債務整理
更新日:

債務整理の手続きにかかる期間を解説

借金を負っていると、どうにか早く返したいと考えるでしょう。しかし、その額が大きすぎて普通に返していてはいつまでたっても返済できない、という人も少なくないはずです。もしかしたら、すでに滞納しているかもしれません。そうなると、ますます返済への道は厳しくなってくるでしょう。
そのような時は、債務整理を検討しましょう。債務整理は、現在抱えている借金を減額、もしくは返済について見直すことで、借金に苦労している現在の状況から解放されることを目的とした手続きです。
債務整理は、利息制限法で定められた上限金利よりも高い金利を支払っている方や、月々の返済額を減らすことで支払いの負担を軽減したい、と考えている人に向いています。例えば、リボ払いをしていたもののその返済額が多額になりすぎたため、完済の目処が立たないという方は債務整理を検討しましょう。
その方法には、大きく分けて任意整理、民事再生、自己破産、特定調停の4つがあります。それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なるので、その中から自分に合った方法を選びましょう。
債務整理をすると、信用情報機関のブラックリストに入ってしまうと聞いたことがある人も多いでしょう。しかし、そのことを恐れて借金の滞納を続けてしまい、貸金業者などの債権者から「強制執行による差し押さえ」をされてしまうと、自己破産以外に解決方法がなくなってしまいます。そうならないように、早めの相談を考慮してください。

任意整理の期間

任意整理について、詳しい特徴やかかる期間などを解説していきます。

任意整理の交渉から返済までの期間と流れ

任意整理の手続きは、以下のような流れで進められていきます。

(1)専門家への相談
(2)委任契約
(3)受任通知送付
(4)取引履歴の開示請求
(5)過払い金の確認と引き直し計算
(6)過払い金返還請求
(7)和解案作成・和解交渉
(8)合意書作成
(9)支払い開始
(10)完済

最初に相談してから、合意書を作成するまでにはおおよそ3ヵ月、長ければ半年ほどか借ります。しかし、もし過払金請求が裁判で争うようなことになれば、その期間はさらに延長となって1年近くかかることもあります。もちろん、その間も返済はストップして、督促されることもありません。

民事再生の期間

民事再生の場合は、どのような流れで進められるのでしょうか?また、それにかかる期間やメリット・デメリットなども解説します。

民事再生の交渉から返済までの期間と流れ

個人再生手続きは、以下のような流れで進められます。ただし、個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があるので、多少手続きの流れが異なる点もあります。

(1) 専門家に相談
(2) 委任契約
(3)受任通知送付
(4) 債権の確認と取引履歴の開示請求をして、過払い金がないか引き直し計算をする
(5) 収入や財産、家計の調査に必要な書類の提出
(6)個人再生の種類を決定し、申立書を作成して必要な書類とともに裁判所に提出して、官報公告費を納める
(7)選任された個人再生委員と1週間以内に面接
(8)再生委員の意見を聞き、裁判所が手続き開始について決定する
(9)債権額を調査して、金額の確定
(10)確定した債権をもとに、再生計画案を作成する
(11)裁判所に再生計画案を提出
(12)提出された再生計画案を基に、債権者に書面決議、あるいは意見聴取をして、それを認めるか確認
(13)再生計画案の認可・不認可の決定の決定
(14)弁済の開始

民事再生は、このように進みます。個人再生委員については必要に応じて選任されるので、必要無いケースもあります。また、その選任の有無によっても必要な期間が異なってきます。選任された場合は、最低で5~6カ月、長ければ1年以上かかります。選任されない場合は、およそ1カ月短くなります。

自己破産の期間

自己破産には、大きく分けて同時廃止と管財事件という2種類の手続きがあります。そのどちらになるのかで、手続きの流れやかかる期間は大きく変わってきます。

自己破産の交渉から返済までの期間と流れ

個人での自己破産は、ほとんどが同時廃止になります。その場合は、以下のような流れで進みます。

(1) 司法書士等に依頼する
(2) 受任通知の送付
(3) 必要な書類を作成する
(4) 裁判所に申立書を提出し、自己破産手続きの開始決定
(5) 免責の決定

全体的にかかる期間としては、おおよそ3~4カ月です。
しかし、財産がある場合や借金について調査が必要な場合は、管財事件として手続されます。その場合は、自己破産手続の開始決定がされた後で、破産管財人が選任されます。その後、破産管財人によって財産が管理・処分され、それが終わると債権者集会が開催されます。その期間が加わるので、管財事件は手続きが完了して免責の決定が出されるまで短くても6カ月、長ければ1年前後かかります。

