過払い金が発生する条件とは?発生額が多くなる条件や注意点を解説
過払い金請求は、テレビのCMやネット上でよく目にします。しかし、過払い金というのがそもそも何なのか、なぜそのようなものが発生しているのかが分からない、という人も多いでしょう。過払い金は、借金をしてその返済をする際に、法律で定められている金利の上限を超える金利で支払っていた場合に、発生するものです。貸金業者との契約自体が法律の上限を超える金利となっていたのですが、それを法律の上限で定められた金利で計算し直した時の差額が過払い金となるのです。
過払い金は、貸金業法が改正された2010年以前に借金をしていた場合に、発生している可能性があります。それ以降の借金では、過払い金が発生していることはありません。また、過払い金が発生していた場合でも、請求できないケースもあります。それに関しては、この記事で詳細や理由について解説していきます。それ以外にも、過払い金請求のメリットやリスクなども解説していきます。
過払い金って何?
そもそも、過払い金というのはどのようなものなのでしょうか?過払い金の意味や、発生する条件について解説します。
過払い金とは?
過払い金は、貸金業者等からお金を借りたときに法律で定められている上限金利を超える金利で契約し、その通りに返済した時に発生するものです。上限金利を超えていた分が払い過ぎたものとなり、過払い金が発生するのです。とはいえ、その貸金業者が違法な貸し付けをしていたというわけではありません。当時は、その金利で貸し付けていた貸金業者が多く、特に罰則はなかったのです。
発生する原因
消費者金融やクレジットカード会社でお金を貸す際の金利の上限は、法律で定められています。しかし、その法律は2つあるのです。利息制限法と出資法という法律なのですが、以前はそれぞれ定めている上限金利が異なっていました。利息制限法は、借りる金額によって上限を15%から20%までの3段階で定めているのですが、出資法では一律で29.2%を上限としていました。この2つの法律の間の金利は、グレーゾーン金利といわれていたのです。
当時は、出資法に違反すると刑事罰があり、5年以下の懲役か1000万円以下の罰金、あるいはその両方が科されていました。しかし、利息制限法に違反すると行政処分の対象にはなるものの、特に罰則はありませんでした。そのため、多くのクレジットカード会社や消費者金融は利息制限法の上限金利は守らず、グレーゾーン金利での貸し付けをしていたのです。
ところが、2006年に最高裁で、利息制限法を超える金利は利息の過払いとなり、債務者はそれを返還するよう請求できるという判決が出されたため、それまでグレーゾーン金利で返済をしていた分は遡って計算し直し、差額の返還を請求することが認められたのです。それに伴って貸金業法も見直され、出資法の上限金利が利息制限法の上限金利を超えることがなくなっています。2010年に改正された貸金業法が完全施行されたのですが、ほとんどはそれ以前に金利を見直しています。
出資法改正後のグレーゾーン金利はある?
