特定調停とは?手続きに必要な書類や費用、期間、流れを簡単に解説
債務整理の手続きには、任意整理や個人再生、自己破産などが知られていますが、他に特定調停という手続きもあります。
特定調停は任意整理に似た手続きですが、司法書士等の専門家に依頼するのではなく裁判所を通じて行う手続きという点が大きな違いです。
特定調停とは具体的にどのような手続きなのか、解説します。
特定調停とは何か?
特定調停とは、簡易裁判所に申し立てをして、仲裁を受けながら債権者と話し合い、返済が可能な条件を交渉していくという制度のことです。
任意整理と同じように、最初は過払い金の確認から行い、過払い金がある場合には借金から差し引いた上で返済方法について話し合います。
特定調停は裁判所を通じて行う手続きではありますが、裁判所はあくまで仲裁をするだけであり、具体的な内容は当人同士で交渉するという点が、自己破産や個人再生とは異なります。
特定調停の手続きについて
特定調停は、法律に関する知識があまりないような方であっても手続きが可能です。
各簡易裁判所の窓口に備え付けで置かれている申立書などのひな型を使用することにより、自分で申立てを行って手続きを進めていくことができます。
特定調停は裁判と同様に、原則として当事者本人が出頭しなければなりません。
特定調停の手続きを進める際には、調停委員が事情を聴きとり、必要があれば事実かどうかを調査するなど、手続き自体は本当に簡単です。
申立てをするためにかかる費用も、個人が申立てをする場合は貸金業者1社あたり500円前後と極めて安価です。
手続きのために裁判所を訪れなくてはなりませんが、その回数も2回ほどで、それほど時間を取られることもありません。
また、特定調停は気兼ねなく債権者と債務者が話し合いをできるように、非公開の席が用意されています。
話し合いの内容や手続きをしたこと自体が他の人に知られることはありません。
特定調停の申立てを行う場所
特定調停を申し立てる場合には簡易裁判所に行くことになりますが、どの簡易裁判所でもいいというわけではありません。
債権者の所在地や居所などの区域を担当している簡易裁判所でしか、申し立てはできないのです。
例えば、東京23区(特別区)や御蔵島村、三宅村、小笠原村であれば、東京簡易裁判所の受け持ち区域となります。
ちなみに、1社だけではなく複数の債権者に対して手続きをしたい場合、全ての債権者が同一の受け持ち区域内にあるわけでなくても、関連事件として扱うことで、全て取り扱うことができるケースもあります。
複数の債権者がいる場合は、先に最寄りの簡易裁判所に関連事件としてすべて担当してもらうことができるのか、詳細を問い合わせてみてください。
特定調停の申立てを行う方法
特定調停は、どのように申立てを行えばいいのでしょうか?
基本的な申し立ての方法について解説します。
必要な書類
特定調停の申立てをする際は、いくつかの書類を用意しなくてはいけません。
まず必要となるのが、特定調停申立書です。
簡易裁判所の窓口にあるので、ひな形として自分で記入してください。
財産の状況がわかる明細書や、特定債務者だということがわかる資料も必要です。
どの業者にいくら借りているのかをまとめた関係権利者一覧表も必須の資料です。
また、支出を明確にするために、1か月分の家計収支表も用意しましょう。
収入がある家族全員分の所得額証明書や納税証明書も必要となります。
給与明細書か源泉徴収票も同様に必要です。
賃貸借契約書のコピーや直近2,3カ月分の光熱水道代の領収書、毎月の家賃がわかる書類も用意してください。
最後に、債権者の資格証明書も法務局で取得しましょう。
個人が申立てる場合の手続き
個人で申立てをする場合、特定調停申立書は2部用意して、正本と副本とします。
特定調停申立書の記入例が用意されているので、参考にしながら記入しましょう。
債権者が複数の場合は、債権者の数だけ用意してください。
財産の状況がわかる明細書や債務について把握できる資料、権利者について一覧にまとめた表は1部ずつ用意します。
申立手数料は債権者1人に付き500円ずつを収入印紙で用意しましょう。
例えば、債権者が4人、または4社の場合は、各500円で合計2,000円分の収入印紙を用意してください。
手続きにかかる費用は、予納郵便切手として納付します。
債権者1社に付き432円分の切手が必要ですが、内訳は84円切手4枚、10円切手9枚、2円切手3枚と定められています。
手続きを進めるうえで不足した場合は、追加で納付しなくてはいけません。
また、債権者が貸金業者など法人の場合は、本店所在地や代表名などがわかる現在事項全部証明書などを用意する必要があります。
事業者が申立てる場合の手続き
事業者の場合もまずは個人と同じく特定調停申立書を正本と副本の2部を用意します。
