任意整理
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任意整理の費用相場はいくら?支払方法や払えない場合の対処について解説!

毎月、借金の返済に苦しんでいる人も多いでしょう。そんなとき、任意整理で毎月の返済が楽になるという話を聞くと、自分もやってみようかと思いますよね。でも、気になるのはその費用です。あまりに費用が高いようなら、かえって支払いが苦しくなるだけなのでは?と不安になるかもしれません。
特に、司法書士や弁護士に依頼するとなると、費用もかなり高額になるのではないかと思ってしまうのは確かです。今、手元にそんなお金があるのなら、こうして返済に苦労していません。実は、事情により費用を用意できない方に向けた対処法もあるので、実際に費用が足りなくて困る、ということはあまりないのです。そういった点については、ご安心ください。それよりも、今の借金を減らし、きちんと完済することで、新しい人生を歩みだしてみませんか?
この記事では、専門家に依頼すると具体的にどのくらいの費用が必要になるのかご紹介します。ぜひ参考にして頂き、任意整理を検討してみましょう。

任意整理とは

任意整理は、2つの段階に分かれます。まず現在返済中の借金に関して、過去の取引を遡って利息と返済額を計算し、利息制限法で定められている利息を超えて支払いをしていないかを調べ、払い過ぎているところがあればそこから利息の引き直し計算をして、その分を請求します。これを、過払い金請求といいます。
もう一つは、和解交渉です。こちらは、お金を貸している業者と交渉することで、現在残っている借金に対してかかる利息を、今後カットしてもらい、毎月の返済額を調整するというものです。自分が毎月支払える金額をもとに、およそ3年以内に完済できるよう月々の支払いを減額してもらうのです。利息がなくなるだけでも、借金の総額はかなり減額されます。そうして、相手の同意を得た上で今後の返済計画を話し合い、完済できるようにするのです。

任意整理の年間利用者数はどれくらいいるの?

任意整理は、年間で300万人から500万人ほどの人が利用しています。これは、自己破産をした人数のおよそ30倍から50倍にあたり、個人再生の1000倍にもなる人数です。債務整理にはこの3種類がありますが、その中でも任意整理を利用している人が、群を抜いて多いのです。

任意整理の年間利用者数が増加している理由

任意整理の利用者数がこれほど多いのは、大手法律事務所による過払い金請求の宣伝も理由のひとつです。しかし、それ以外にも、ネット・スマホの普及によるネットショッピングの利用者が大幅に増加したことに伴って、クレジットカード利用率が増えたこともその原因です。これまで、現金払いをしてきた人がクレジットカードで買い物する機会が増えたことで、使い過ぎによる返済不可能な状態に陥ることが増えたのです。
電子マネーの普及も、クレジットカードの利用率増加につながっています。そのため、母数が大幅に増えたことで、任意整理を必要とする人も増えているのです。

任意整理の利用条件

任意整理は、どのような方でも利用できるというわけではありません。利用するためにはいくつかの条件があるので、それを満たしていなければならないのです。どのような条件があるのか、解説します。
まず必要なのが、安定した収入があるという点です。手続きをした場合は借金が無くなるというわけではなく、原則利息カットされた上で36回~の長期分割払いとなるのですが、その返済ができるという保証がなければ交渉に応じてもらうことはできません。そのために、返済を続けられるだけの安定した収入が必要とされるのです。そのため、短期のアルバイトや収入が増減しやすい自営業の方などは、任意整理ができない可能性があります。
任意整理ができるかどうかを収入面で見る場合、確認するべきなのは可処分所得です。これは、収入から必要最低限な生活費等を除いた金額のことで、要するに返済に使うことができる金額です。任意整理後は基本的には36回~60回の長期返済となるため、減額後の借金総額の36分の1~60分の1以上を目安として、任意整理が可能となります。例えば、可処分所得が3万円だった場合、その60倍の180万円未満の借金なら任意整理ができる、ということになります。
但し、この返済期間ですが、債権者によっては96回以上というケースも稀にあります。
従って、最大60回ではなく、「概ね60回」と認識しておきましょう。