出資法が改正されて、グレーゾーン金利は完全に撤廃されたのでしょうか?実は、完全になくなったというわけではなく、少しだけ残っているのです。それは、借入額による上限金利の違いが原因です。出資法では、借入額に関わらず上限金利は一律20%と決められているのですが、利息制限法では借入額によって上限金利が異なります。利息制限法の場合、借入額が10万円未満なら年利20%、10万円以上100万円未満なら年利18%、100万円以上なら年利15%が上限になっているのです。つまり、借入金が10万円以上の場合は、出資法と利息制限法では上限金利に差が出てしまいます。この差が、グレーゾーン金利といえないこともありません。
ただし、現在は利息制限法の上限金利を超えて貸し付けをした場合に受ける行政処分の内容が、改正前と比べるとかなり厳しくなっています。以前は実害がないような処分だったので多くの貸金業者は無視していたのですが、今は営業停止処分を受けることがあります。また、悪質な場合は業務登録取消となり、貸金業者として営業することができなくなってしまうのです。もちろん、年利20%を超えた場合は刑罰を受けることになります。このように行政処分が厳しくなったこともあり、グレーゾーン金利は原則としてなくなったと思っていいでしょう。
発生条件のポイント
過払い金が発生するのは、どのようなケースでしょうか?過払い金の発生条件のポイントについて、解説します。
年利15%〜20%を超える金利でお金を借りた
過払い金が発生する条件は、利息制限法を超えた金利でお金を借りて、返済していたことです。利息制限法では金利の上限が借入金によって15%~20%と定められているので、それを超える金利でお金を借りていた場合は過払い金が発生している可能性があります。
借金の完済日から10年が経っていない
過払い金は元々返済する必要がなかったお金なので、貸金業者は不当にその金銭を得ていることになります。そのため、不当利得返還請求が可能となります。これは、法律によって認められている正当な理由がなく他人に損失を与え、それによって利益を得た場合は、損失を受けたものにその利益を返還しなければならないという規定です。この規定によって、貸金業者は過払い金を返還する義務があるのです。ただし、過払い金は請求された場合に限り返還する義務が生じます。つまり、借りた人には過払い金の返還を請求する権利があり、その権利を行使された場合に貸金業者はその過払い金を返還する義務が生じるのです。
しかし、その請求する権利に関しては、民法によって行使が可能な期間が定められています。10年が経過してしまうと、その権利は効力を失って時効となり、権利が消滅してしまうのです。そのため、過払い金を請求できる状態で10年以上経過すると、過払い金を請求することができなくなってしまうのです。これにより、最後の取引をした日から10年以上経過していると過払い金の請求ができないため、借金を完済してから10年が経過していないことが過払い金を請求できるポイントとなるのです。
できないケースとその理由
過払い金は、どのような場合でも請求できるわけではありません。過払い金を請求できないケースもあります。それは、どのようなケースでしょうか?
最終取引後10年経過し時効をむかえてしまっている
まず、借入をして高い利息で返済しながら完済したというケースで、その完済した日から10年が経過してしまっているというケースです。過払い金は、最後の取引日から10年が経過してしまうと消滅時効が成立するのです。取引日というのは、借入や返済をした日のことをいいます。長期に滞納していた場合を除いて、一般的には完済した日が最後の取引日となるでしょう。そうなると、過払い金は、貸金業者に返還義務があるのではなく、利用者に請求する権利があるのです。そのため、貸金業者から過払い金があると案内するのではなく、利用者が過払い金の有無について調査し、自発的に請求する必要があります。しかし、それを請求できる権利を持ったまま10年が経過してしまうと、その権利は失われてしまうのです。そうなってしまえば、それ以降は請求することができなくなります。
貸金業者の倒産
すでにそのカード会社等が倒産してしまっている、というケースもあります。消費者金融やクレジットカード会社等、貸金業者は社名を変更していることもあれば、吸収合併していることもあります。しかし、合併ではなく倒産している場合は、請求することができません。消費者金融の中でも、200年頃には業界トップとなっていた武富士などは、2010年に業績の悪化と過払い金請求の増加に耐え切れず、会社更生法の申請をしています。そして、2017年にはその債権を整理していたTFKという会社も清算され、完全に消滅しています。そうなると、請求したくてもその相手がいません。たとえ過払い金があっても、請求はできないのです。吸収合併は多くの業者が行っているので、以前利用していたところが現在は残っていなくても、諦めずに確認してみましょう。
ショッピング枠は過払い金の対象にならない
クレジットカードで利用していたのがショッピングだけというケースでも、過払い金の請求はできません。クレジットカードは基本的に、ショッピングとキャッシングの2通りの使用方法があります。この2つは、それぞれリボ払いが選択できるようになっています。しかし、この中で過払い金が発生する可能性があるのは、キャッシングのリボ払いだけなのです。なぜかというと、ショッピングにおけるリボ払いは割賦販売法に基づいたもので、金利が発生しません。利用代金以外に支払うのは、分割払いの手数料だけです。そのため、いかに手数料が高額であってもそれは金利とは違うため、過払い金請求はできません。
多くなる条件とは?