特定調停の期間

特定調停は、どのような流れで進められるのでしょうか?かかる期間やメリット・デメリットについても解説します。

特定調停の交渉から返済までの期間と流れ

特定調停は、以下のような流れで進められます。

(1)申立書類の作成
(2)特定調停の申立
(3)受付票の交付・期日の指定
(4)調停委員の選任
(5)調停委員による調査
(6)第1回調停期日・調停調書もしくはそれに代わる決定
(7)返済の開始

特定調停は、申立から調査が行われるまで約1カ月、調査から調停期日までの間も約1カ月の間があるので、全体でおよそ3~4カ月ほどかかります。また、対象となる債権者が多ければそれだけ裁判所に出頭する回数も増えるので、4カ月以上かかることもあります。特定調停が成立した場合は、任意整理と同じく3年から5年ほどかけて返済していくこととなります。

過払い金請求で借金を減らす方法

過払い金請求をすることで、借金を減らせるケースもあります。どのようなケースが考えられるのか、解説します。

債務整理の6つの種類と方法 それぞれに向いている人を徹底解説

過払い金請求とは

過払い金請求は、過去の返済で利息制限法に定められた上限を超える金利を支払っていた場合に可能な手続きです。当時の返済を、利息制限法の範囲内の金利で引き直し計算をすることで、余分に支払っていた分を元金から差し引き、元金を超えた分を返還するように請求することができます。
2010年の法改正までは、貸金業者によっては金利を利息制限法ではなく、出資法で定められていた上限の範囲内に設定していました。その金利はグレーゾーン金利といわれています。その金利を、利息制限法の上限金利で計算し直すことができるようになったのです。ちなみに、出資法の上限金利は29.2%ですが、利息制限法では貸付金額によって上限金利が異なるものの、15%から20%となっています。

過払い金請求の時効

過払金には、時効があります。その期間は10年間ですが、これは借りた時点から計算するのではなく、当該の借金を返済し終えた時点から計算されます。つまり、2008年に借りた借金を2013年に返済し終えた場合、時効は2023年です。それまでなら、過払金請求ができるのです。

過払い金請求の交渉から返済までの期間と流れ

では、過払い金請求をしてから返済されるまでにかかる期間や、その流れについて解説します。
過払い金請求は、以下のような流れで進められます。

(1)専門家への依頼
(2)契約後、貸金業者に取引履歴の開示請求
(3)利息制限法に基づいた引き直し計算
(4)貸金業者に過払い金の返還請求
(5)貸金業者との交渉
(6)合意書の作成
(7)過払い金返還

通常は、このように進められます。この場合は、通常3カ月から5カ月ほどで過払い金が返還されます。しかし、交渉では返還される過払い金が少なくなることもあります。もし、時間がかかっても満額に近い金額を返還して欲しい場合は、訴訟を起こすことも考えましょう。その場合は、専門家に依頼してから訴訟を起こし、裁判所での口頭弁論を経て和解交渉をすることになるので、6カ月以上かかることもあります。

過払い金請求のメリットとデメリット

過払い金請求をするメリットは、シンプルに過払い金が戻ってくるという点です。過払い金を請求するのは正当な権利なので、遠慮なく受け取ることができるでしょう。
しかし、過払い金請求をした貸金業者は、それ以降の利用ができません。完済後であれば信用情報機関には影響しないのですが、社内資料としては記録が残ります。そうなると、直接過払い金請求をした業者だけではなく、そのグループ会社も利用できなくなる可能性があります。また、現在返済中の貸金業者に過払い金請求をした場合は、信用情報機関のブラックリストに入ってしまいます。

債務整理の期間が長くなってしまう理由

債務整理をする際に、通常よりも期間が長くなってしまうこともあります。それには、どのようなケースが考えられるでしょうか?
例えば、専門家に依頼する際の着手金を分割払いにした場合などが考えられます。最近では、着手金の支払いを分割払いで受け付ける事務所も増えています。債務整理を依頼する人の多くは金銭的に不自由していることが多いので、すぐに支払うのが難しいことも多いのです。分割払いができるなら、その分負担も少なくなります。また、依頼した時点で受任通知が送付されて借金の返済がストップするため、その返済分を支払いに回すことができるのです。ただし、その場合は実際に手続を進めるのが支払を終えてからとなるのが一般的です。そのため、支払い期間の分だけ債務整理の時間が長くなってしまうのです。
借金の内容に問題がある場合も、債務整理に係る期間が長くなってしまうことがあります。借りてからほとんど返済をしていない、もしくは借入時に収入や他社の利用状況などの情報を偽っていた場合、長期間滞納していた場合、毎月返済できる金額が借金の額に対して少なすぎる場合などは、問題があると見なされます。その場合は、最初から債務整理をすることを予定していたと疑われてしまいます。返済できる金額が少なければ、返済に係る期間も長引いてしまいます。そうなると、任意整理では和解交渉に応じてもらえる可能性が低くなります。自己破産や民事再生でも、裁判所でかなり綿密に調査されることになるでしょう。そうなると、専門家に依頼しても交渉は厳しくなってしまい、長引くことになるのです。
任意整理の場合、利用している貸金業者が大手の場合は比較的早く対応してもらえるのですが、中小の市貸金業者からの借り入れがある場合は交渉が難しいこともあります。特に、3年を超えて分割払いを希望した場合は、なかなか応じてもらえないかもしれません。