任意整理にかかる費用と相場

任意整理にかかる費用と相場

任意整理を依頼した場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?具体的な金額は各事務所で異なるので、ここでは相場についてだけ解説します。
弁護士に依頼した場合、和解交渉だけなら3万円から6万円が相場とされています。過払い金請求があった場合は、それに加えて過払い金として回収できた金額の10%~25%が上乗せされます。
司法書士は若干安いことが多く、和解交渉の場合は2万円から5万円が相場です。過払い金請求があった場合は、回収できた金額の10%~25%が上乗せされます。

任意整理の専門家費用の内訳

費用の内訳は、目安として以下のようになっています。

費用内訳弁護士司法書士
相談料0円~1万円0円
着手金・基本報酬1社あたり3万円以下
2社以上の場合、1社あたり2万円以下
1社あたり2万円以下
減額時基本報酬減額成功金額の10%以下減額成功金額の10%以下
過払い金成功報酬回収金額の10%~25%回収金額の10%~25%

※ご相談内容・事務所によって金額は前後致します。

こうした報酬については、日本弁護士連合会や日本司法書士連合会から、ガイドラインが出されています。しかし、明確には定められていないので、あくまでも目安です。
また、債権者が複数の場合は、1社あたりの着手金も減額されることがあります。それも、各事務所で規定が異なるので、確認が必要でしょう。
例として、2社に100万円ずつの借金があった人が、任意整理によってそれぞれ80万円、70万円に減額できた場合の報酬について、計算してみましょう。
まず、相談料として1万円かかります。実際に手続を始めることで、着手金として1社あたり2万円、2社で4万円がかかります。減額できたのはそれぞれ20万円、30万円なので、基本報酬としてそれぞれの10%、2万円と3万円を支払うことになるので、合計では1万円+4万円+2万円+3万円=10万円の費用を支払うことになります。合計で、50万円減額できたので、差し引き40万円分得をしたことになります。
これが、過払い金の場合だと、もっと話が違ってきます。過払い金として20万円戻ってきた場合は、その20%となる4万円の報酬が追加されます。そうなると、支払う金額は14万円になるのです。過払い金は、回収金額の10%~25%と幅が広いのですが、一般的には20%ほどとしているところが多いでしょう。

任意整理の費用を安くする方法は?

任意整理の費用を安くする方法というのは、基本的にありません。安い料金を掲げる専門家に依頼することはできますが、大幅な減額にはならないでしょう。なぜなら、一連の手続きをするにはどうしても、拘束時間が発生するので費用がかかってしまうのです。そのため、費用を抑えるとしても限度があります。
最終手段としては、自分ですべて手続きを行うという方法があります。それなら、2万円程度の費用で済むでしょう。ただし、素人が交渉に訪れても、その交渉に応じてもらえる可能性は限りなく低いので、何も得ることなく終わる可能性のほうが高くなります。骨折り損のくたびれ儲け、となってしまうでしょう。
それよりも、専門家に依頼したほうが、費用は安くならないとしても減額してもらえる金額が大きくなるので、最終的には得をする可能性が高いのです。どれだけ減額してもらえるかによって、返済額と手続きにかかる費用が大きく異なることがあります。その点に注目して、取扱件数の多い専門家に依頼した方がいいでしょう。

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任意整理をした場合の支払方法の例

実際に任意整理をした場合、その費用の支払い方法はどのようになるでしょうか?相談してから、費用を支払って債権者に支払いをするまでのスケジュールについて、表を用いて解説します。
① 4社の任意整理をした場合(総額88,000円)
3月に相談を受けてから支払い方法について話し合い、5月末から4回払い(22,000円×4)となるようにした場合

相談受任通知費用の分割支払い完了後、和解交渉和解債権者に
支払い開始
3月4月5月6月7月8月9月10月
¥0¥0¥22,000
支払い開始
¥22,000¥22,000¥22,000
支払い完了
¥0