過払い金がかなりの金額になってしまっている人もいるのですが、その理由は何でしょうか?過払い金が多くなってしまう条件について、解説します。
借入額(利用限度額)が大きい
借金の額が大きければ大きいほど、過払い金も増えてしまうケースが多くなります。イメージとしては何となくわかるでしょうが、詳しい理由についてはよくわからないという人も多いでしょう。理由について、詳しく解説します。
過払い金は、払い過ぎた利息です。利息は、元金に対して割合で発生するものです。例えば、年25%の金利で借りていた場合の利息は、100万円借りた場合は25万円です。しかし、500万円借りた場合は125万円となります。そこから過払い金を請求する場合、年15%の金利で計算し直すことになるため、100万円の場合は15万円が正しい利息となります。つまり、過払い金は25万円−15万円=10万円です。500万円の場合は75万円が正しい利息となるので、過払い金は125万円−75万円=50万円となるのです。
このように、借金の額が大きければ大きいほど利息も増えるため、過払い金も増えてしまうのです。上記の計算は非常に単純化したものなので、正確ではありません。1年で返済し終えた前提でもあり、正確に計算した場合は差額もさらに大きくなる可能性があるので、注意してください。
複数の貸金業者と取引
何人もの貸金業者から借金をしている、いわゆる多重債務に陥っている場合は、過払い金も多くなってしまいがちです。1社からこれ以上借りられなくなり、別のところから借りるようになった、もしくはA社に返済するお金がなかったので、B社から借りてA社に返済したなど、多重債務になる理由は様々です。しかし、何社にも並行して返済しなくてはならなくなっても、毎月の返済できる金額は決まっています。そのため、それぞれに返済できる額は少なくなり、全額返済し終えるまでは時間がかかってしまうでしょう。その期間中、利息は常に加算され続けます。そうして、さらに返済が難しくなり、過払い金は増えていくのです。
元金の返済になかなか到達できなかった
借金を返済する時、返済する額がある程度大きければ利息に加えて元金の一部を返済することができます。しかし、返済額が少ない場合は利息だけ返済して、元金の返済ができないのです。特に、過去に高い金利で借りて返済していた時は利息の返済が大変なので、なかなか元金の返済までは到達できない事も珍しくありませんでした。そのような場合はいつまで返済しても元金が減らないため、返済が長期化して過払い金も多額になってしまいがちです。
かなり昔から借り入れをしていた
出資法と貸金業法が改正され、完全施行されたのが2010年です。しかし、過払い金に関しては2006年に最高裁の判決として、請求を認められるという結論が出されたのです。それが、法改正のきっかけとなったと言えるでしょう。但し、それよりもかなり前になると、金利はさらに高いこともありました。その場合、過払い金があるとすればかなりの額になるでしょう。また、その頃から現時点で時効となっていないほど借り続けているようなら、それだけ返済している期間も長く、過払い金も積もり積もってかなりの額になっていると予想されます。
完済してからすぐに、再び同じ業者から借りた
一旦完済しても、再び同じ貸金業者から借りることがあります。この場合、本来なら完済の時点で取引は完結しているとみなされるのですが、次に借りたのが1年以内の場合は前回の取引から続いているものとみなされることがあります。そうなった時に、過払い金が増える可能性があるのです。
2回の取引を一連の取引とみなされた場合、まず1回目の取引で発生した過払い金は2回目の取引における元金と相殺されます。そうなると、元金が少なくなった分2回目の取引で支払っている利息は払い過ぎている部分が大きくなるのです。例えば、1回目の取引で過払い金が20万円あり、2回目の取引の元金が50万円あったとします。その元金から1回目の過払い金の20万円を差し引くと、本来の元金は30万円だったことになります。そして、30万円の元金に対して50万円の元金の利息を支払っていたことになるため、30万円分で計算し直すことになります。そうなると、過払い金の額が増えることになるのです。
ただし、1年以内に借りた場合でも、個別の取引とみなされることもあります。借金の理由や状況などで判断は異なってくるので、最終的には裁判官の判決次第となるでしょう。
返還請求ができる金融機関は?
