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債務整理
2021.05.18

債務整理の仕組みとは?借金減額で生じるリスクや対処法も解説

債務整理は、借金を合法的に減額できる方法です。いくつか手続きの種類があり、それぞれ減額できる割合や利用できる条件などが異なります。手続きによって、債権者と直接交渉する方法と裁判所を通じて手続きする方法があります。例えば、債務整理の一種である任意整理は、債権者と直接交渉して借金を減額します。自己破産の場合は、裁判所に申立をして手続きを進めます。個人再生も裁判所を通じて手続きを行うのですが、債権者の同意も必要な手続きです。
借金の返済が厳しく、どうにか減額するか支払いを引き延ばしたいという方は、債務整理を検討しましょう。ただ、債務整理の仕組みがいまいちよくわからない、という人もいるでしょう。債務整理をするなら、そのリスクなども知っておけばあらかじめ対処しておくこともできます。
債務整理でどのように借金が減るのか、その具体的な方法や手続きの際に注意するべき点など、債務整理を理解するためのポイントについて詳しく解説していきます。

債務整理の特徴

まずは、債務整理の特徴について解説します。債務整理には主に3つの手続きがありますが、それぞれ特徴が異なります。1つずつ、解説していきます。

任意整理

任意整理は、貸金業者やクレジットカード会社などの債権者と交渉することで、今後の原則利息カットをはじめとした借金返済に伴う調整に合意してもらう手続きです。原則利息カットに応じてもらうことができれば、今後は元金だけを返済すればよくなります。その際も、原則3年、最長で5年の分割払いで返済することになるため、毎月の支払額はかなり少なくなります。債務整理の中でも、最も利用されている方法です。
債務整理の特徴は、裁判所を通じて行う手続きではないので、整理する債権を自由に選べるという点です。5件から借金をしていても、そのうち3社だけと交渉する、ということも可能です。
ただし、交渉の結果減額してもらえるので、必ず成功するとは限りません。また、確実に返済できるだけの収入がなければ、手続きできないので注意しましょう。

個人再生

個人再生は、裁判所を通じて行う債務整理の手続きです。元金を大幅に減額することができる手続きで、その割合は借金の額によっても異なるのですが、原則として5分の1に減額できます。
基本的にはすべての債権を対象として整理するのですが、住宅ローンに関しては特例があります。現在住んでいる自宅が住宅ローンの返済中であれば、その債権だけは整理対象に含めなくてもいいのです。その場合、今後も住宅ローンは原則利息も含めて全額返済していくことになるものの、自宅を手放さずに手続きができます。
個人再生の手続きには、ある程度の収入が必要など一定の要件があります。また、手続きが複雑なので注意しましょう。

自己破産

債務整理の手続きの中でも、最も効果が大きい手続きが自己破産です。裁判所に申立をして、借金の返済を免除する免責の許可を得ることで、それ以降は借金を返済する義務がなくなります。
自己破産は、今後借金を返済していくだけの能力がないと判断されなければ認められません。裁判所でその点を判断して、決定されます。また、何らかの財産を保有している場合は、それを処分して返済に充てなくてはいけません。ただし、一定以下の金額の財産や現金については、残しておくことが認められます。
自己破産には、免責不許可事由というものが定められています。それに該当すると、免責を受けることができないので、あらかじめ確認が必要です。ただし、該当する場合でも許可を得られるケースもあります。

借金は放置するより債務整理するほうがメリットが大きい

債務整理をためらって、借金を放置してしまう人もいます。確かに、債務整理にはデメリットもありますが、借金を放置しておくよりも債務整理をする方がメリットは大きいのです。具体的な違いについて、解説します。

ブラックリスト入りに伴うデメリット

債務整理をすると、信用情報機関にそのことが登録されてブラックリスト入りしてしまいます。ブラックリストに入ると、登録されている間は新規の借り入れをしたり、クレジットカードを新規に作成したりすることができなくなります。ブラックリストに登録される期間は債務整理の種類によって異なりますが、およそ5年から10年ほどです。