② 8社の任意整理をした場合(総額176,000円)
1月に相談を受けて、支払い方法を月3万円の6回払い(30,000円×5、最終回のみ26,000円)となるようにした場合

相談受任通知費用分割支払い後、和解交渉和解債権者に支払い開始
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月
¥0¥0¥30,000
支払い開始
¥30,000¥30,000¥30,000¥30,000¥26,000
支払い完了
¥0

最初に支払う費用は、債権者への支払いが無理なくできるように、費用の支払いが完了してから和解できるようスケジュールを組むのが一般的です。分割払いでも、同じく全額支払ってから和解できるようにしているので、問題ないでしょう。

任意整理費用を用意できない場合

どうしても、任意整理のための費用を用意できない場合はどうしたらいいのでしょうか?その場合でも、任意整理をする方法はあります。その方法について、解説します。

司法書士に依頼する

弁護士だと少し費用が高すぎる、という場合は、司法書士に依頼・相談してみましょう。
司法書士は、弁護士よりも費用が安いこともあるので、これなら支払えるという人もいるでしょう。ただし、司法書士は140万円を超える借金については対処できないので、1件当たり140万円を超えている借金がある場合は、別の方法があります。

分割払いにする

今すぐ費用を用意するのが難しいという人は、分割払いで支払うという方法もあります。任意整理をする人が、何万円も一括で支払う余裕があることは珍しいので、多くの司法書士などは分割払いに応じてくれます。中には、最長で36回払いまで応じてくれるところもあります。返済計画についてもしっかりと話し合って、無理なく支払えるようにしましょう。

債権者への支払いを一時的にストップさせる

毎月の返済がなくなれば、支払う余裕ができるという人もいるでしょう。専門家に依頼すれば、返済はすぐにストップできます。しかし、その費用の支払いは、依頼と同時というわけではないので、ストップした返済分をその支払いに充てることができます。依頼金を支払えるだけの余裕ができるようなら、まずは相談してしまった方がいいでしょう。

このような方法で、費用を用立てることは可能です。自分にはどれならできるか、検討してみましょう。

任意整理を自分で行うことは可能?

任意整理は、裁判所を通じて行う債務整理とは違い、直接貸金業者と交渉する手続きです。そのため、司法書士等の専門家に依頼せずに自分で手続きを行うことも出来るのではないか、と思われることもあります。自分で行う場合、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか?
メリットとしては、専門家に支払う報酬が不要という点があります。借金を返済していくためには、なるべくコストをかけないようにしたいでしょう。しかし、メリットはそれだけです。
デメリットとしては、まず手間や時間がかかるという点があります。書類や段取りなどもすべて自分で行う必要があるので、かなり大変でしょう。その上、自分で行うと貸金業者に相手にしてもらえないことも多く、交渉においてもスムーズに進められることが少ないため、成功率も下がってしまいます。

自分でおこなう場合の費用

任意整理を自分で行う場合、それほど大きな費用は掛かりません。専門家に支払う費用もないため、通信費や交通費、書類等の郵送費、その他のこまごまとしたものだけとなるため、総計で2万円ほどとなります。任意整理に限らず、どの債務整理でも専門家に依頼せずに自分で手続きをすることで、専門家へと支払う費用はなくすることができます。
ただし、費用を削減できる代わりに手続きの手間は全て自分で行うことになります。任意整理の場合は裁判所への手続きは必要無いものの、債権者と話し合いをして条件を交渉していき、書類を作成するのも自分で行う必要があります。専門的な知識やノウハウがなければ交渉に成功するのは難しいので、かかった時間や手間が無駄になってしまう可能性も高いでしょう。

