クレジットカードのリボ払いは過払い金請求対象?司法書士が解説
クレジットカードのキャッシングには、一括払いとリボ払いがあります。リボ払いで利用した場合も、過払い金は発生するのか気になる人は多いでしょう。
クレジットカードのキャッシングを2010年以前に利用していれば、リボ払いでも過払い金を請求できる可能性はあります。ただし、リボ払いならすべて請求できるという訳ではありません。請求できないケースや、過払い金がないケースもあるのです。
どのような場合に、リボ払いで過払い金が請求できるのかを解説します。
リボ払いって過払い金は発生する?
リボ払いは、毎月均一の額で返済できる支払い方法です。クレジットカードを利用する際は、ショッピングだけではなくキャッシングでもリボ払いにすることが可能です。消費者金融のカードローンで借り入れをした場合も、返済方法としてリボ払いを選ぶことができます。
過払い金は、リボ払いでも発生する可能性があります。ただし、ショッピングのリボ払いでは過払い金が発生しません。ショッピングの場合は割賦販売法によって定められた支払い方法となり、利息は取られていません。その代わりに、立替払いをしたということでその手数料を支払っているのです。
そのため、リボ払いで過払い金を請求できるのはキャッシングの利用分だけとなっています。2010年6月以前の借入なら、過払い金があるかもしれません。リボ払いは返済の期間も長期化するため、金額も大きくなることがあります。
リボ払いの過払い金が発生している可能性があるクレジットカード会社は?
リボ払いでキャッシングを利用していたクレジットカード会社なら、何処でも過払い金が発生するという訳ではありません。過払い金が発生している可能性が高いクレジットカード会社のうち、代表的なものを紹介します。
○過払い金の対象となるクレジットカード会社と、対象となる時期
クレジットカード会社 | リボ払いの金利 | 対象時期 |
---|---|---|
三井住友カード株式会社(三井住友VISAカード) | 28%前後 | 2005年以前 |
イオンクレジット(イオンカード) | 29%前後 | 2007年3月10日以前 |
エポスカード、ゼロファースト (マルイカード、エムワンカード) | 27%前後 | 2007年以前 |
三菱UFJニコス、旧日本信販 (NICOSカード、UFJカード、DCカード) | 19~29% | 2007年以前 |
クレディセゾン(セゾンカード、UCカード) | 24~29% | 2007年7月13日(UCカードは6月10日)以前 |
オリエントコーポレーション (オリコカード、クレストカード、 アメニティカード、オートウェーブカード他) | 27%前後 | 2007年3月31日以前 |
アプラス (新生アプラス、新生VISA、TSUTAYA Tカードプラス他) | 21~29% | 2007年以前 |
ポケットカード、マイカルカード (P-oneカード、MYCALカード) | 26%前後 | 2007年以前 |
セディナ(OMCカード、CFカード、コスモ・ザ・カード他) | 28%前後 | 2007年3月以前 |
ユニーグループ(USCカード、ユニーカード) | 27%前後 | 1回払い:2007年3月5日以前 リボ払い:2010年6月10日以前 |
ワイジェイカード、旧楽天KC・国内信販(KCカード) | 29%前後 | 2007年以前 |
リボ払いの過払い金が発生していても請求できないケースとは?
過払い金があっても、必ず請求できるとは限りません。場合によっては、請求できないケースもあるのです。いくつかの例を挙げて、解説します。
まず、借入をして高い利息で返済しながら完済したというケースで、その完済した日から10年が経過してしまっているというケースです。過払い金は、最後の取引日から10年が経過してしまうと消滅時効が成立するのです。取引日というのは、借入や返済をした日のことをいいます。長期に滞納していた場合を除いて、一般的には完済した日が最後の取引日となるでしょう。そうなると、過払い金は、貸金業者に返還義務があるのではなく、利用者に請求する権利があるのです。そのため、貸金業者から過払い金があると案内するのではなく、利用者が過払い金の有無について調査し、自発的に請求する必要があります。しかし、それを請求できる権利を持ったまま10年が経過してしまうと、その権利は失われてしまうのです。そうなってしまえば、それ以降は請求することができなくなります。
2つ目は、すでにそのカード会社等が倒産してしまっているケースです。消費者金融やクレジットカード会社等、貸金業者は社名を変更していることもあれば、吸収合併していることもあります。しかし、合併ではなく倒産している場合は、請求することができません。消費者金融の中でも、200年頃には業界トップとなっていた武富士などは、2010年に業績の悪化と過払い金請求の増加に耐え切れず、会社更生法の申請をしています。そして、2017年にはその債権を整理していたTFKという会社も清算され、完全に消滅しています。そうなると、請求したくてもその相手がいません。たとえ過払い金があっても、請求はできないのです。吸収合併は多くの業者が行っているので、以前利用していたところが現在は残っていなくても、諦めずに確認してみましょう。
3つ目が、借入先と原則利息のカットや返済額の減額などの交渉をしたことがあるケースです。その際には示談書を交わしているはずですが、その内容次第では過払い金の請求が難しくなるでしょう。そうなった場合は、裁判で争うことになります。
リボ払いでの過払い金請求のメリットについて