過払い金は、どのような消費者金融やクレジットカード会社などの金融機関でも請求できるとは限りません。そもそも、過払い金が発生していないこともあるのです。過払い金請求ができる主要な消費者金融やクレジットカード、及びそれぞれの過払い金の対象時期について解説します。
過払い金返還請求ができる主要な消費者金融は?
消費者金融をはじめとした、貸金業者からの借入であれば過払い金があるかもしれません。ほとんどは、本来の上限金利を上回るグレーゾーン金利で貸し付けをしていました。主な消費者金融の、対象になる貸し付けをしていた時期は以下の表のようになっています。
○過払い金の対象となる消費者金融のカードローンと、対象となる時期
消費者金融 | 対象時期 |
---|---|
アコム | 2007年6月17日以前 |
プロミス | 2007年12月18日以前 |
レイクALSA(旧レイク) | 2007年12月1日以前 |
アイフル | 2007年7月31日以前 |
CFJ(アイク、ディックファイナンス、ユニマットライフが合併) | 2007年8月20日以前 |
シンキ | 2007年12月2日以前 |
この中で、アコムは1988年までは年利30%以上で貸し付けていました。プロミスも、1984年には年利が40%近くなっていたのです。アイフルの場合、1984年頃は年利50%以上の金利で貸し付けていたため、この頃に利用していて過払い金を請求できる方は、かなりの額になるのではないでしょうか。いずれも、1989年には出資法の上限金利である年利29.2%に変更しています。
上記の消費者金融以外でも、過払い金請求ができるところはあります。また、この中には他の消費者金融を吸収合併しているところもあります。その場合、吸収合併された消費者金融の過払い金も吸収先に請求できるのです。例えば、ポケットバンクやアットローンなどを利用していた場合は、その合併先であるプロミスに請求できます。利用していた消費者金融がすでになくなっている場合でも、合併していないか調べてみましょう。
過払い金返還請求ができる主要なクレジットカードは?
クレジットカードのキャッシングを利用していた場合、その支払い方法がリボ払いと一括払いのどちらであっても、過払い金の対象となる可能性があります。対象となる、主なクレジットカード会社とその対象となる時期は、以下の表のようになっています。
○過払い金の対象となるクレジットカード会社と、対象となる時期
クレジットカード会社 | 対象時期 |
---|---|
三井住友カード株式会社(三井住友VISAカード) | 2005年以前 |
イオンクレジット(イオンカード) | 2007年3月10日以前 |
エポスカード(マルイカード) | 2007年以前 |
ゼロファースト(エムワンカード)→エポスカードに吸収合併 | 2007年以前 |
三菱UFJニコス、旧日本信販(NICOSカード、UFJカード、DCカード) | 2007年以前 |
クレディセゾン(セゾンカード、UCカード) | 2007年7月13日(UCカードは6月10日)以前 |
オリエントコーポレーション (オリコカード、クレストカード、アメニティカード、オートウェーブカード他) | 2007年3月31日以前 |
アプラス(新生アプラス、新生VISA、TSUTAYA Tカードプラス他) | 2007年以前 |
ポケットカード、マイカルカード(P-oneカード、MYCALカード) | 2007年以前 |
セディナ(OMCカード、CFカード、コスモ・ザ・カード他) | 2007年3月以前 |
ユニーグループ(USCカード、ユニーカード) | 1回払い:2007年3月5日以前 リボ払い:2010年6月10日以前 |
ワイジェイカード、旧楽天KC・国内信販(KCカード) | 2007年以前 |
ニッセン・クレジットサービス(マジカルクラブカード) | 2007年以前 |
ライフカード、アイフル、旧ライフ(ライフカード、プレイカード) | 2007年3月以前 |
ベルーナ(ベルーナノーティス) | 2010年6月以前 |
出光クレジット(出光カード) | 2007年12月16日以前 |
アメリカン・エキスプレス(アメックス) | 2006年以前 |
JR東日本(ビューカード) | 2006年6月30日以前 |