自分でおこなう場合の手順

自分で任意整理の手続きをする場合は、どのような手順で進めていくのでしょうか?手続きの流れについて、解説します。
まずは、取引履歴の開示請求を行います。それを基にして、過払い金がないか利息の計算をしましょう。ただし、貸金業者の中には個人での手続きであれば、開示請求に中々応じてくれない所もあります。開示請求には応じる義務があるので、開示してもらえるまで何度も請求するようにしましょう。
グレーゾーン金利での借り入れをしていたことがある場合は、開示された取引履歴を基にして利息の引き直し計算を行います。引き直し計算のための表計算ソフトなどもあるのですが、どう計算すればいいのか分からないという方や、間違えて理解している方なども多く、自分で正しく計算することはまず不可能と言えるでしょう。見落としがあっても、貸金業者は債務者に有利となるような訂正は行いません。そのため、自分が損をする可能性が高いのです。
計算した結果を踏まえて、債権者と交渉をします。しかし、個人で交渉を申し込んだ場合は応じてくれない可能性が高いでしょう。開示請求とは違い、任意整理の交渉には応じなければならないという義務がないのです。交渉をして和解するには、ノウハウや経験が必要です。
和解になった場合は、和解書を作成しなければいけません。フォーマットがあるので自分で作成できるでしょうが、それまでも個人では難しい点が多いため、なるべく専門家に依頼することをおすすめします。

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任意整理で返済額が減る仕組みとは?

任意整理で返済額が減るとは言いますが、具体的にどのような仕組みで減らせるのでしょうか?その仕組みについて、詳しく解説します。

返済額が減る仕組み

返済額が減る仕組みとしては、過払い金請求ができる場合はその分が元金から引かれることと、利息をカットできるからです。過払い金請求は、その当時にさかのぼって利息を計算し直して、過剰に支払っている分を元金から差し引きます。例えば、3万円の支払いのうち2万円が利息分だったのが、本来の金利なら利息分は1万円だった場合、元金分として2万円支払ったことになります。そうなると、翌月分はさらに元金が減り、利息分もさらに少なくなるため、どんどんと元金が減額されていき、支払うべき金額も少なくなっていくのです。
利息のカットは、毎月の支払いのうち今後は元金だけにしてもらえる、ということです。それにより、毎月の支払いが元金+利息から、元金を返済期間で割った金額だけで済むようになるのです。元金が多く残っているうちは、利息の支払いも多額になるので、違いは大きなものとなるでしょう。

任意整理により減額できるもの

任意整理によって減額できるのは、利息や遅延損害金が主ですが、過払い金がある場合は元金も減額できます。過払い金がない場合は元金の減額はされず、利息と遅延損害金だけカットされるのが一般的です。それでも、利息は毎月積み重なっていくものなので、将来利息の総額が占める割合はかなり大きなものとなります。時には、利息だけで元本を超えることもあるでしょう。また、遅延損害金は支払いが遅れたときに課されるものですが、利息よりも割合が大きいため、期間が長くなればこれも無視できない金額になってしまいます。その2つが減るだけでも、返済する上ではかなり楽になるでしょう。元本が残るからといって、がっかりするものではないのです。
ポイントとなるのは、減額した結果、その残額を3年から5年で全額返済できるか、ということです。任意整理をする場合、その期間で返済できるように返済額を設定するのが原則となっています。本来なら3年で返済できるようにするのですが、元金が多額だった場合は毎月の支払金額も大きくなるので、返済能力を考慮して完済までの期間を5年に設定することもあるのです。この期間も、業者と交渉した結果によって決まります。不要に伸ばすことはできませんが、必要があれば延長できるのです。

借金を放置するとどうなるの?

返済はできないけれど、任意整理もせずにただ借金を放置してしまった場合、どうなるのでしょうか?一度延滞した時点で、貸金業者から連絡が来て、いつまでに支払えるかの確認をされます。その上で、さらに放置を続けてしまった場合、どんどん事態は悪化していきます。その具体的なリスクについて、確認してみましょう。