債務整理しなくても滞納すればブラックリスト入り

信用情報機関のブラックリストは、債務整理をした時だけ入るというわけではありません。それ以外でも、入ってしまうことがあるのです。それは、返済を滞納した時です。1回や2回、たまたま返済が遅れただけならすぐにその情報は消去されます。しかし、何回も滞納していると本格的に登録されてしまいます。
ブラックリストに入ることを嫌がって債務整理をしない人もいますが、滞納してしまえば同じように登録されるのです。だからこそ、借金を放置するのではなく債務整理をした方がいいのです。

滞納を続ければ差し押さえの危険もある

長い期間滞納を続けてしまうと、債権者が訴訟を起こすことがあります。そうなると、裁判所の強制執行を受けてしまいます。そして、財産や給与などを差し押さえられてしまうのです。
そうなってからでは、任意整理の交渉に応じてもらえる可能性はかなり低くなってしまいます。ただし、個人再生や自己破産の手続きであれば、強制執行の停止を申し立てることもできます。
借金を放置していると、このような事態になってしまうことがあるのです。そうならないように、滞納する前に債務整理の手続きをしましょう。

借金を解決できる債務整理の仕組み

それぞれの債務整理の方法で、どのように借金は減るのでしょうか?それぞれ、どのように返済総額の減額を目指すのかを解説します。

任意整理

任意整理は、債権者と直接交渉して、借金を減額します。具体的には、借金の返済総額から今後の原則利息をカットすることで、返済する総額を減額するのです。
具体的に、どのくらい減額できるのかを解説します。200万円を年利15%で借りていた場合、36回払いの予定なら利息は約50万円かかります。それを、原則利息カット、60回払いの条件で合意した場合、返済総額と月々の返済額は以下のようになります。

任意整理前

元金200万円
利息50万円
月々の返済額73,000円


任意整理後
元金200万円
利息0円
月々の返済額34,000円

任意整理は、原則利息がカットされるというのが主な効果です。元金は減額できないので、あまり効果がないと感じる人もいるでしょう。しかし、利息は以外に大きな割合を占めていて、さらに返済期間が延びることで毎月の支払額も大きく減額されるのです。そのため。大きな効果があるといえます。ただし、その効果を最大限に得られるかどうかは、交渉次第です。交渉の結果によっては、原則利息のカットができなかったり、あるいは一部だけカットされたりすることもあります。また、遅延損害金に関しても交渉によって決められます。

個人再生(民事再生)

個人再生は、裁判所に申立をして行う手続きです。認可を得られれば、借金の元金を大幅に減額できます。残った債務は、原則3年、最長で5年の長期で分割払いにできます。
個人再生では、原則5分の1に借金が減額されます。しかし、実際に減額される割合は、借金の総額によって変わります。

借金の総額減額された金額
100万円以下全額
100万円以上500万円未満100万円
500万円以上1500万円未満総額の5分の1
1500万円以上3000万円未満300万円
3000万円以上5000万円未満総額の10分の1

借金が総額で5000万円以上の場合は、個人再生を利用できないので注意しましょう。
個人再生で借金が減額される仕組みについて、解説します。個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2つがあります。それぞれ、減額される仕組みが若干異なるので注意しましょう。小規模個人再生の減額の仕組みは、以下のようになっています。

(1)裁判所・再生計画案を提出
・個人再生委員からの報告
(2)債権者・書面決議による決議
・金額と債権者数それぞれの過半数の消極的同意が必要
(3)裁判所・裁判所による認可・不認可の決定
・認可された場合、その翌月から弁済を開始する

給与所得者等再生の場合は、債権者の同意が必要ないという点が異なります。債権者からは意見聴取をするのですが、直接債権者から個人再生に反対されることはないのです。ただし基本的に、給与所得者等再生は小規模個人再生より、弁済金額が多くなります。

自己破産

自己破産は、債務整理の中でも最も効果が大きいものです。基本的に、借金を返済しなくてもよくなるので、現在ある借金は実質的になくなるのです。ただし、自己破産は誰でもできるというわけではありません。収入などはなくてもいいのですが、免責不許可事由という項目に該当すると、借金の返済義務がなくなる免責の許可を受けられなくなってしまいます。免責不許可事由には、以下のようなものがあります。

