない

専門家に依頼する場合、料金の高さが気になる人もいるでしょうが、書類作成などの難しいところを代行してもらうことができます。その他、専門的な知識が必要な多くの手続きも代行してもらうことができる為、料金以外のところも考慮したうえで、依頼するかどうかを判断しましょう。

まとめ

・民事再生は、会社を存続したまま負債を減額できる
・経営陣も、後退せずに今のまま続けられる
・事業に関係のある財産などは処分しなくてもいい
・一部の債権者が反対していても、過半数で負債総額の半分以上が賛成すれば手続できる
・予納金は、負債の総額によって異なる
・社会的な信用は低下してしまう
・自力で再建するだけではなく、スポンサーを見つける方法もある
・スポンサーに事業を譲渡するという選択もある
・専門家に依頼することで、様々なサポートが受けられる
・要件がかなり厳しく決まっている
・手続に係る期間は、およそ半年ほど
・民事再生を申し立てても、棄却されることがある
・債務額が、10分の1になったケースもある




監修者情報
代表 鈴木 法克
代表 鈴木 法克
認定番号 第101196号 / 東京司法書士会所属 / 登録番号 東京 第7018号
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