債務整理
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債権とは?意味や債務・物権との違い、契約の具体例をわかりやすく解説!

借金などの話でよく登場する言葉として、債権、もしくは債務というものがあります。しかし、普段は聞きなれない言葉なので、よくわからないという人や間違えて覚えている人もいるでしょう。債権は、他人に対して何らかの請求をすることを認められる権利のことで、債務は他人に対して提供しなくてはいけない義務のことです。
ですので、意味は全くの逆なのです。
債権と債務について、分かりやすく解説します。後ほど困らないように、今のうちに正確な意味や使い方、2つの違いなどを覚えておきましょう。

債権とは?

債権というのは、債務を持っている人に対してあらかじめ定められている行為、あるいは給付を請求することができる権利のことをいいます。基本的には、お金を借りた人に対してその返済を求める権利のことをいいます。
その権利を持つ人のことを、債権者といいます。これも、金融機関などのお金を貸す業務をしている会社などを指すことが多いでしょう。

債務とは?

債務というのは、債権を持つ人に対して請求された場合に特定の権利、あるいは給付を提供するという義務のことを言います。基本的には、お金を借りた人がその債権者である金融機関等に対して、返済をする義務を意味します。
その義務を負っている人を、債務者といいます。ほとんどの場合、お金を借りた人のことを債務者と呼んでいます。

関連リンク:https://hikari-hatano.com/saimuseiri/column/saimutoha/

債権と債務の違いは?

債権と債務は、基本的にワンセットの言葉です。賃貸借契約においては、借りた人は債務という義務を負うことになり、貸した人は債権という権利を持つことになるのです。債権を持つ人は、債務を持つ人に対してお金を返すという契約の履行を請求できる権利があり、債務を負った人は請求されたときはそれに応じて契約を履行する義務があるのです。
消費者金融や銀行は、基本的に債権者です。そして、そこからお金を借りる個人、あるいは企業が債務者となるのです。ただし、債権者となるのは金融機関だけに限らず、個人間での貸借であっても債権者と債務者に分かれることになります。

債権と物権の違いは?

債権と物権は、その対象が異なります。債権というのは、人を対象とした請求権です。それに対して、物権というのは物を対象とした支配権のことをいいます。
どちらが優先されるのかといえば、原則として物権のほうが優先されることになります。また、物権は分け合うものではないため、他人が使用できないよう制限して他者を排除する排他性があります。
そのため、物権は対象のものについてすべての人に対して主張することができる権利です。物権の具体的な例としては、所有権や先取特権などがあります。

場合別の債務・債権の具体例

債務や債権の扱いは、その契約によって異なることがあります。主な契約例としては、双務契約、片務契約、相殺、相続という4つがあるのです。その4つはそれぞれ、債務や債権の意味合いが異なってきます。場合ごとに、それぞれの扱いを解説します。やや複雑なので、混同しないように気を付けて違いについて把握しておきましょう。

双務契約の場合

双務契約は、契約を結ぶ双方が、どちらも債務者であると同時に債権者でもあるという契約です。つまり、お互いに相手に請求ができるのですが、同時に相手から請求されたときには提供しなくてはいけない義務も負うことになるのです。
この契約の代表的なものとしては、労働契約や売買契約などがあります。労働契約の場合、雇用者は労働者に対して労働することを求め、労働者はその請求に応じて労働力を提供します。その代わり、労働者は雇用者に対して給与を請求することができ、雇用者はその請求に応じて労働の対価を支払う義務があります。

片務契約の場合

片務契約は、債務者と債権者が明確に分かれている場合の契約のことをいいます。消費者金融からお金を借りるときに結ぶ消費貸借契約などは、消費者金融が債権者、利用者が債務者と明確に分かれています。そのため、これは片務契約となります。ほかにも、贈与契約は片務契約に該当します。
片務契約は、契約書がない場合も成り立ちます。例えば、2人で食事に行った際持ち合わせがなく、1人が立て替えて2人分の食事代を支払い、後から返すという約束をした場合は片務契約が成立します。

相殺の場合

商取引などでは、当事者からみて双方に同一の性質で別の債権と債務が生じていることがあります。その債権と債務をお互いに帳消しとするのが、相殺です。これは、例えば企業の倒産に伴う破産手続きで生じることがあります。また、合併に伴って生じる場合もあります。
例としては、取引先が倒産したときはその会社が自社に対して買掛金があっても、それを回収することができなくなります。しかし、その会社から自社に対して売掛金があった場合、その債務は消滅しません。そこで、その売掛金と買掛金を相殺することで、債務を無くする、もしくは減額することができます。

相続の場合

相続は、被相続人の持つ債権や債務を相続人が引き継ぐことです。相続人は相続放棄をする権利もありますが、債権と債務のどちらか一方だけを相続することはできないので、相続するべきかどうかをよく考えて決めるべきでしょう。
債権や債務にはこのような形での契約があるのですが、複雑でわかりにくいことも多いでしょう。その場合は、専門家である司法書士に相談してみて、どのような契約に当たるのかを明確にすることをおすすめします。

債権者が債務者にできる権利は?

債権者は債務者に、その債務を履行するよう請求する権利を持ちます。
しかし、当然ながら何でも自由に請求できる、というわけではありません。具体的には、どのような権利があるのでしょうか?