JCB(JCBが発行しているカード) | 2007年6月16日以前 |
クレジットカード会社も、以前とは変化しているものが多数あります。社名が変更された会社や買収された会社、他社のグループ企業になった会社など様々です。利用していた当時の社名がなくなっていたとしても、それを引き継いでいる会社に過払い金は請求できるので、現在どうなっているのかを確認してみましょう。
また、上記リストのうちJCBに関しては、JCBのライセンスで他社が発行しているクレジットカードとJCBが直接発行しているカードがあります。JCBのライセンスでも、他社が発行しているカードであればそれぞれ発行した会社に過払い金を請求します。JCBに請求できるのは、JCBが発行しているものに限られるので注意してください。
過払い金のある借金であっても金融機関が倒産すると請求できない
これ以外の消費者金融でも、過払い金の対象となる貸し付けをしていたところはあります。ただし、その中には現在すでになくなっているところも少なくありません。大手の消費者金融に吸収合併されたところもあれば、倒産してしまったところもあります。大手でも、武富士は倒産してしまっています。倒産している場合は、請求する相手がいないのでできません。
武富士は、過払い金請求の返還額があまりに大きかったことと、業績悪化によって倒産してしまいました。他の消費者金融やクレジットカード会社も、同じように倒産しないとは限りません。もし倒産してしまうと、過払い金請求ができなくなるか、大幅に減額された額しか返還されなくなります。そうならないように、請求は早めに行った方がいいでしょう。
実は過払い金請求ができるケース
過払い金請求が自分には関係ないと思っていても、実は過払い金請求ができるケースもあります。どのようなケースがあるのか、解説していきます。
利用していた貸金業者を忘れた
以前利用していた貸金業者が分からない時でも、過払い金請求ができないとは限りません。様々なヒントから、貸金業者が誰だったのかを調べることができるのです。その貸金業者の名前を知る為の手がかりとして、返済の時に通帳に残った記録や、受け取った明細書などを探すという方法があります。また、当時どのようなカードを使っていたのか、そのカードの見た目の特徴を司法書士等の専門家に伝えることで判明するケースもあります。信用情報機関に記録が残っているケースもあるので、問い合わせてみれば分かるかもしれません。信用情報機関は、加盟している金融機関でなければ原則として信用情報を教えてもらうことできないのですが、例外として自分の信用情報であれば教えてもらうことができます。
取引の記録自体はその貸金業者が保管しているため、どこなのかが分かれば問題ありません。
取引期間を忘れた
利用していた貸金業者の名前は分かるものの、取引していた期間が分からないという人もいるでしょう。多分10年以上過ぎただろうから請求をするだけ無駄だと思っているのかもしれませんが、そうとは限りません。その場合は、まず取引期間を調べてみましょう。そうすると、実は過払い金請求ができる状態だった、というケースもあります。
取引期間を確認する方法としては、貸金業者を忘れた場合と同様に通帳や明細書を確認したり、信用情報機関に問い合わせてみたりする方法があります。それ以外の方法としては、貸金業者に直接連絡して取引履歴の開示請求をするという方法もあります。
利用していた貸金業者が他社と合併していて存在しない
先程もいいましたが、貸金業者の中には、既に存在していないところもあります。一部では既に倒産している会社もありますが、そうではなく他の貸金業者等と合併しているケースも多いのです。
例えば、ライフカードという会社はアイフルと合併しています。そのため、ライフカードに直接過払い金を請求することはできません。その代わり、アイフルにライフカードの分を請求することはできるのです。
どことどこが合併しているかを把握するのは、非常に困難です。中には、合併した上でその会社がさらに別の会社と合併して、というのを繰り返していることもあるのです。どこに請求していいのかよくわからないという時は、司法書士等の専門家に依頼して確認しましょう。
過去に、利息カットなどの和解をしたことがある
