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任意整理が信用情報に与える影響とは?登録機関や早く消す方法について解説

借金をして、その額が増え返済が難しくなった場合に検討するのが債務整理です。しかし、それによって自分の信用情報に傷がついてしまうということはご存知でしょうか?
クレジットカードを利用したり、カードローンでお金を借りたりしたときは、利用者と金融機関との間に「期限を決めて、それまでに支払う」という約束が結ばれます。その約束があって、お金を借りることができるのです。それは、信用の元で成り立っています。
債務整理をするということは、その期間内に約束通り返済できないということです。そのため、信用情報機関にはそのことが事故情報として記録されます。そうなれば、原則として最低5年、長ければ約10年の間、カードローンやクレジットカードを利用できなくなってしまうのです。
債務整理をすると、どうしても信用情報に傷が付きます。ただし、ある程度であればその影響を軽減する方法もあります。
ここでは、債務整理をすることで信用情報に生じる影響や、その記録が残るブラックリスト期間にどうすればいいかということについて、解説していきます。

任意整理とは

任意整理というのはどのようなものか、という点について解説していきます。

任意整理とは

任意整理は、借金を減額するために行う債務整理の方法のうちの一つです。具体的な手続きは、2つの段階に分けられます。
まず、現在返済中の借金の返済状況に関して、過去の取引を確認して返済額とそれに伴って支払っていた利息を計算し直します。利息の上限を定めた利息制限法の利率を超えていたことがないかを調べ、該当する箇所があれば利息制限法の上限で計算し直し、不当に支払っていた分の返還請求を行います。これを、過払い金請求といいます。
もう1つは、業者と直接交渉して、現在の借金に対してかかる将来の利息をカットしてもらい、毎月の返済額についても話し合う手続きです。これは、和解交渉といいます。どのくらいなら返済できるかをよく考えて、今後3~5年ほどで完済できる程度に月々の返済額を減額してもらうのです。業者の同意を得たうえで、今後どのように返済していくのかを話し合って完済できるようにするのが、任意整理です。

任意整理の条件と費用

任意整理のうち過払い金請求は当然の権利であり、特に条件等はありません。ただし、業者に取引履歴を開示してもらう必要があるのですが、なかなか応じてもらえないこともあります。
和解交渉は、債権者と直接交渉して利息カットなどの条件を了承してもらえることが条件です。残額を返済できるだけの、安定した収入があることが条件になります。
どちらの手続きも自分で行うことはできます。その場合は費用も掛からないのですが、交渉や開示請求は個人で行うのが難しいため、司法書士等の専門家に依頼するのが一般的です。その場合は、相談料や着手金、減額時や過払い金請求の成功時に報酬を支払います。和解交渉だけなら3~6万円ほどが相場で、過払い金がある場合はその額の10%~25%程度を成功報酬として支払います。

信用情報の登録はいつ?登録期間とは?

債務整理をすることで傷がつく、信用情報とはどのようなものなのでしょうか?また、信用情報はどこに記録されるのでしょうか?

信用情報とは

クレジットカードやカードローン、銀行のローンなどの契約を申し込んだ際、金融機関ではそれぞれ、申込者の返済能力や過去の返済実績、現在の契約状況などを確認します。それを確認するために参照するのが、信用情報です。

信用情報はいつから、どこに登録されるのか

信用情報は、JICC、CIC、KSCという3つの信用情報機関で管理しています。金融機関によって異なるのですが、この3つのうちいずれかに加盟しています。金融機関の種別によって、主に登録する期間は異なります。その違いは、以下の表のようになっています。

信用情報機関の種類主に利用する会社
JICC(日本信用情報機構)クレジットカード会社、消費者金融
CICクレジットカード会社、信販会社
KSC(全銀協)銀行

信用情報が登録されるタイミングは、主に3つあります。
・新規にクレジットカード等の申し込みをしたとき
・カードを使って商品を購入、もしくはキャッシングをしたとき
・返済が遅れた、もしくは債務整理を始めたとき
この中で、上の2つについてはあまり気にすることはありません。問題となるのは、3番目の「返済が遅れた、もしくは債務整理を始めたとき」です。その際に信用情報へと登録されるのは、事故情報といわれるものです。それが登録されると、ブラックリストに入ってしまうのです。そのため、信用情報に登録されるというのは主に事故情報が登録される、つまりブラックリストに登録されることをいいます。