差し押さえ

貸金業者などの債権者からの連絡も無視して放置を続けていると、債権者が裁判所に訴え出ることがあります。その際は、裁判所に呼び出されますが、それを無視しても裁判は進んでしまい、知らないうちに判決が下されます。その結果、債権者は強制執行が可能になるのです。
強制執行というのは、いわゆる差し押さえです。支払っていない借金の残りに加えて、積み重なった利息と数か月分の遅延損害金で、かなりの金額になっているでしょう。その金額に応じた財産として、預貯金の口座や不動産、生命保険、車、貴金属や果ては給料など、様々な財産や収入が差し押さえられる可能性があります。
裁判の結果が出ると、差し押さえはいつでもできる状態になります。どのタイミングでそれが執行されるかはわかりませんが、いったん差し押さえられてしまうとかなり困ったことになるでしょう。

債権者から借金の全額を一括請求される

カードローンなどの利用規約には、期限の利益喪失という項目があります。これは、本来は分割払いを認めている借金の支払いを滞納した場合、それが一定期間になった時点で期限の利益が喪失するので、残額を一括で返済することになる、ということです。通常は、連続して2か月滞納した場合のように決められているので、滞納したらすぐに一括払いを求められることはあまりありません。しかし、返済せずに放置している借金は、間違いなく一括払いを求められることになるでしょう。そうなってしまうと、返済はますます困難になります。

ブラックリスト入りしてしまう

信用情報には、ブラックリストというものがあります。これは、自己破産など債務整理をしたときに記録されてブラックリスト入りするというイメージがあるでしょうが、実は返済を滞納した場合もブラックリスト入りしてしまいます。通常、少し滞納したくらいではすぐにその情報も消えてしまうのですが、頻繁に繰り返し滞納したり、長期間滞納したりすると、事故情報としてしっかりと記載され、ブラックリスト入りしてしまいます。そうなると、新規に借り入れたりクレジットカードを作成したりすることはできなくなってしまいます。
一度ブラックリスト入りしてしまうと、それが消えるまではかなりの時間が必要です。金額や、滞納していた期間によっても異なるので一概には言えませんが、時には年単位で記録されてしまうこともあるでしょう。また、ブラックリストからは消えても、滞納した会社の内部情報としては残されていることが多いので、その会社はさらに長期間利用できないものと思った方がいいでしょう。

任整整理のメリット・デメリット

任意整理のメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

・手続き以降、督促がストップする
・今後の利息の支払いがなくなるので、元金だけの返済でよくなる
・毎月返済する金額が、減額になる
・過払い金がある場合、元金も減らすことができる
・完済できる将来が確かなものになる
・債務者を選んで、任意整理できる

それぞれ、具体的に解説していきます。

・手続き以降、督促がストップする
司法書士などの専門家に任意整理の依頼をすると、受任通知が関係する債務者に送付されます。それが届いた時点で、本人に直接督促の連絡をしたり、取り立てたりすることは禁止されています。そのため、悩みの種となっている督促がストップするのです。

・今後の利息の支払いがなくなるので、元金だけの返済でよくなる
和解交渉に成功すると、今後の利息はカットされて現在残っている元金だけを返済すればよくなります。毎月、返済のために支払っている金額のうち、利息が占める割合は意外と大きいので、それがなくなることで借金の額はかなり少なくなるのです。

・毎月返済する金額が、減額になる
例えば、毎月の最低返済額のうち利息が40%を占めている場合、毎月の支払額はこれまでの60%だけでよくなります。返済の形式にもよりますが、改めてみると利息はかなりの割合を占めていることが多いのです。

・過払い金がある場合、元金も減らすことができる
任意整理をする場合、まずは過払い金調査から行います。もし、過払い金があるようなら、その分を元金から差し引くことができるため、借金はさらに大きく減額できるでしょう。場合によっては、元金以上の過払い金があり、還付されることもあります。

・完済できる将来が確かなものになる
借金をいつまで返し続ければいいのかわからない、という考えになる原因は、利息の存在です。そのせいで、100万円借りたはずが150万円返済しても完済できないということになっているのです。しかし、利息がカットされればあとは元金がはっきりとわかり、それ状増えることもないのでいつまでに返済できるのかがはっきりとわかります。