・財産隠しなど、債権者に不利益が生じる行為をした
・カードで購入したものの換金や、小売りの借金をした
・債権者のうち一部にだけ利益を与え、それ以外の債権者に損害を与えた
・賭博や浪費のために借金をした
・自己破産を申し立てる1年前から、だます目的で信用取引により財産を取得した
・業務や財産に関する帳簿や物件を隠した
・意図的に一部の債権者を債権者名簿に載せず提出した
・裁判所の調査に協力しなかったり、破産管財人等の職務を妨害したりした
・過去7年以内に、自己破産や個人再生などを利用していた

これ以外に、支払不能状態であると認められる必要もあります。これ以上返済ができない、もしくは返済を続けても完済するのは無理だと認められる必要があるのです。
自己破産の場合、借金が減額される仕組みはかなりシンプルです。裁判所に申立をして、免責許可を得られれば、それで手続きは完了です。ただし、滞納している税金などの一部の債権は、非免責債権となります。こうした債権は、たとえ裁判所から免責許可を得られてもそれには含まれず、全額支払わなくてはいけないので注意してください。

債務整理を検討した方が良いケース

債務整理は、なかなか決断するのが難しいものです。しかし、債務整理を検討したほうがいいケースがあります。こういったケースに当てはまるようなら、債務整理を検討することをおすすめします。

多重債務で借金返済が苦しい人

複数の貸金業者から借金をしている多重債務で、借金返済が苦しいという方は債務整理を検討しましょう。今後、まだまだ返済を続けていかなくてはいけないので、今以上に苦しくなっていきます。さらに、複数の貸金業者から借金をしていると、どこかの返済が滞ると別のところから借りて返済することも出てきます。そうなると、借金はどんどん増えていってしまうのです。どうにもならない状態になる前に、債務整理の中でどの手続きなら可能かを検討することをおすすめします。

滞納を解消できる見込みがない人

借金を滞納して、そのまま放置していると差し押さえをされることもあります。滞納が一時的なものならともかく、解消できる見込みがないようなら差し押さえを受ける前に、債務整理を検討しましょう。

年収の30%を超える借金がある人

現在、借金には総量規制というものがあって、年収の3分の1を超える額は借りられないことになっています。つまり、約30%です。収入が減るなどの理由で、年収の3分の1を超える額の借金がある場合は、債務整理を検討したほうがいいでしょう。

債務整理で生じるリスクへの対処法

債務整理はメリットの大きい手続きですが、デメリットも生じます。ただし、対処法を知っておけばそれほど困ることもないでしょう。債務整理のデメリットと、その対処法について解説します。

事故情報は時間が過ぎれば消える

債務整理のデメリットといえば、信用情報にそのことが事故情報として登録され、ブラックリストに入ってしまう、という点が思い浮かびます。ブラックリストに入ると、新規の借り入れやクレジットカードの新規申し込み、銀行のローンなど様々なことに制限がかかります。債務整理を避けようとする人も、この点が気になっていることが多いのです。
しかし、実は事故情報というのは、時間が経過すれば消えてしまうのです。そうなれば、もちろんブラックリストからも消えます。そのため、そこまで気にすることはないのです。
ちなみに、事故情報が消えるまでは5年から10年ほどです。

カードの買い物はデビッドカードで代用できる

債務整理をすると、現在持っているクレジットカードは強制解約されます。また、新規に申し込んだ際は信用情報を確認されるので、事故情報が登録されていると審査で落とされてしまいます。そのため、クレジットカードを持つことができず、不便な思いをするでしょう。
しかし、ブラックリストに入っていても、デビットカードなら発行できます。これは、銀行口座と紐づけて口座内のお金を引き落とすものなので、信用情報は関係ないからです。分割払いができないだけで、後はほとんどクレジットカードと同様に使えるので、あまり困ることはないでしょう。

職業の制限は種類や期間が限られている

債務整理の中でも、自己破産をすると職業に制限を受けることがあります。そのため、自己破産をためらう人もいるでしょう。
ただし、すべての職業で制限を受けるわけではありません。制限を受けるのは一部の職業だけです。また、その制限を受ける機関も限られています。自己破産の手続きをしている間だけなので、それほど長い期間ではありません。

債務整理の手続きを実際にした人の体験談

債務整理をすると、どのような変化が起こるのでしょうか?実際に、債務整理をした人の体験談を紹介します。決意したのがどんなタイミングで、結果はどうなったのか、参考にしてください。