ブラックリストにはどのような情報が載るのか

ブラックリストには、その原因についての情報が載せられます。例えば、ローンの返済が遅れたことやクレジットカードの支払いの延滞、分割払いの携帯電話端末料金の滞納などです。こうした情報は遅れても支払えば問題ないのですが、何度も繰り返すとブラックリストから消えるまで時間がかかるようになります。具体的に、何回滞納すればブラックリストから消えなくなるのかは、金融機関や携帯電話会社によって異なります。
重要なのは、債務整理をした時です。この場合は、開始した直後に信用情報の事故情報として記録され、たとえ途中で止めたとしても一定期間は消えることがありません。

信用情報の登録期間とは?

任意整理をすると、事故情報として個人信用情報機関に登録されてしまいます。しかし、その情報は永久に残るというわけではなく、一定期間が経過すると情報がリセットされ、事故情報は消えます。
個人信用情報機関は1つだけではなく3つあり、それぞれ登録される期間は異なります。それぞれの個人信用情報機関に登録している主な金融機関と、事故情報の登録期間については、下記の表のようになっています。

情報機関名登録している主な金融機関事故情報が登録される期間
株式会社CIC
(Credit Information Center)
・クレジットカード
・カードローン など
5年間~10年
株式会社日本信用情報機関
(JICC)
・消費者金融
・信販会社 など
5年間~10年
全国銀行個人信用情報センター・銀行
・信用金庫 など
5年以上

それぞれ、事故情報は債務を完了した日から登録されます。どの個人信用情報機関でも、最低5年間は登録されることになります。

信用情報に登録されると出来なくなることとは

①クレジットカードの利用新規作成が出来なくなる

任意整理の際は、クレジットカードのキャッシングについても任意整理が可能です。しかし、その場合はクレジットカードを解約することになるため、利用することはできなくなります。また、新規にそのクレジットカードを作成することも出来ません。キャッシング部分だけ任意整理をして、ショッピングには使えるようにするということはできないのです。
そして、クレジットカードを新規発行する際は審査があり、個人信用情報をチェックされることになるので、任意整理をしていないクレジットカードも新規に発行できなくなってしまいます。現在保有しているクレジットカードもカード更新の際は個人信用情報をチェックされるので、ブラックリスト状態になっていると審査に通らず更新できなくなり、解約されてしまいます。

②借り入れができない

任意整理をすると、個人信用情報にそのことが事故情報として登録されてしまい、ブラックリストに入ってしまいます。そうなると、個人信用情報をチェックされるようなことができなくなるのです。新規の借り入れも、その1つです。
借り入れは、消費者金融や銀行のキャッシングなどの他に住宅ローンやショッピングローン、銀行などで利用する住宅ローンやマイカーローンなどがあります。こういったものは、申込の際に個人信用情報を確認されることになるのです。
個人信用情報は、それぞれの信用情報機関に加盟している金融機関で共有されることになります。そのため、任意整理をしていない金融機関からも借り入れはできなくなるので注意しましょう。事故情報はおおよそ5年ほどで消えるため、それ以降であれば借り入れも可能になるでしょう。

③保証人になれない

住宅ローンや奨学金などでは、保証人が必要となります。これは、もしも返済が滞ることがあれば代わりに返済する、という保証を付けることで借り入れをするためです。そのため、保証人には返済能力がなければいけません。そして、任意整理をした場合はそのことが個人信用情報機関に登録されてしまいブラックリストに入ることになるため、返済能力に欠けると見做されて保証人になることはできなくなるのです。
自分で借りるわけではないから保証人になるのは大丈夫ではないか、と思う人もいるかもしれません。しかし、いざという時に返済できないようでは、保証人の意味がないのです。ブラックリストに載るということは、信用がない状態とみなされます。そのため、審査で落ちてしまうことになるのです。