債務整理をなるべく早く終わらせるためには、少しでも借金が少ないうちになるべく早く専門家に相談しましょう。なるべく早い方が、交渉や手続きもやりやすくなるため、手続に係る期間も短くなるのです。

債務整理手続きは専門家に依頼しよう

債務整理は、弁護士や司法書士に依頼するのが一般的です。しかし、そのための料金が高いと感じた人の中には、自分で手続きをしたいという人もいるでしょう。その場合と、依頼した場合のメリット・デメリットについてまとめたので、参考にしてください。

 司法書士弁護士自分で行う
時間×
費用×
対応金額の制限
140万円を超える借金には対応できない

金額の制限なくできる

特にないが、金額が増えると手間も増える
取り立て・督促
依頼を受けた時点で受任通知を送付し、取り立てや督促が止まる

依頼を受けた時点で受任通知を送付し、取り立てや督促が止まる
×
交渉が終わるまでは止まらない

料金の高さが気になる人もいるでしょうが、書類作成などの難しいところを代行してもらうことができます。書類に不備があると、手続に時間がかかるだけではなく申請を却下されてしまうこともあるので、書類を正しく作成できるというのは重要なことなのです。自分で行うことを考えている人もいるでしょうが、その場合はかなりの時間がかかってしまい、書類も何度も作り直すことになるでしょう。その上、経験不足のために成功率も決して高くはないでしょう。経験が豊富な専門家なら、気を付けるべきポイントも分かるので成功率も高うなるのです。料金以外のところも考慮したうえで、依頼するかどうかを判断しましょう。

債務整理の相談実績

では、実際に債務整理をした人の相談実績について、いくつか紹介します。
どのくらい借金を減らすことができたのか、確認してみましょう。

ケース① Aさん
・40代男性
・職業 会社員
・借金総額 1,200万円

Aさんは地元を離れて働いていましたが、お母様が亡くなったことで一人暮らしになったお父様を心配し、実家に帰りました。その後、2年ほどでお父様も病気で入院し、Aさんは看病と仕事を両立させようとしていましたが、無理が生じて自身も体を壊しかけてしまったので会社を退職し、看病に専念することにしました。その後、お父様の病気は悪化して入院し、治療に様々な手を尽くしたもののその甲斐なく、お亡くなりになられました。
お父様が亡くなられて、Aさんの元には1200万円の借金が残りました。お父様の治療費や入院費、更に生活費などのために借り入れていたのです。治療費には、先進治療を受けた分も含まれています。
Aさんは看病も終わって再就職しましたが、給料もそれほど高くはなく支払いが厳しいため、債務整理を考えて当事務所に御相談にお越しになりました。Aさんは民事再生を考えていたようですが、実家に住み続けるつもりがないということと車は古くて価値が低いこと、Aさんの職業や借金の理由などから、自己破産の方が効果的と判断して自己破産手続きを勧めました。Aさんも快諾してくださったので、自己破産を申し立てて無事に免責許可を得ることができました。200万円相当の実家を手放すことで、1,200万円の借金を返済しなくてもよくなったのです。

ケース② Bさん
・40代男性
・職業 自営業
・借金総額 3,200万円(住宅ローン含む)

10年前に会社を退職して、個人事務所を立ち上げたBさんは、奥様と2人のお子さんがいて幸せな家庭を築いていました。しかし、2年前に体を壊して入院し、それが1年ほど続いたことで貯金も底をつき、顧客も離れてしまいました。病気になったことがあまりなかったので、医療保険もおまけ程度にしか加入していなかったことも家計に大ダメージを与えることになりました。
退院後、再び顧客を探したもののかつての顧客は別のところと契約していて、戻ってきた顧客と新規の顧客を合わせても、収入は以前の半分ほどしかありませんでした。そのため、生活費の補てんなどで借金を重ねるようになり、住宅ローンの支払いも続いていてローンの残債が2,600万円ほどありました。それ以外の借金も600万円になり、合計で3,200万円の借金があったのです。
返済が厳しくなったため、当事務所に債務整理のご相談にお越しになりました。特に、どの方法がいいということはなかったので、当事務所でヒアリングをした結果、自宅は残しておきたいという希望があったので、民事再生をお勧めしました。
小規模個人再生となり、債権者からの反対も特になかったので、そのまま手続きは勧められました。結果、住宅ローンを残して600万円の借金は120万円に減額されました。