リボ払いの過払い金を請求すると、これまでの返済分のうち金利の上限を超える利息を支払っていた分が元金と相殺されます。そうなると、もしもまだ返済が続いていればその元金と相殺され、借金の残額は減額されるでしょう。また、既に完済している場合は支払い過ぎた分が返還されます。これが、過払い金請求の最も大きなメリットといえるでしょう。
また、同様に借金を減額できる債務整理という手続きがあるのですが、その手続きをすると信用情報機関にそのことが登録され、ブラックリストに載せられてしまいます。そうなると、一定期間はクレジットカードの作成や新規の借り入れができなくなるのです。しかし、過払い金請求の場合は、既に完済しているか過払い金と相殺して完済となる場合は、信用情報機関に登録されません。
リボ払いでの過払い金請求にデメリットについて
リボ払いに限らず、過払い金請求に共通したデメリットとして、現在返済中の借金で過払い金請求をした場合に過払い金を差し引いても借金が完済とならなかった場合、任意整理という債務整理の手続きとして扱われてしまいます。そうなると、信用情報機関にそのことが掲載されてブラックリストに入ってしまうのです。そのため、まずは手続きをする前に過払い金がいくらあるのか、現在の借金の残額はどのくらいかを確認してから検討しましょう。また、クレジットカードの過払い金請求はキャッシングの分だけですが、手続後にそれを完済できたとしてもショッピングの利用分が残っていると、やはり債務整理の扱いになることもあるため注意しましょう。
また、リボ払いの過払い金請求をすると、完済できたとしてもそのクレジットカードは強制的に解約となってしまいます。そうなると、そのカードは今後利用できません。ポイントなどがある場合は、それも失われます。引き落としの方法でそのクレジットカードを選択している場合は、あらかじめ切り替えるなどしておいた方がいいでしょう。ブラックリストに入るわけではないので、別のカードに申し込むことはできます。
リボ払いでの過払い金請求の流れについて
リボ払いの場合、どのように過払い金を請求するのでしょうか?その流れについて、解説します。
(1) クレジットカードの発行会社に取引履歴を請求する
(2) 取引履歴を見て引き直し計算をする
(3) カード会社に過払金返還請求書を送付する
(4) カード会社の担当者と交渉する
(5) 必要に応じて裁判を起こす
(6) カード会社から過払い金が支払われる
リボ払いの過払い金請求であっても、通常の請求方法と大まかな流れは変わりません。ただし、返済方法が通常の物とは異なるので、引き直し計算の方法は異なります。そのため、自分で計算をする場合は間違いがないように注意しましょう。
また、担当者との交渉で提示される返還の割合は異なりますが、おおよそ80%が相場とされています。裁判を起こした場合は、争点がない限りほぼ100%返還されるのですが、時間もかかり平日に出廷しなくてはならないこともあります。その点も踏まえて、交渉で和解するか裁判にするかを考えましょう。
リボ払いの過払い金請求で困ったら司法書士に相談を!
リボ払いの過払い金は、自分で請求することも出来ます。しかし、手間をかけずになるべく多く取り戻したいのであれば、司法書士等の専門家に依頼するというのも一つの方法です。
司法書士等の専門家に依頼した場合のメリット・デメリットは以下のようになっています。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
専門家に依頼 | ・手続きを任せておけるので、手間が少なくなる ・返還される金額が多くなる ・家族などに内緒で手続がしやすい | ・専門家への依頼費用がかかる |
自分で請求 | ・専門家に依頼する費用を節約できる | ・自分で全ての手続をしなくてはならない ・返還される金額が少なくなる ・自宅や携帯に連絡が来るので、家族や周囲の人に知られやすくなる |
専門家に依頼するデメリットは、費用がかかることだけです。その代わり、自分で手続きをするよりも返還される金額は多い傾向があります。そのため、トータルで見ればプラスになるケースが多いのです。
まとめ
・クレジットカードのリボ払いでも、過払い金は発生する
・キャッシングとショッピングでは、同じリボ払いでも別の扱いとなる
・過払い金が発生するのは、キャッシングでの利用分だけ
・多くのクレジットカード会社で、過払い金が発生している
・完済してから10年が経過していると、過払い金の請求はできなくなる
・倒産しているカード会社には、過払い金の請求ができない
・任意整理をすると、その後に過払い金の請求はできない
・リボ払いの過払い金請求で、払い過ぎた分は返還される
・過払い金を請求したクレジットカードは解約になる
・自分で請求することもできるが、司法書士等の専門家に依頼した方が得になることが多い
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クレジットでの買い物や、軽い気持ちでキャッシングを重ねるうちに借金が知らない間に増えることは、だれにでもあることです。
支払いが無理かなと感じたら、身近な法律家である司法書士にまずは、ご相談ください。
あなたの早めの相談が問題解決へのきっかけになります。
一人で思い悩まずに、司法書士といっしょに問題解決に向けてスタートしましょう。
また、司法書士は、不動産登記や商業登記、簡易裁判所で扱う事件についての代理等をしていますので、借金問題以外の法律相談もしています。
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