④賃貸契約の審査に通らない

任意整理をして信用情報に事故情報が記録されている場合、賃貸契約をしたくても審査に通らないこともあります。賃貸物件を借りる際は保証人が必要なのですが、中には家賃保証会社との契約をしなければならない物件もあります。家賃保証会社では、申し込みの際にその人の利用履歴を信用情報機関へと照会します。そこで、ブラックリストに入ってしまっている場合は、家賃を滞納する可能性が高いと判断されてしまい、保証会社も保証を断ることがあるのです。
家賃保証会社は、家賃の支払いが滞った時には契約者の代わりにその滞納分を物件のオーナーに支払うことになります。そのため、滞納する可能性が高いと判断された場合は契約できないことがあります。任意整理をしてから最低5年間は、気を付けましょう。

⑤スマホの分割払いができない

新しいスマホを買う時は、分割払いにする人が多いでしょう。しかし、スマホの分割払いというのは個品割賦販売契約というものを結ぶことになるので、その場合は信用情報機関にこれまでの利用履歴を照会します。そして、任意整理をしてブラックリストに入っている状態であれば、割賦契約を結ぶことができなくなるのです。ただし、一括での購入であれば問題なく可能です。
携帯電話会社は、信用情報機関に加盟しています。特に格安SIMの場合は原則としてクレジットカード払いになるため、任意整理などの事故情報が登録されている場合は新規契約ができません。そもそもクレジットカードがなければ契約できないので、既に解約となっている場合は難しいでしょう。

信用情報を回復する方法とは?

返済を早く完了する

任意整理は、原則3年で完済することになります。信用情報が回復するのは、その完済日から5年後になるので、基本的には8年間登録されることになるでしょう。その返済期間を早めることができれば、信用情報も早く回復することができる場合もあります。

収入を以前より安定させる

収入を安定させることで、信用情報の回復も早くなります。例えば、アルバイトなどの非正規雇用として働いている人であれば、正社員になることで収入はより安定します。既に正社員という人であれば、副業をして収入の上乗せを目指すか、より多くの収入を得られる仕事に転職すると言いう方法もあります。
ただし、収入が増えたからと言って信用情報から事故情報が消えるというわけではありません。それでも、クレジットカードやローンを新規契約する際の審査では、信用情報の内容よりも支払い能力を重視する金融機関があるので、利用できる可能性が高くなります。それを利用することで、信用情報にもきちんと返済しているという実績を残すことができます。実績があれば、ローンの審査なども通りやすくなるでしょう。

削除依頼する

信用情報に登録されている情報が間違っている場合は、削除依頼を出してそれを削除してもらうことが可能です。
もし、心当たりがないのに審査で落ちてしまうなどの不安なことがある場合は、信用情報機関に情報開示請求をして確認して、事故情報などが誤って登録されていれば削除依頼を出しましょう。

信用情報が回復するまでの注意点

信用情報が回復するまでは、今まで以上に注意するべき点があります。それは、どのようなことなのかを解説します。

返済中の支払の滞納をしない

任意整理をした後の返済は、決して滞納してはいけません。滞納すると、ブラックリストから消去されるまでの期間が長くなってしまうのです。また、せっかく交渉して分割払いを認めてもらえたのに、滞納したことで信用されなくなり、一括で返済を求められることもあります。場合によっては、任意整理の交渉で決められた利息カットなども無効になってしまうでしょう。そうなれば、また元の通りです。再び交渉したくても、応じてもらえる可能性は限りなく低いでしょう。

カードでの支払いはデビットカードで行う

クレジットカードは利用できなくなり、新規作成もできなくなるので、どうしてもクレジットカードが必要な場合はデビットカードを作成して支払うようにしましょう。デビットカードなら、作成するときに審査が不要なので、ブラックリストに入っていても作成できます。クレジットカードとは違って口座から直接支払うため、借金にはならないからです。