用意されている特定調停申立書の記入例を参考に、記入しましょう。
債権者が複数社の場合は、債権者の会社と同じ数を用意する必要があります。
財産の状況がわかる明細書や、特定債務者だということがわかる資料、関係権利者一覧表も1部ずつ用意してください。
申立手数料は債権者1人に付き500円ずつを収入印紙で用意します。
例えば、債権者が4人、あるいは4社の場合は、各500円で合計2,000円分の収入印紙を用意しなければなりません。
手続きにかかる費用は、予納郵便切手として納品します。
債権者1社に付き432円分の切手が必要ですが、内訳は84円切手4枚、10円切手9枚、2円切手3枚と定められています。
手続きを進める上で不足した場合は、追加で納付する必要があります。
また、債権者が貸金業者など法人の場合には、本店所在地や代表名などがわかる現在事項全部証明書などを用意してください。
特定調停の申立てにかかる費用
特定調停に必要な費用は、申立手数料に500円(1社につき)、切手代432円(1社につき)です。
費用は裁判所によって若干異なる場合もありますが、任意整理と比べるとかなり安いです。
費用の安さから、2003年には50万件以上、2004年も40万件近い申立がありました。
しかし、近年の利用者数は減っていて、2014年には約3,000件しか申立がありません。
なぜかというと、さまざまなデメリットがあるからです。
特定調停のデメリットとして、手続きが煩雑で手間がかかるという点や、過払い金の返還手続きは別途行う必要があるという点などが挙げられます。
何よりも大きなデメリットが、特定調停の成立する可能性がかなり低いということです。
任意整理の成功率は、低く見積もっても80%以上、おそらくは90%以上が成功しているとみられています。
一方、特定調停が成立する可能性はごくわずかで、5%以下と言われているのです。
ゆえに、ほとんどの人は費用が高くても成功率が高い任意整理を選択しています。
成功率が低い理由として、裁判官と調停委員は中立の立場で話をまとめる、という点が挙げられます。
味方がいない状況で交渉することになるので、成功率が低くなるのは当然ともいえるでしょう。
特定調停を行うまでの流れと期間
特定調停はどのような流れで行われるのでしょうか?
具体的な流れと、各段階でかかる期間の目安について解説します。
申立てを行う
簡易裁判所に特定調停の申し込みを行うと、債権者には裁判所から申立書と受理したことを示す書類が送付されます。
同時に、過払い金がないかを計算するための書類も提出するように依頼します。
申立てをしたら裁判所では内容に間違いがないかを確認し、
1カ月ほどかけて調査を行ったら、債務者の話を聞くために事情聴取期日を設けます。
債務者の話を裁判所が聞き取り、後に双方の主張に間違いがないかをチェックします。
調整期日
事情聴取期日から約1カ月後に調整期日を設け、債権者も同席の上、債務をどのように返済していくか、返済の条件はどうするかを話し合って調整します。
債権者が来ない場合も、電話で事前に調整を行っています。
調停委員は、債権者が提出した書類から債務者との間にある債務の総額を確定して、返済方法について債権者と債務者が双方納得できる、返済能力に応じた弁済計画案をだします。
計画案を基にして双方が話し合い、公正な返済方法になるよう調整します。
合意
調整したことで双方が合意した場合は、調停成立とみなして手続きは終了します。
以降は、合意した内容に従って返済していくことになりますが、もし債権者が裁判所に来ないまま調停が成立した場合は、合意した内容に代わる決定がされることになります。
また、もしも双方の合意に至らなかった場合でも、特定調停手続きは終了となります。
手続き全体でかかる期間は約2カ月で、期間中は事情聴取期日と調整期日の2回、裁判所に行くこととなります。
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まとめ
・特定調停は、裁判所の調停委員の同席のもと、借金の返済について債権者と話し合う制度
・債務者が返済できないという時は、裁判所が仲裁しながら返済可能な方法について計画を立てる
・特定調停には、いくつかの書類が必要となる
・個人で申立てをする場合と、事業者が申立てをする場合ではあまり違いがない
・手続きには、全体でおおよそ2カ月かかる
・費用が安く、かつては人気があったものの、近年は利用者が大きく減少している
クレジットでの買い物や、軽い気持ちでキャッシングを重ねるうちに借金が知らない間に増えることは、だれにでもあることです。
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