①損害賠償請求権

債権者が持つ権利として、まずは損害賠償請求権があります。
これは、契約の通りに債務者が債務を履行しなかったことが原因で、債権者に損害が生じた場合にその代償を請求できる権利です。

②給付保持力

債務者から給付を受けた際にそれが不当利益に該当しない限りは、それを債権者が保持できる給付保持力という権利を持っています。
購入したものを売り主から返品してほしいと求められた場合などに、その請求に応じる必要がないというのがこれに該当します。

③貫徹力

債権の給付内容に従った請求を強制的にできる権利は、貫徹力といいます。
例えば、売買契約で代金を支払ったのにもかかわらず品物が引き渡されなかった時などに行使することができる権利で、その引渡しを強制することが可能となります。

④訴求力・請求力

訴求力や請求力というのは、訴訟を起こして裁判により、裁判所に債権の権利について認めてもらうことを言います。
例えば、債務者が債務の履行について約束通り行わなかった場合などに行使するもので、判決の結果に応じて貫徹力や掴取力などの強制執行ができます。

⑤契約解除

最終手段となるのが、契約解除の権利です。
これは、債務が約束した内容の通りに履行されなかった場合に、債権者が契約を解除することができるという権利です。
例えば、定期的に品物を納める契約を結んでいたのに、それが期日までに納められなかった場合などに行使することができます。

債務不履行はどういう場合になる?

債務者が、その債務を故意、もしくは過失のため履行しなかった場合は、債務不履行に該当します。履行可能な状態で、債務者が債務を果たさなければ、債権者にはそれを民法に基づいて強制履行できるのです。また、債務不履行になって債務者に責められるべき事由がある場合は、それによって生じた損害の賠償を債務者に請求することもできます。
ただし、債務を履行しなかったのではなくできなかった場合、その理由が納得のいくものであれば債務不履行には該当しないこともあり得ます。

関連リンク:https://hikari-hatano.com/saimuseiri/column/saimufuriko/

債務不履行に対する対処法は?

債務不履行になった場合の対処方法には、まず損害賠償の請求があります。
債務不履行の結果、債権者が損害を被ってしまった場合、債務者はその損害について償わなくてはならないのです。それにより、債権者が債務者に対して損害賠償を請求する権利を有することになるのです。

また、債務不履行があった場合はそれを理由として、締結されている契約を解除することも可能です。契約に際して保証人が定められている場合は、代わりに保証人がそれを履行する義務が生じます。

保証というのは、契約の不履行に備えて事前に講じる対策の1つです。保証される債務のことは保証債務といい、債務者が保証人と締結する契約は保証契約と言います。
連帯保証契約の場合は、債務者と保証人が同等の責任を負うことを約束するものになります。子供の借金の連帯保証人として、親が契約するといった話はよくあります。万が一債務者と連絡が取れなくなった場合などは、連帯保証人がその責任をすべて負うことになるのです。

債権における連帯債務とは?

債務者が全額の支払い義務を各自で負うことを、連帯債務と言います。
債権者が債務の履行を請求する際は、その連帯債務者のうち1人や一部、もしくはすべてに対して同時、あるいは順次に全部や一部を履行するよう請求できるのです。連帯債務には、弁済、請求、更改、総裁、免除、混同、時効の7つの分類があります。

売主の担保責任について

買主が売主に対してどの程度の責任を求めることができるか、それに対する損害賠償その他の責任のことを、売主の担保責任と言います。
売買契約を結ぶ際に不具合があるとき、買主に対して売主がそれを故意に画した場合などは、それに対しての損害賠償が可能となるのです。
例えば、通常はわからないような隠れた瑕疵がある場合や、地上権が設定されている土地など用益的権利による制限があった場合、契約に対して数量が不足していたり一部が滅失していたりする場合、全部もしくは一部が他人のものである物件を売却した場合、抵当権などの担保的権利による制限があった場合などが挙げられます。

債権・債務についてお困りの時は専門家に相談するのがおすすめ

債権や債務については、法律の知識がなければ解決するのが難しいことも珍しくありません。複雑になっていることもあり、自分で解決しようとしてもかえって混乱してしまうこともあるでしょう。債権や債務でお困りの場合は、司法書士等の専門家に相談するのがおすすめです。
はたの法務事務所では、債権や債務に関する相談も受け付けております。解決実績も多数あるため、安心してご相談ください。出張相談も全国無料で受け付けております。

まとめ

・債務と債権は似ているものではあるが、その意味は反対
・債権は、貸主が借主に対して請求する権利のこと
・債務は、借主が貸主の請求に応じる義務のこと
・債権と債務は、おおむねワンセットで扱われる
・双務契約の場合、お互いが債権者であり債務者でもある
・消費貸借契約などは、一般的に片務契約に該当する
・お互いの債務と債権を打ち消しあうことを、相殺という
・被相続人のもつ債権や債務を相続人が引き継ぐことを、相続という
・債権者が債務者に請求できる内容は、契約によって決められている
・損害賠償請求権などの様々な権利がある
・最終的な手段として、契約解除の権利もある
・債務を故意、もしくは過失で履行しないと、債務不履行になる




監修者情報
代表 鈴木 法克
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