新たに借り入れをしない

新たに借り入れをするのは厳禁です。金融機関からは審査で落ちてしまうので借りることはできませんが、友人や親類から借りるのも厳禁です。ましてや、闇金などから借りるのはもってのほかです。
借金を増やしてしまうと、いずれ任意整理前の状況に戻ってしまいます。和解の際に取り決められた返済額は、収入状況を鑑みて無理のない金額に設定されているので、返済ができずに借金をするということにはまずならないでしょう。もしもそうなった場合は、借金をする前に支出状況を見直して無駄を省くことから始めましょう。
新たに借りてしまうと、最終的に自分が苦しむだけなので注意しましょう。
上記の3点を守ることによって、信用回復期間が延びる可能性が低くなります。しっかりと心がけましょう。

信用情報が回復するまでに使えるカード

信用情報が回復するまでの間、持っているクレジットカードは使えなくなり、新たに作成することもできません。それでは不便という人もいるでしょう。そういった人のために、期間中でも使えるカードについて解説します。

デビットカード

先ほども少し触れましたが、デビットカードは口座の残高から利用料金を引き落とすカードです。口座にある分しか使えず、即時引き落とされるのでクレジットカードとは違い借金にはなりません。そのため、審査を受けることなく発行できます。
例えば、口座の残高が10万円なら、利用できるのは10万円までです。口座に残高が多ければ、それだけ多くの額を利用できます。ただし、残高不足になると決済できなくなるので、注意してください。

家族カード

債務整理の事故情報は、同居している家族には影響しません。そのため、例えば夫が任意整理を申し込んだとしても、妻の名義ならクレジットカードを作成できます。その際に、家族カードを発行すれば夫もそのカードを使うことができるのです。
この場合、家族カードを利用した分は妻に請求されます。しっかりと話し合ったうえで、発行しましょう。

ETCパーソナルカード

ETCが使えないと不便、という人におすすめなのは、ETCパーソナルカードです。これは、各地の高速道路株式会社が共同で発行しているETCカードですが、通常のものとは違ってクレジット―カードに付帯したものではありません。最初に1月の利用平均額を申請して、それを5千円単位で切り上げ、その額の4倍をデポジットとして預託することで利用できます。利用した分は、別途金融機関口座から1か月単位で引き落とされます。
例えば、1月の平均利用額が1万円と申請した場合は、デポジットとして4万円を預ける必要があるのです。前払金ではないので、混同しないように注意しましょう。

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信用情報が回復した後の注意点

信用情報が回復するまでの期間が経過したからといって、今まで通りに戻るというわけではありません。いくつか、注意しなくてはいけない点があります。その注意点についても、解説します。

新たな事故情報を出さないようにする

せっかく信用情報が回復したのに、また事故情報を出してしまっては台無しです。回復した後は、金融取引の制限は基本的になくなるので、その状態を保てるようにしていきましょう。新たに借金しないようにするだけではなく、ローンや携帯、奨学金などの金融取引および割賦販売の契約をする際は、慎重に検討してください。場合によっては、返済予定額を数か月積み立てていき、問題ないと判断してから契約してもいいでしょう。そのくらい慎重に判断するべきです。

同じ金融会社を利用しない

一度任意整理を含む債務整理をした金融会社には、申し込まないように注意してください。なぜかというと、信用情報が回復したとしてもそれは信用情報機関での話です。任意整理をした会社では、社内情報にそのことが記録として残っているのです。そういった場合は、社内ブラックと呼ばれて申し込んでも審査で落とされてしまう可能性が高いのです。
この記録は、その社内だけではなくグループ会社にも共有されます。そのため、任意整理をした会社とそのグループ会社には申し込まないようにしましょう。
申し込みをした場合、審査に落ちるだけではなくそのことが信用情報として登録されます。そうなれば、他社に申し込んだ際も信用情報を確認され、断られているから何か問題があるのだろうと判断されて連鎖的に断られる可能性があります。短期間のうちに複数の金融会社に申し込むのも、申込ブラックといわれてマイナス評価となるので、余計な申し込みはしないように気を付けましょう。