・債権者を選んで、任意整理できる
債権者それぞれと個別に交渉するので、整理したくない債権者がある場合はそこを除いて交渉することもできます。

以上のようなメリットに対して、デメリットとなるのは以下の点です。

・ブラックリストに掲載される
信用情報機関で、事故所法として記録されるので、約5年間はブラックリスト入りします。その間、新しく借金をしたり、クレジットカードを発行したりすることはできません。

・交渉に成功するとは限らない
個別に交渉する任意整理は、裁判所を通じて手続きをする他の債務整理とは異なり、強制することはできません。各業者との交渉によって決定するので、断られることもあるのです。成功率を挙げるには、なるべく経験豊かな専門家に依頼した方がいいでしょう。

デメリットは、主にこの2点です。

任意整理の手続きの流れ

任意整理の手続きは、どのような流れで進められていくのでしょうか?その一連の流れについて、解説します。

① 専門家への相談
まずは、司法書士などの専門家に相談しましょう。任意整理で本当にいいのか、もしくは他の債務整理の方がいいのかなど、様々な検討をした上で依頼人に合った方法を考えてくれます。もしかしたら、他の方法の方がいいと提案され、その理由を説明してくれるかもしれません。

② 委任契約
相談の結果、任意整理がベストだと判断された場合、依頼人が納得すれば委任契約を締結します。

③ 受任通知送付
委任契約を締結したら、さっそく債権者に対して受任通知を送付します。受任通知は、早ければその日のうち、遅くても2日以内には交渉する相手に送付されるでしょう。送付した翌日、あるいは翌々日には督促の連絡が来なくなり、取り立ても現れなくなります。それ以降、窓口となるのは依頼した専門家です。また、借金の返済もストップすることになります。一時的ですが、借金の返済に追われない生活を満喫できるでしょう。

④ 取引履歴の開示請求
受任通知を送付するのと同時に、専門家は債権者に対して取引履歴の開示を請求します。これまでの借り入れと返済の履歴を確認して、今後の交渉や過払い金の確認などを行うのです。ただし、請求しても相手の都合があるため、すぐに開示されるわけではありません。通常は、2週間から3週間ほどで開示されることになるでしょう。場合によっては、その倍以上かかることもあるのですが、開示請求は拒否できないので焦らないようにしましょう。

⑤ 引き直し計算
交渉を行う前に、取引履歴から利息の引き直し計算を行います。それにより、利息を払いすぎていることがないかを確認して、借金の総額を正確にするのです。場合によっては過払い金が発生していることもあるので、慎重に計算しなくてはいけません。

⑥ 過払い金返還請求
引き直し計算をした結果、過払い金が発生していた場合はその請求を先に行います。過払い金が、現在の借金の残額よりも多かった場合、謝金が完済となって還付金を受け取れることもあります。

⑦ 和解案作成・和解交渉
交渉において、どのように話を進めていくかを決めて、和解案を作成したら和解交渉を開始します。和解案は、主に今後の利息をカットすることと、遅延損害金を請求しないことを要求して、現在の残債については3年から5年かけて分割で支払うという内容です。分割の回数や毎月の支払金額などが、交渉で話し合う部分となるでしょう。

⑧ 合意書作成
和解交渉が成立したら、両者間で合意書を作成します。

⑨ 支払い開始
交渉は専門家が代理で行っているので、依頼主は和解が成立したときにその条件などについての連絡を受けます。それに基づいて、これまでストップしていた返済を、新しい条件の下で再開することになります。

⑩ 完済
和解交渉の条件を守り、分割払いを続けて完済した時点で、その借金は返済が完了となります。

最初に相談してから、合意書を作成するまでにはおおよそ3ヵ月、長ければ半年ほどかかります。しかし、もし過払い金請求が裁判で争うようなことになれば、その期間はさらに延長となり、1年近くかかることもあります。もちろん、その間も返済はストップして、督促されることもありません。

任意整理についてよくある不安や質問

Q.任意整理から外したクレジットカードは、その後も使える?
A.クレジットカードを任意整理の対象にすると、すぐに強制解約されてしまいます。対象から外した場合、すぐに使えなくなることはありませんが、信用情報には事故情報として記載されているので、更新したときなどは使えなくなってしまうでしょう。