貸金業者から、返済が苦しい時などに利息をカットして毎月の返済額も減額するという和解案を持ちかけられることがあります。その際には、この契約書で定めた金銭以外はお互いに請求しない、という条件が付けられています。要するに、貸金業者側は契約書に定めた通りに支払いしてもらえばあとは請求しないが、こちらは過払い金があっても請求しないように、ということです。その契約書にサインすると、後から過払い金があると判って請求しようとしても、その契約書を理由として請求に応じようとしない貸金業者もいるのです。しかし、その和解書があったとしても裁判では、過払い金を支払うようにという判決が出ることもあるのです。なぜかというと、債務者がその書面に同意した時点で過払い金があるということを知らなかった場合は、その同意をしたからといって過払い金の返還は無効にならない、という判決が出て過払い金請求が認められ、貸金業者はその請求に応じなければならないことがあるからです。実際に、このような事例で過払い金請求が認められたという判例はあります。
自己破産をして借金が免責になっている
自己破産をすると、借金が免責となりその返済をする必要がなくなります。しかし、その場合でも過払い金があってそれに気付いていなかったのなら、過払い金を請求できるかもしれません。但し、その場合でも完済日から10年以上経過しているとやはり過払い金に関しては時効が成立してしまい、返還請求ができなくなってしまいます。
また、最近では裁判所から、債務整理の際は過払い金がないかを先に確認するようにという指導がされています。そのため、過払い金がある状態で自己破産をするケースは少なくなっているでしょう。
返還請求のリスクとは?
過払い金を請求すると、リスクが生じることがあります。どのようなリスクが考えられるのか、解説します。
過払い金請求を行った貸金業者は利用できなくなる
過払い金請求をすると、その貸金業者は原則として利用できなくなります。過払い金請求自体は悪いことではなく、債務整理をした時のように信用情報機関に登録されることもないのですが、その貸金業者が独自に作成しているブラックリスト、いわゆる社内ブラックというものに登録されてしまいます。そうなると、その貸金業者以外にもグループ企業の消費者金融やクレジットカード会社がある場合、全て利用できなくなる可能性が高く、もし利用できたとしても審査は厳しくなってしまうでしょう。
ただし、このデメリットはあくまでも過払い金請求をした貸金業者とそのグループ企業にだけ生じるものです。その他の貸金業者やクレジットカードなどの利用には、何の影響もありません。そのため、もし不都合が生じるようなら、それに代わる別の手段を検討しておきましょう。
過払い金を取り戻しても借金を完済できなければブラックになる
過払い金請求をして、借金の残額を上回る金額が返還されるようなら問題はなく、借金は完済になって終わります。しかし、過払い金よりも借金の残額の方が大きく過払い金を返還しても借金が残ってしまうという場合は、注意が必要です。その場合は任意整理となるため、残った借金の金利はカットされて返済回数も増えるため返済はしやすくなるのですが、信用情報機関のブラックリストに載ってしまうのです。
先程も説明したように、過払い金請求をするとその貸金業者はそれ以降利用できなくなってしまいます。しかし、ブラックリストに載ってしまうとその貸金業者だけではなく、ほぼすべての消費者金融やクレジットカード会社を利用できなくなってしまうのです。
クレジットカードのショッピング枠の支払い残高に注意
クレジットカードの過払い金を請求する場合に注意したいのが、ショッピング枠の利用状況です。先ほども言ったように、借金の残額が過払い金で返還される金額よりも多ければ、任意整理になってしまいます。しかし、クレジットカードの場合はキャッシングで借りている金額だけではなく、ショッピング枠で利用している分もこれに含まれるのです。つまり、過払い金はキャッシングとショッピングの利用分の合計額より多くなくてはいけません。それ以下だと、任意整理になってしまうのです。
返還請求のメリットと注意点
過払い金の返還請求をする事には、大きなメリットがあります。それは、具体的にどのようなことでしょうか?注意点とあわせて解説します。
過払い金返還請求をするメリット