個人情報は開示請求で確認

任意整理の場合、個人情報が回復するまでの期間は約5年です。しかし、5年ちょうどで回復するわけではないので、信用情報が回復したと思ったら個人情報の開示請求を行って確認しましょう。
開示請求は、各信用情報機関に請求して行います。その際は、500円から1000円程度の手数料がかかるので、覚えておきましょう。また、開示請求は自分の信用情報しかできません。それぞれの窓口やサイト、あるいは郵送などで信用情報が回復しているか確認して、それから申込をしましょう。

任意整理のメリットとデメリット

任意整理のメリットは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?また、デメリットもあるのでしょうか?その内容について、解説します。

任意整理のメリット①借金が減額される

交渉に成功して和解できれば、今後は利息を支払う必要がなくなります。元金だけを、分割して返済するだけになるのです。毎月の返済額の中で、実は利息が大きな割合を占めているのです。それがなくなるだけでも、返済する総額はかなり少なくなるのです。

任意整理のメリット②手続きを開始すると、督促がストップする

任意整理の手続きを司法書士等の専門家に依頼すると、関係する債務者に対して受任通知が送付されます。それ以降は、本人に対して督促の連絡や、直接取り立て行為を行うことは禁止されています。督促に悩まされている人は多いでしょうが、今後はそれがストップするのです。

任意整理のメリット③長期の分割払いにできる

任意整理で和解が成立すると、それ以降は3年から5年をかけて分割払いで返済していきます。100万円の借金を4年で返済するとしたら、毎年25万円ずつ、月におよそ2万円少々返済していけばいいのです。原則利息はカットされるように交渉するので、今後は元金だけを返済することになります。それだけでも、返済はかなり楽になるでしょう。

任意整理のメリット④過払い金を調査して、結果次第で元金も減らすことができる

任意整理は、最初に過払い金調査を行います。もしあるとわかれば、その分は返還請求をして元金を減らすことができるのです。それによって、借金は利息カットより大きく減額できます。場合によっては、もう返済する必要もなくなり、余分に支払った額を受け取ることができるかもしれません。

任意整理のメリット⑤任意整理は債権者を選んで交渉できる

任意整理の場合、債権者をすべて対象とするわけではありません。個別に交渉するので、もし整理せずにきちんと返済したい債権者がある場合は、それ以外の業者と交渉することもできます。

任意整理のデメリット①数年間は新たな借入が困難となる

任意整理をすると、そのことが信用情報機関に事故情報として登録されます。その後は、約5年間ブラックリストに登録され、その間は新しく借金をしたり、クレジットカードを発行したりすることはできません。ただし、借金の返済を滞納した場合でもブラックリストに入ってしまうので、大したデメリットとは言えないでしょう。一定期間が過ぎれば消えるので、支払の見込みがつかない時はすぐに専門家へ相談して、手続きを開始しましょう。

任意整理のデメリット②交渉は必ず成功するわけではない

任意整理は、裁判所を通じて手続きをする他の債務整理とは異なります。個別に交渉するので、必ず聞き入れるように強制はできません。業者とそれぞれ交渉して決定するので、断られることもあるのです。失敗しては元も子もないので、成功する可能性をなるべく高くできるように、なるべく経験豊かな専門家に依頼したほうがいいでしょう。

過払い金返還請求

過払金請求は、過去に利息制限法を超えた利息を支払っていた人が対象となる手続きです。以前は、年利18%を上限とした利息制限法のほかに、年利29%を上限とした出資法という法律もあり、その間の金利はグレーゾーンとして扱われていました。しかし、改めて利息制限法が貸金業者の金利の上限として定められたことで、それを超える利率での貸付は違法とされました。年利18%を超える利息を支払っていた場合は、遡って返還請求ができるようになったのです。これが、過払い金請求です。
過払金請求は、債務整理と同一視されることもありますが、内情は全く異なります。債務整理は借金を減らすための方法ですが、過払い金請求は過剰に支払った分を取り戻すものなので、当然の権利とも言えます。
過払金が返還されれば、債務整理をする必要がなくなることもあります。そのため、まずは過払い金があるかの確認から始めるのです。また、過払い金請求をしてもブラックリストには登録されないので、過払い金がある場合は遠慮なく請求しましょう。そうして借金が減額されれば、返済のめどが立つかもしれません。
ただし、過払い金があるかどうかを計算するには、貸金業者に取引履歴を請求しなければいけません。また、計算も難しいので、なるべく専門家に依頼したほうが確実でしょう。