Q.正社員ではなく、アルバイトや無職でも任意整理はできる?
A.アルバイトでも、安定した収入があれば問題なく任意整理はできますしかし、無職の場合は収入がないので、和解交渉の成立は難しいでしょう。今後、就職するなどして残った債務を支払えるようになってから、手続きをした方が成功率は高いでしょう。

Q.任意整理をした借り入れに、保証人が要る場合は?
A.保証人が要る場合、任意整理をすると保証人に請求されるようになってしまいます。保証人もいきなり請求されるとどうしていいか分からなくなるので、任意整理を依頼する前にまず保証人へそのことを報告しておくべきでしょう。また、保証人に迷惑をかけたくない場合は、その債権を外して任意整理をした方がいいでしょう。

Q.和解交渉は、必ず受け入れてもらえる?
A.和解交渉を申し込んでも、必ず受け入れてもらえるとは限りません。近年は、過払い金請求によって経営状況が悪化している貸金業者も増えているので、回収できる金額が減ってしまう交渉は受けて入れてもらえない可能性が高いのです。また、担保がつけられている借り入れも、和解せずに担保を差し押さえることが多いので、交渉は難しいでしょう。

Q.任意整理をした場合、家族に影響がある?
A.任意整理をしたとき、信用情報にそれが記録されるのはあくまで本人です。たとえ同居して生計を一つにしていても、家族には何ら影響はないので、安心してください。ただし、子どもが進学時に奨学金を利用したい場合、あるいは学資ローンを検討している場合などに、信用情報のブラックリストに入っていると保証人になれず、ローン契約もできないでしょう。

任意整理の相談実績

実際の、任意整理の相談実績について紹介します。

ケース①40代男性
・債権社数 4社
・借金総額 180万円
・過払い金請求 なし
4社からそれぞれ40万円から50万円ずつ借り入れていて、合計で180万円ほど借りているという男性です。最も古い借り入れが8年前とのことで、過払い金はないようです。
4社とも債務整理をすることにして、収入と支出を確認すると収入が手取りで約25万円、支出が18万円で、毎月返済できるのは約5万円とのことでした。その内容なら、任意整理が最も適していると判断したため、その手続を始めました。
交渉の結果、4社とも将来の利息カットに応じてくれたため、現在残っている元本の合計、130万円を3年で返済することになりました。各社とも残債に差がありますが、合計で毎月4万円弱の返済を続けることになりました。
専門家への支払いは、相談料として1万円、着手金として4社分88,000円、成功報酬として減額となった50万円の10%、5万円なので、合計で148,000円を支払います。それを除いても、352,000円分借金が減ったことになります。

ケース②40代女性
・債権社数 3社
・借金総額 150万円
・過払い金 あり
若いころに借金をして、それを結婚してからも内緒でこっそりと返済していたのですが、時折返済が足りずに借り入れもしていたためなかなか減りませんでした。そんな中、パート先が倒産したことで返済のための収入がなくなり、相談に訪れました。20年前からの借金で、3社ともグレーゾーン金利を適用していた業者だったため、過払い金が発生している可能性がありました。債務整理を引き受けて、まず取引履歴から引き直し計算をしてみると、やはり過払い金があったのでそれを請求することにしました。その結果、借金は完済した上でさらに30万円の還付金を得ることができました。
支払う費用としては、まず着手金が2万円×3社で6万円、成功報酬が減額された150万円の10%で15万円、過払い金が30万円あったので、その20%なので6万円、合計27万円です。プラス分は総額で180万円になったので、差し引きで153万円のプラスになりました。

任意整理を専門家に相談するメリット

任意整理は、司法書士等に依頼するのが一般的ですが、そのための料金が高いと感じた人の中には、自分で手続きをしたいという人もいるでしょう。その場合と、依頼した場合のメリット・デメリットについてまとめたので、参考にしてください。

