督促状とは?無視した場合や正しい対処法を司法書士がわかりやすく解説
借金の返済が滞ると、債権者から返済を求める書状が送られてきます。しかし、その書状について、督促状なのか催促状なのかよくわからない、という人もいるでしょう。似たようなものだからどちらでもいいと思っている人もいるでしょうが、実はこの2つは大きく異なるのです。
督促状と催促状は、どのような違いがあるのでしょうか?また、それと似たもので催告書というものがあるのですが、これとはどう違うのでしょうか?それぞれの違いや、届いてしまった時の対処方法について解説します。
督促状とは?
督促状というのは、元々定められていた期日までに支払いがなかった場合に、支払うよう促すための書状です。「督」という時には、「取り締まる」、「まとめ役」、「正す」といった意味があります。
借金の督促状は、基本的に普通郵便ではなく特別送達という形で送られてきます。直接郵便局員から手渡しで受取ることになり、その際は受領したという証明のサインが必要です。
催促状とは?
催促状というのは、初めて支払期日を過ぎてしまった時などに、支払がされてないので速やかに支払って下さい、というニュアンスで送付される書状のことをいいます。
催促状の場合は、相手の出方を伺う意味もあり、「お忘れではないでしょうか?」といった柔らかいニュアンスの文面となっていることが多いでしょう。また、送付の際はほとんどの場合、普通郵便で送付されます。
督促状と催促状の違いは?
督促状と催促状は非常に似ているのですが、若干の違いがあります。督促状の場合、○○日までにお支払い下し亜となっていることが多いのですが、催促状の場合は速やかに、あるいはなるべく早くといったニュアンスとなっています。つまり、督促状と催促状を比較した場合、督促状の方がより強制力の強い書状となっています。
また、催促状は送られてこないこともあります。期日が過ぎた場合は電話連絡をして、それでも入金がなかった場合は督促状を送ることも多いのです。
催促状・督促状が届いたらどうするべき?無視するとどうなる?
督促状が届いても放置して無視していると、深刻化してしまいます。
その際は、以下のような段階で進みます。
・遅延損害金が発生する
・連帯保証人に請求される
・ブラックリストには5年間残る
・催告書が届く
遅延損害金が発生する
借金の返済を滞納している間は、その日数に応じて遅延損害金が発生します。
遅延損害金というのは、返済を滞納していることで債権者に対して支払う損害賠償金のことを言います。期日までに返済しなかった場合、債権者は不利益を被ると考えられるため、損害賠償の請求が可能となるのです。
遅延損害金の上限年率は20%と定められているので、一般的には上限の20%で請求されます。借入金額が10万円以上であれば年利の上限は18%、100万円以上の場合は年利15%が上限です。
そのため、遅延損害金の年利20%というのは、一般的な借り入れよりも高くなります。遅延損害金は滞納して1日目から発生するのですが、連絡は数日から1ヶ月程度が経過してからくるので、注意しましょう。
連帯保証人に請求される
2ヶ月以上滞納を続けていると、連帯保証人に請求されてしまいます。
連帯保証人というのは、債務者と同等の責任を負うことになります。そのため、どのタイミングであっても請求されると拒否することはできないのです。
債務者本人が返済しなかった場合、連帯保証人に請求されたとしてもそれを拒否することはできません。もし、請求された時に連帯保証人も支払うことができなかった場合、債務者本人だけではなく連帯保証人の財産や給与も差し押さえを受けてしまう可能性があります。
ブラックリストには5年間残る
2ヶ月以上滞納している状態が続いた場合は、そのことが事故情報として個人信用情報機関に登録されてしまい、ブラックリストに載ることになります。
信用情報機関では、クレジットカードの利用状況や借入状況、申込や返済状況など多くの個人情報を管理している機関で、延滞や債務整理などの情報も登録されるのです。そして、返済して滞納状態を解除することができたとしても、事故情報は5年間残ったままになります。それが消えるまでの間、クレジットカードの新規発行の申し込みや新たに借り入れしようとした場合に、審査で落とされやすくなり利用が難しくなります。
催告書の期限内に支払いを
滞納を2カ月以上続けている時は、やがて催告書が届きます。