任意整理の申請者数

債務整理の手続には3種類ありますが、その中でも最も利用者が多いのは任意整理です。ただし、裁判所などを通じた手続きではないので、正確な人数は不明です。借りた人、もしくはその代理人と貸金業者等が直接交渉するので、届出などもなくはっきりとした人数はわからないのです。ほかの要素から推測すると、任意整理をしている人は最低でも年間200万人以上、推定では300万人から最大で500万人近いという計算になります。つまり、50人いればその中の1人か2人は任意整理をしていることになります。
ただし、任意整理をしたという話を周囲から聞いたことがある人は、あまりいないでしょう。なぜなら、大っぴらに話すことではないので、ほとんどの人は秘密にするからです。

任意整理が受理される割合

上記と同じく、詳細な人数もわからないのでこちらも推測にはなりますが、任意整理の成功率は少なく見積もっても80%以上とみられます。専門家によっては90~95%の成功率ともいわれています。成功率が高い理由としては、やはり専門家が交渉になれているという点もありますが、事前にきちんと調査をして任意整理が可能かどうかを判断している点もあるでしょう。また、交渉に当たっては返済を続けられる根拠やそれを証明する資料などもきちんと用意していることも理由のひとつでしょう。
任意整理に成功すると、平均して20~30%ほど借金を減額できるともいわれています。借金の内容や状況によっても異なりますが、0にはならないということだけは覚えておきましょう。
失敗するケースとしては、返済のための計画内容が甘かったり、専門家に依頼せず自分で交渉したりしたケースが挙げられます。成功率を高くするには、専門家と事前にしっかり打ち合わせをしてから臨みましょう。

よくある任意整理についての質問

任意整理に関して、よくある質問とその解答についてまとめてみました。

Q.任意整理の対象にしなかったクレジットカードは、使い続けることができる?
A.任意整理の対象にしたクレジットカードは、その時点で強制解約されてしまいます。対象から外したものはすぐに使えなくなるわけではないのですが、信用情報に事故情報として記録が残るため、更新のタイミングなどで信用情報をチェックされると使えなくなってしまいます。なお、デビットカードの使用には問題ありません。

Q.任意整理は、正社員ではないアルバイトや無職でもできる?
A.安定した収入があれば、アルバイトやパートでも問題なく任意整理はできます。しかし、無職の場合は収入がないので、和解交渉の成立は難しいでしょう。仕事が決まって安定した収入を得られるようになり、毎月しっかりと支払える保障ができてから手続きをしたほうが、成功率は高いでしょう。

Q.保証人がいる借金を任意整理した場合はどうなるの?
A.任意整理をした借金に保証人がいる場合は、その後保証人に請求されるようになってしまいます。保証人もいきなり請求されるとどうしていいのかわかなくなるので、まずは保証人に報告してから任意整理を依頼しましょう。また、保証人に迷惑をかけたくない場合は、その債権を外して任意整理をしたほうがいいでしょう。

Q.和解交渉は、必ず受け入れてもらえる?
A.和解交渉は、必ず成功するとは限りません。過払い金請求が増えたことで、近年は貸金業者の中で経営状況が悪化しているところも増えています。そのため、返済金額が減ることになる和解交渉は、受け入れてもらえないことも少なくありません。また、債務に担保が設定されていると、和解ではなく担保の差し押さえとなるケースも多いので、交渉は難しいでしょう。

Q.任意整理で、家族に影響がでることはある?
A.任意整理によって信用情報に登録されるのは、あくまでも借りた本人だけです。たとえ同居して生計を一にしていても、家族には何ら影響はありません。ただし、子どもがいて進学するときに奨学金を借りようとしたときや、学資ローンの利用を検討するときなどに、信用情報のブラックリストに登録されていると問題があります。奨学金の保証人に離れず、ローン契約も審査で落とされてしまいます。