 司法書士弁護士自分で行う
時間×
費用×
対応金額の制限
140万円を超える借金には対応できない

金額の制限なくできる

特にないが、金額が増えると手間も増える
取り立て・督促
依頼を受けた時点で受任通知を送付し、取り立てや督促が止まる

依頼を受けた時点で受任通知を送付し、取り立てや督促が止まる
×
交渉が終わるまでは止まらない

料金の高さが気になる人もいるでしょうが、書類作成などの難しいところを代行してもらうことができます。料金や対応範囲を考慮した上で、依頼するかどうかを判断しましょう。

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任意整理以外の債務整理の相場も紹介

債務整理の方法は、任意整理以外にもあります。それらの方法は、どのくらいの費用が掛かるのでしょうか?その相場について、解説します。

個人再生にかかる費用と相場

個人再生は、裁判所に申立をして返済ができない状態であると判断してもらうことで、借金を原則5分の1まで大幅にカットしてもらうことができる手続です。個人再生を行う場合の主な費用は、司法書士等の専門家に依頼する費用の他に、裁判所へと納める費用もあります。裁判所には、申立手数料や郵便切手代、官報掲載料、予納金などを納めることになります。また、司法書士等の専門家に支払う費用は事務所によってかなり異なりますが、主に着手金や成功報酬などが必要です。個人再生は任意整理や自己破産などの方法より、手続きが複雑になります。その分、専門家に支払う費用も高額になってしまうのです。相場としては、裁判所に対しては15万円から30万円ほど、専門家には20万円から50万円ほどを支払うことになるので、合計で35万円から80万円ほどかかります。

自己破産にかかる費用と相場

自己破産は、借金の返済が不可能な状態であると裁判所に申立をして認めてもらい、借金の返済義務を免責にしてもらう手続きです。その際にかかる主な費用は、司法書士等の専門家に支払う費用と裁判所に納める費用があります。
自己破産の場合、主に同時廃止と管財事件という2つの手続きの方法があり、それぞれ費用が大きく異なります。同時廃止事件の場合はかかる費用が少なく、裁判所に支払う費用はおよそ1万円から3万円ほどです。しかし、管財事件になると管財人報酬なども必要となるため費用も高額となり、裁判所には50万円以上納める必要があります。ちなみに、管財事件の一部は小額管財事件として扱われ、その場合は裁判所に納める額が20万円以上となります。また、司法書士等の専門家に支払う費用はおおよそ20万円から50万円となります。

まとめ

・任意整理には、和解交渉と過払い金請求がある
・年間数百万人の人が、任意整理をしている
・債務整理の中でも、任意整理が特に多い
・和解交渉では、将来の利息はカットできるが、元金は減額できない
・過払い金請求は、過去にグレーゾーン金利で借り入れていた人が対象
・任意整理を依頼した時点で、借金の取り立てはストップする
・和解交渉が成立するまで、返済をする必要がなくなる
・専門家に依頼した場合の着手金は、和解交渉が成立する前に支払う
・専門家の着手金は、分割での支払いも可能
・弁護士よりも、司法書士に依頼したほうが料金は安いことが多い
・和解交渉の結果、残った借金は3年から5年かけて弁済することになる




監修者情報
代表 鈴木 法克
代表 鈴木 法克
認定番号 第101196号 / 東京司法書士会所属 / 登録番号 東京 第7018号
借金は、借金では解決出来ません。
クレジットでの買い物や、軽い気持ちでキャッシングを重ねるうちに借金が知らない間に増えることは、だれにでもあることです。
支払いが無理かなと感じたら、身近な法律家である司法書士にまずは、ご相談ください。
あなたの早めの相談が問題解決へのきっかけになります。
一人で思い悩まずに、司法書士といっしょに問題解決に向けてスタートしましょう。
また、司法書士は、不動産登記や商業登記、簡易裁判所で扱う事件についての代理等をしていますので、借金問題以外の法律相談もしています。
弁護士では、敷居が高いと感じている方も、気軽にご相談ください。
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