まとめ

・債務整理には、任意整理と民事再生、自己破産、特定調停の4種類がある
・任意整理は、個別に債権者と交渉して借金の利息などをカットしてもらう手続き
・民事再生は、借金を約5分の1に圧縮して返済するための手続き
・自己破産は、裁判所に申し立てて借金の返済を免責にしてもらう手続き
・過払い金請求は、過去に高い金利で返済していた分を計算し直して、余分に支払った分を請求するための手続き
・債務整理をした場合は、信用情報機関のブラックリストに入る
・専門家に依頼する際に、着手金を分割払いにした場合などは手続きの期間が長くなる
・借金の返済に無理を感じたら、なるべく早く債務整理をした方がいい
・債務整理は、借金の返済額が年収の20%以上になったら考えるべき
・債務整理は、ほとんどの人が成功している




監修者情報
代表 鈴木 法克
代表 鈴木 法克
認定番号 第101196号 / 東京司法書士会所属 / 登録番号 東京 第7018号
借金は、借金では解決出来ません。
クレジットでの買い物や、軽い気持ちでキャッシングを重ねるうちに借金が知らない間に増えることは、だれにでもあることです。
支払いが無理かなと感じたら、身近な法律家である司法書士にまずは、ご相談ください。
あなたの早めの相談が問題解決へのきっかけになります。
一人で思い悩まずに、司法書士といっしょに問題解決に向けてスタートしましょう。
また、司法書士は、不動産登記や商業登記、簡易裁判所で扱う事件についての代理等をしていますので、借金問題以外の法律相談もしています。
弁護士では、敷居が高いと感じている方も、気軽にご相談ください。
関連コラム
よく見られている記事
最新アップ記事

ACCESS

アクセス

東京
大阪
  • 東京
  • 大阪
東京本店

〒167-0051
東京都杉並区荻窪5-16-12 荻窪NKビル5階(受付)・6階
最寄駅:JR中央線・地下鉄丸の内線荻窪駅 西口より徒歩1分

大阪支店


ただいま閉鎖中です。

〒532-0011
大阪府大阪市淀川区西中島4-11-21 新大阪コパービル303
最寄駅:御堂筋線西中島南方駅 北口より徒歩4分/JR新大阪駅より徒歩8分
06-4862-6320 06-4862-6320
電話受付時間:平日10:00~20:00

司法書士

代表者氏名:鈴木 法克
認定番号:第101196号・東京司法書士会所属
登録番号:東京 第7018号

営業時間

電話番号

【無料相談ダイヤル】
営業時間:
平日 8:30~21:30 土日祝 8:30~21:00
WEBでのご相談受付時間:356日 24時間受付可
0120-963-164

【ご依頼専用ダイヤル】
03-5335-6450
電話受付時間:平日のみ 10:00〜18:30

東京
大阪
東京
司法書士

代表者氏名:鈴木 法克
認定番号:第101196号・東京司法書士会所属
登録番号:東京 第7018号

無料相談ダイヤル

営業時間:平日 8:30~21:30 土日祝 8:30~21:00
WEBでのご相談受付時間:356日 24時間受付可
0120-963-164

ご依頼専用ダイヤル

03-5335-6450
電話受付時間:平日のみ 10:00〜18:30

東京本店

〒167-0051
東京都杉並区荻窪5-16-12 荻窪NKビル5階(受付)・6階
最寄駅:JR中央線・地下鉄丸の内線荻窪駅 西口より徒歩1分

大阪
司法書士

代表者氏名:幡野 博文
認定番号:第401159号・東京司法書士会所属
登録番号:東京 第1545号

無料相談ダイヤル

営業時間:平日 8:30~21:30 土日祝 8:30~21:00
WEBでのご相談受付時間:356日 24時間受付可
0120-963-164

ご依頼専用ダイヤル

03-5335-6450
電話受付時間:平日のみ 10:00〜18:30

大阪支店


ただいま閉鎖中です。

〒532-0011
大阪府大阪市淀川区西中島4-11-21 新大阪コパービル303
最寄駅:御堂筋線西中島南方駅 北口より徒歩4分/JR新大阪駅より徒歩8分
06-4862-6320
電話受付時間:平日10:00~20:00

PAGE TOP