過払い金を請求するメリットは、まず間違いなくお金が戻ってくるという点です。過払い金は、事前に取引履歴を確認し、計算してから請求するものです。そのため、試しに請求してみたら過払い金がなかった、ということはまずありえません。特に、専門家に依頼して請求した場合はそのような事態は起こりえないでしょう。過払い金があると判っていて請求し、貸金業者はその請求に応じる義務があるので、ほぼ間違いなく返還されるのです。
また、完済している状態で過払い金返還請求をすると、特にデメリットもなく手続きできます。過払い金返還請求のデメリットは、借金が残っている時に請求して完済できないと任意整理になり、ブラックリストに載ってしまうということです。しかし、完済している場合はそのデメリットの心配がなく、単に返還してもらうだけです。
過払い金返還請求をする際の注意点
過払い金返還請求をする際は、いくつか注意したい点があります。1つ目は、過払い金の計算結果に応じた金額が必ず帰って来るとは限らない、ということです。過払い金を計算して、それを貸金業者に送付して返還請求をするのですが、その後は直接貸金業者と交渉して返還される額を決定します。その際、貸金業者が全額返還するということはまずなく、何割か減額して変換しようとします。それを素直に受け入れてしまうと、過払い金が少なくなってしまう可能性が高いのです。裁判で請求をするとほぼ全額返還されますが、そうなると裁判所に行かなくてはならず手間がかかります。司法書士等の専門家に依頼して返還請求をしてもらうと、裁判でなくてもあまり減額されることなく返還される可能性が高くなります。
また、過払い金の返還請求を自分で行おうとすると、過払い金の計算などにかなり手間がかかります。貸金業者にその計算結果を送付しても、計算が間違っていると相手にされないこともあります。交渉なども自分で行わなければならないので、かなり面倒でしょう。
返還請求を専門家に依頼した方がいい理由
過払い金は、自分で計算して請求することもできます。しかし、手間をかけずになるべく多く取り戻したいのであれば、司法書士等の専門家に依頼するというのも一つの方法です。
司法書士等の専門家に依頼した場合のメリット・デメリットは以下のようになっています。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
専門家に依頼 | ・手続きを任せておけるので、手間が少なくなる ・返還される金額が多くなる ・家族などに内緒で手続がしやすい | ・専門家への依頼費用がかかる |
自分で請求 | ・専門家に依頼する費用を節約できる | ・自分で全ての手続をしなくてはならない ・返還される金額が少なくなる ・自宅や携帯に連絡が来るので、 家族や周囲の人に知られやすくなる |
専門家に依頼するデメリットは、費用がかかることだけです。その代わり、自分で手続きをするよりも返還される金額は多い傾向があります。そのため、トータルで見ればプラスになるケースが多いのです。
過払い金返還請求をしてから返還されるまでの流れ
過払い金を請求する際は、どのような流れとなるのでしょうか?手続きの流れについて、解説します。
手続きは、以下のような流れで進めます。
(1) 貸金業者に取引履歴を請求する
貸金業者に、取引履歴を開示するよう請求します。請求方法は、その貸金業者の公式サイトか電話で問い合わせ、どのようにすればいいかを確認しましょう。提出しなくてはいけない書類があるので、それをやり取りして取引履歴を送付してもらいます。その際は、手数料が必要になることもあります。
貸金業者は、取引履歴の開示請求をされた場合は、原則として拒否することができません。しかし、請求する目的を尋ねられた際は、過払い金請求のためだとは言わないようにしましょう。民法で、過払い金が発生していることを知りながら返済をすると、過払い金の返還をする必要がなくなってしまうのです。そう主張されると困るので、言わないようにしましょう。
また、過払い金返還の請求を取り下げれば、代わりに今残っている借金はゼロにするという条件を出されることがあります。ゼロ和解といわれる方法ですが、これを認めてしまうとその契約に関しては解決済みという扱いになってしまい、過払い金を請求するのが難しくなるのです。