任意整理手続きは専門家に依頼しよう

任意整理は、一般的に司法書士等の専門家に依頼して手続きを行います。しかし、そのための料金が高いと感じた人の中には、自分で手続きをしたいという人もいるでしょう。その場合と、依頼した場合のメリット・デメリットについてまとめたので、参考にしてください。

 司法書士弁護士自分で行う
時間×
費用×
対応金額の制限
140万円を超える借金には対応できない

金額の制限なくできる

特にないが、金額が増えると手間も増える
取り立て・督促
依頼を受けた時点で受任通知を送付し、取り立てや督促が止まる

依頼を受けた時点で受任通知を送付し、取り立てや督促が止まる
×
交渉が終わるまでは止まらない

自分で手続きを行った場合は、料金こそかからないものの成功率が低く、時間もかなりかかります。専門的な知識がなければ、相手に納得してもらうことは難しいのです。
料金の高さが気になる人もいるでしょうが、書類作成などの難しいところを代行してもらうことができます。弁護士なら、依頼料はさらに高くなるものの、多くの手続きも代行してもらうことができるのです。料金以外のところも考慮したうえで、依頼するかどうかを判断しましょう。

任意整理の相談実績

実際の、任意整理で訪れた方の事例を紹介します。

ケース①40代男性
・債権者数 3社
・借金総額 120万円
・過払い金請求 なし
カードローン会社とクレジットカード会社の合計3社から、それぞれ20万円から50万円ずつ借り入れていて、合計で120万円ほど借りているという男性です。利用を開始したのが2012年からということで、すでに利息制限法に基づいた利息となっていたため、過払い金請求はありません。
3社とも任意整理を希望されたため、まずは収入と支出を確認しました。収入は手取りで約25万円、支出が17万円で、毎月返済できるのは約6万円とのことでした。任意整理で問題ないと判断したので、手続きを開始することにしました。
交渉の結果、3社とも今後の利息をカットすることに応じてくれました。そのため、現在残っている元本の合計、約90万円を3年で返済することになりました。残りは、3社への合計で毎月3万円弱の返済を続けることになりました。
当事務所への支払いは、相談料として1万円、着手金として3社分66,000円、成功報酬として減額となった30万円の10%、3万円なので、合計で106,000円をお支払いいただきました。それを除いても、約20万円分借金が減ったことになります。

ケース②40代女性
・債権者数 5社
・借金総額 280万円
・過払い金 あり
借金を始めたのは約20年前で、それから返済と借入を繰り返し、現在では5社から合計280万円ほど借りている女性がご相談に訪れました。20年前からの借金で、5社のうち3社は当時グレーゾーン金利を適用していた業者だったため、過払い金が発生している可能性があります。まず取引履歴の開示請求を行い、それをもとに引き直し計算をしてみました。すると、やはり3社とも過払い金があったので、まずはそれを請求することにしました。その結果、3社分の借金は完済したうえでさらに40万円の還付金をえることができました。残りの2社の借金は約50万円だったので、その分は還付金に加えて10万円を支払い、全額完済できました。
支払う費用としては、まず相談料が1万円、着手金が22.000×5社で11万円、成功報酬が減額された230万円の10%で23万円、過払い金の還付金が40万円あったので、その20%なので8万円、合計43万円です。プラス分は総額で270万円になったので、差し引きで227万円のプラスになりました。

まとめ

・任意整理は、借金にかかる利息をカットしてもらう債務整理の方法
・貸金業者と個別に交渉し、合意を得る必要がある
・残った債務は、3年から5年ほどの分割で返済する
・任意整理をすると、信用情報に事故情報として登録される
・ブラックリストに入るが、約5年で回復する
・クレジットカード等を保有している場合、解約になる
・登録期間中は、借り入れやクレジットカードの作成ができない
・過払い金請求は、債務整理とは似ているが別の手続き
・任意整理は、年間300万人から500万人が行っていると推測される
・任意整理の成功率は低くても80%、高ければ95%といわれている
・個人でも交渉は可能だが、成功率を高くするには専門家に依頼するのがおすすめ




監修者情報
代表 鈴木 法克
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