ケース(1) 任意整理

年齢・性別40代男性
借入総額150万円
毎月の返済額6万円→2万円

5社から借金をしていて、多重債務となり毎月の返済は苦労していました。借りたお金は別の会社への返済に使う生活で、一度その状態に疲れて滞納したところ各社から督促が来たため、それ以降は可能な限り返済を続けていましたが、とうとうこれ以上借り入れができなくなってきたため、債務整理を相談しました。
最初は自己破産を考えていましたが、相談した結果過払い金が戻ってきそうでした。それも考えて、任意整理での手続きになりました。
過払い金の手続きで、80万円が戻ってきました。そのうえで、原則利息をカットして残額は3年の分割払いとなったため、毎月の返済額も6万円から2万円まで減額されました。

ケース(2) 個人再生

年齢・性別50代男性
借入総額750万円
毎月の返済額25万円→4万円

競馬、パチンコなどのギャンブルにはまって、一時期は勝っていたものの徐々に負けが多くなり、借金をするようになりました。消費者金融やクレジットカード、銀行のカードローンなど数社から借りていき、返済は借りて返すというのを繰り返していた結果、気が付いたら750万円もの借金を抱えて毎月合計で25万円を返済しなくてはいけない状態になっていました。そんな額を支払うと生活もままならないので、滞納することも増えて督促の電話がかかってくるようになり、うつになりそうなほどのストレスを抱えたため、債務整理の相談に訪れました。
額が大きく、滞納しているため任意整理では難しく、借金の理由がギャンブルなので自己破産も難しいため、個人再生を勧められました。
必要な書類などは多かったものの、無事個人再生は認められて借金の額も150万円まで圧縮されました。3年ほどで返済するため、毎月の支払額も4万円になり返済できる額となりました。何より、手続きを開始した時点で督促が止まったというのが、非常に助かりました。

ケース(3) 自己破産

年齢・性別40代女性
借入総額200万円
毎月の返済額8万円→0円

会社が倒産して、当面の生活費として30万円を借り入れたことから借金が始まりました。その後、新しい仕事が見つかったものの以前より給料は下がってしまい、返済が大変だったのでまた別のところから借り入れました。しかし、なかなか給料が増えなかったので、借り入れも2社、3社と増えていきました。限度額まで借りるのが怖かったので、銀行のカードローンなども含めて合計6社から借り入れていたのです。
しかし、借金が増える一方になったのでもうどうしようもなく、債務整理の相談に訪れました。収入はあるものの生活に手いっぱいの額なので、自己破産を勧められました。
自己破産というと、仕事も失って住むところもなくなるのではと不安でした。しかし、詳しく説明を聞くと思っていたような弊害はなく、仕事にも支障がないようなので手続きを進めました。おかげさまで、借金から解放されて軽やかな気持ちで生活できています。

まとめ

・債務整理には、3つの方法がある
・債務整理をするとブラックリストに入るが、それ以上のメリットがある
・ブラックリストは、借金を滞納しても入ってしまう
・借金を放置していると、強制執行で給料等を差し押さえられることもある
・任意整理をすると、原則利息カットされて借金が減額される
・個人再生は、元金を原則5分の1に圧縮できる
・自己破産は、借金の返済義務が免除される
・多重債務に陥った場合、なるべく早めに債務整理をするべき
・借金の返済が難しくなったら、債務整理を検討するべき
・債務整理のデメリットには、対処法がある
・事故情報も、時間が経過すればリセットされる
・債務整理をして、借金の苦しみから解放されよう




監修者情報
代表 認定司法書士 幡野 博文
代表 認定司法書士 幡野 博文
認定番号 第401159号 / 東京司法書士会所属 / 登録番号 東京 第1545号
40年の実績と信頼。北海道江別市出身。
昭和56年に司法書士資格を取得し、司法書士事務所を開設。以後、登記業務を主として各方面で活躍し、その傍ら身近な法律家として庶民の相談者として、様々な問題を解決。平成15年の簡裁訴訟代理関係業務の認定制度の発足に伴い、認定司法書士の資格を取得。親切・丁寧をモットーに依頼者と共に問題を解決すべく司法書士活動を展開中。
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