そうなったら、その期限内に支払いをしなくてはいけません。この状態では、元本と遅延損害金、利息を一括で返済しなくてはいけなくなります。催促状に似ているため混同されやすいのですが、催告書は督促状よりさらに法的な強制力が強く、期日までに支払いがされない場合は裁判になって強制執行されてしまう可能性が高いのです。滞納が3ヶ月以上続くと、裁判を起こされる可能性が高くなるでしょう。
督促状が届いた時にまずすること・対処法
督促状が届いた時は、慌てて対処する前にいくつかの点を確認しましょう。
どのような点を確認するべきか、解説します。
詐欺・架空請求ではないか確認する
督促状が届くと、すぐに連絡しなくてはと焦ってしまうことがあります。
しかし、中には督促状が届いたからと言って、すぐに連絡しなくても大丈夫なケースもあるのです。まず考えられるのが、架空請求のケースです。時には、借りた覚えがない会社から催告書が届くケースもあるのです。
まずは、冷静に債権者の会社名等を確認しましょう。
消滅時効を確認する
消滅時効が近づいているケースでも、すぐに連絡する必要はありません。最後に返済してから5年が経過すると、時効となり借金を返済する必要がなくなります。返済してしまうと時効はリセットされてしまうので、わざわざ連絡する必要がないのです。
但し、督促状ではなく催告書を受け取るとそこから6カ月は時効のカウントがストップするので、その点には注意してください。
催告書の支払いができない場合は?
しかし、催告書が届いたからと言って支払いができるとは限りません。その期日内に支払えるあてがない、という人もいるでしょう。その場合は、どうするべきでしょうか?支払いができない場合の、具体的な対策について解説します。
催告書を送ってきた金融機関に相談
支払ができない場合、まずはその催告書を送付してきた貸金業者などの金融機関へと行き、返済について相談しましょう。督促状などが送られてきてもそれに対するリアクションを起こさずにいると、催告書が送られてきます。そのため、金融機関は支払う気があるのかどうかわからないため、取り立てをしようとするのです。まずは支払う気があるということを伝え、いつ頃なら支払うことができるのかを明確に伝えなくてはいけません。
ただし、どうしても支払えない、支払う当てがないということもあるでしょう。その場合は、今後どう返済するかの相談をすることになるでしょう。
司法書士や弁護士に相談して債務整理をする
返済できる見込みがない場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談してみましょう。そこで、現状を確認して債務整理の方法について検討します。債務整理には、任意整理や個人再生、自己破産等の方法があるのですが、それぞれ状況によって効果の有無や手続き可能かどうかが異なります。自分の現状では、どの方法なら可能で借金がどのようになるのかを知る為に、一度専門家と話してみた方がいいのです。
ちなみに、債務整理を専門としている専門家の場合、相談料は無料にしていることも少なくありません。しかし、あまり債務整理を扱っていないところでは、相談料がかかることが多いので注意してください。
まとめ
・督促状は、期日を定めてその日までに支払うよう求める書状
・催促状は、返済が遅れていることを伝えて速やかに支払うよう促す書状
・督促状の方が、催促状よりも強制力が強い
・督促状の期日までに支払える可能性が低い場合は、債権者である金融機関に相談するべき
・督促状に従って返済しない場合、催告書が届く
・催告書は、裁判を起こすことも示唆する内容の書類
・催告書が届いたら、なるべく早く支払いをするべき
・支払いができない場合は、債務整理を検討しよう
・債務整理については、司法書士や弁護士などの専門家に相談するべき
・催告書が届いたとしても、架空請求なら連絡する必要はない
・時効が近い場合は、催告書が届いても無視した方がいい
クレジットでの買い物や、軽い気持ちでキャッシングを重ねるうちに借金が知らない間に増えることは、だれにでもあることです。
支払いが無理かなと感じたら、身近な法律家である司法書士にまずは、ご相談ください。
あなたの早めの相談が問題解決へのきっかけになります。
一人で思い悩まずに、司法書士といっしょに問題解決に向けてスタートしましょう。
また、司法書士は、不動産登記や商業登記、簡易裁判所で扱う事件についての代理等をしていますので、借金問題以外の法律相談もしています。
弁護士では、敷居が高いと感じている方も、気軽にご相談ください。