(2) 取引履歴を見て引き直し計算をする
取引履歴から借入額と返済額を確認し、それをもとに引き直し計算を行います。これは、過去の取引での返済額を、利息制限法の上限金利で計算し直すことをいいます。金利分が少なくなると、その分元金を返済したものとして計算します。そうすると、翌月の返済分は元金が少ない分利息分も少なくなるため、元金がさらに減っていきます。そうして順番に計算し直していって、やがて残額が0になると残りが過払い金として返還される金額となるのです。返済途中でこの手続きをした場合、過払い金よりも借金の残額の方が多いこともあります。その場合は、計算結果に応じて借金を減額できるのですが、同時に任意整理の手続きも進めることになるでしょう。
この計算は、非常に複雑です。ネット上では引き直し計算ができる計算ソフトも無料で公開されていて、それを使うと自分で計算するのも比較的簡単になります。しかし、計算を間違えると請求しても応じてもらえなかったり、少ない過払い金を請求してしまったりする可能性があるので、なるべく司法書士等の専門家に計算を依頼することをおすすめします。
(3) 貸金業者に過払金返還請求書を送付する
計算した結果過払い金があった場合は、その計算をした引き直し計算書と一緒に「過払金返還請求書」という書類をカード会社に送付します。この請求書には決まった書式があるわけではないのですが、必要最低限書かなくてはいけない内容はある程度きまっています。取引を始めた時期とその期間や過払い金がどのくらいあるのか、返還の期限、民事訴訟を検討するかどうかといったことは記載するのが一般的です。
(4) 貸金業者の担当者と任意交渉をする
請求書を送ると、その貸金業者から連絡がきます。その際、担当者と過払い金の返還額や返還期日などを交渉します。提示された金額より多く返還してもらいたいのであれば、交渉する必要があります。
担当者はプロなので、単に多く返済してほしいといってもそう簡単には応じてもらえません。交渉を確実にするには、司法書士等の専門家に任せた方がいいでしょう。
(5) 和解が成立しなかった場合は、裁判を起こす
合意に至らなかった場合は、裁判を起こして過払い金を請求します。裁判では、瑕疵がなければ満額が支払われるでしょう。ただし、大量の書類が必要となり時間もかかります。場合によっては、平日に出廷するよう求められることもあります。
関西後に再び借り入れをしていたり、返済で延滞していたことがあったり、任意整理を以前していたりすると、満額で和解するのが難しくなります。
(6) 消費者金融から過払い金が支払われる
無事に和解が成立するか裁判で決着がつくと、口座にカード会社から過払い金が入金されます。司法書士等の専門家に依頼した場合は、その費用が差し引かれた金額が入金されることになります。
まとめ
・過払い金は、過去に借金の返済をする時に多く支払い過ぎたもの
・その過払い金を、請求することで返還してもらうことができる
・過払い金は、過去にグレーゾーン金利で借金をしていた場合に発生している可能性がある
・出資法が改正されてから、過払い金は発生しなくなった
・現在、利息制限法に違反した場合の行政処分が厳しくなっているので、グレーゾーン金利は撤廃されたといえる
・過払い金は、10年街経過すると時効となる
・返済が長期だった場合や、完済してからすぐにまた借りた場合などは、過払い金が多額になりやすい
・過払い金は、金融機関によって発生していないこともある
・過払い金の金額を確認してから請求しないと、ブラックリストに載ってしまうことがある
※2010年以前の場合、過払い金が発生するケースがあります。お気軽にご相談ください。
まだデータがありません。
クレジットでの買い物や、軽い気持ちでキャッシングを重ねるうちに借金が知らない間に増えることは、だれにでもあることです。
支払いが無理かなと感じたら、身近な法律家である司法書士にまずは、ご相談ください。
あなたの早めの相談が問題解決へのきっかけになります。
一人で思い悩まずに、司法書士といっしょに問題解決に向けてスタートしましょう。
また、司法書士は、不動産登記や商業登記、簡易裁判所で扱う事件についての代理等をしていますので、借金問題以外の法律相談もしています。
弁護士では、敷居が高いと感じている方も、気軽にご相談ください。